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一話

 

 エンフィール王記876年、エンフィール王国北西部の辺境領に産まれた男、後のバルト将軍である。



―――



 エンフィール王国北西部の辺境領、バルト伯爵に待望の男の子が産まれ、2年後に次男が産まれた。名をベオウルフ・アル・バルトと言う。


 バルト伯爵家は武門に優れた家系だった、剣術槍術弓術馬術を幼少より習い戦略戦術を叩き込ま

れた。

ベオウルフは子供の頃から活発で練習用の木剣を持って伯爵領内を同世代の子らと走り回っていた。時にはいたずらをして叱られたり森や山に勝手に行き、迷って数日帰らなかったりと腕白ないたずら坊主として育った。




ある時、街で少年達のケンカを見かけたベオウルフは止めに入った。


「なんだお前?」


 自分よりも2つ3つ年上で、ガキ大将なのか、4~5人の少年達を従えた頭ひとつ高い少年がこっちを睨み付けてきた。

地面に押し倒された子供の中にベオウルフと良く遊ぶ少年も居て、ある程度事情はわかった。街には何グループかの子供達が居て、広場等の取り合いが良くあった。基本的には早い者勝ちで後から来た子供達が他所に行くのが子供達の暗黙のルールなのだ。


「どっちが先だったんだ?」


 ベオウルフの問いに地面に押し倒されたベオウルフと良く遊ぶガルが答えた。


「ボク達が先だよ」


「なら、オレ達に遊ぶ権利があるだろ」


 暗黙のルールではそうなのだが、相手は2つ3つ年上でガキ大将グループ。


「ここは今日から俺達の場所だ、お前らは他所に行け」


「ここはみんなの広場だ、ロイの場所じゃない!」


 珍しく声を荒げてガルが言う。ガルは普段はおとなしいが正義感が強く、ガキ大将ロイの不公平で横暴なやり方が気に入らないらしい。


「だったら力強くで来いよ」

「…」


 そう言うロイに対して、ガルが少し悔しそうな顔をする。ガルは細くひょろっとしているし、ましてや10歳前後で2つ3つ年上なのはこの年代では大きな差があるから。


「へッ、弱虫が!」


「じゃあオレがやる」


そう言ってベオウルフがロイの前に出て睨む、ガルが馬鹿にされて怒ったようだ。


「領主の子供だからって手加減しねえぞ」


こうして真っ昼間に子供達の戦いが始まった。最初はベオウルフとガキ大将ロイが叩いたり殴ったり蹴ったり時には地面に押し倒したりの大人顔負けの喧嘩に触発されたかのように、ガルや他の子達もガキ大将グループに喧嘩を仕掛けた。


良くある子供の遊び場の取り合いが、お互いが譲れない壮絶な領土戦争に勃発したが、直ぐに大人達が気付いて止め、こっぴどく叱られた。


 ベオウルフ・アル・バルト、初めての殴り合いの喧嘩で優勢勝ちを勝ち取った10歳の夏。




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