酒を交えた話も大切
「お疲れ様っしたー」
「お疲れ様でした、勇者様!」
すっかり顔なじみになった軍事府の門番と挨拶を交わす瞬間、それは開放感に溢れている。別に過度にプレッシャーを感じるような職場でも立場でもないのだが、それでも素の自分そのままという訳にもいかないのは組織の一員である以上、仕方ないことだ。
春も終わりに近づいたこの季節は、夜の空気に緑の香りが濃う。王都のそこかしこに植えられた街路樹から漂うその微かな香りが、仕事帰りの自分には優しい。
「お送り致しましょうか?」
「いや、今日はいい。歩いて帰る」
「はっ。承知致しました」
門番の申し出を断る。俺の立場上、勤務後に職場から屋敷まで軍事府直属の馬車が送ってくれるという嬉しい権利がついている。歩くのもしんどいという程追い込まれることは、流石に滅多にない。だが雨の時などは、馬車の個室が非常にありがたいのも確かだ。
けれども今晩に限っては、一人で歩きたかった。
ほぼ平地に建設された王都の道は起伏が少ない。坂が少なく綺麗に舗装された石畳を規則正しい歩調で歩いているうちに、徐々に自分の思考と感情が整理されていく。そしてここ最近は、もっぱらその対象が一つの事に集約されていた。
(あと二週間切ってるんだよなあ)
心の中でため息一つ、視線を落とせば靴先二つ。よくねえな、と首を巡らせる。宵の口に明かりを点す繁盛した店先と店員の呼びかけの声が、視覚と聴覚を刺激してきた。
俺が自分で期限を切りこうして悩んでいること、それは単純と言えば単純なことだ。多分、数十秒かからないくらいシンプルなことだ。大変なのはその後だというのが容易に予想される......だから憂鬱なんだが。
そう、一月半程前に決心したことの実行---双子に「俺は実の親じゃない」という事実を言う--まさに文字にするとたったこれだけのことにイライラし躊躇い、本当にいいのかと悩んでいる。
いつ言うかはセラにも相談してあいつらの四歳の誕生日と決めた。そもそも幼稚園に入ったら他の園児達の口から悪気が無くても俺と双子の間に血縁関係がないことが伝わるだろう。それを危惧したことが今回の悩みの発端だ。
それなら入園式の翌日にでも言えばいいのだが、自分自身に心の準備が必要だったことと切りがいいかという理由で、誕生日までの約二ヶ月を待つことにした。もしそれまでの間に他の園児から言われたならそれはもう仕方ない、と腹を括ってのことだった。
(幸か不幸か、とりあえず言われずに済んだまま後二週間切ったか......)
シュレンとエリーゼにとっては自分の根底がひっくり返るかもしれない日は、刻々と近づいている。言うならば俺が言うと心に決めたものの、心の片隅では偶然あいつらが知ってくれて素知らぬ顔でいてくれないかという虫のいいことを願ってしまう。馬鹿だ、俺は。そんな都合のいいこと起こるはずがないのに。
客観的に考えてみれば、別に俺は指を指されるようなことはしていないとは思う。血縁関係の無い赤ん坊二人を押し付けられた形で預かり、色々手を尽くしてここまで育ててきた。周りの人もこの件については俺を誉めてくれるし、尊敬してくれているようだ。あのアニーやロリスでさえこれについては認めてくれている、多分。
(怖いのはあいつらが俺を見る目が変わること、か)
きっとそうだろう。たかだか四歳児が血縁関係の有無についてきちんと理解出来るかどうかは分からない。だが最近のシュレンとエリーゼを見ていると知識として知らない単語が使われた場合はともかく、簡単な文章の構造はきちんと理解出来るようだ。二ヶ月足らずとはいえ、幼稚園で同年代の子供と話す機会が劇的に増えたこともその辺りの能力の発達に一役買っているのだろう。
だからゆっくり真剣に話せば理解出来ると考えていた。喜ばしいことなんだろうが、逆にもう逃げられないと覚悟を迫られているようで息苦しくもある。馬車を使って帰らなかったのはあっという間に屋敷に着いてしまい、このどろどろした思考と感情を表情に出さないように切り替える時間が持てないためというのもあった。セラや双子に余計な負担はかけたくはないし、俺が鬱々としていると使用人達も萎縮してしまう。良いことは一つもない。
だからこうしてわざと俺は徒歩で帰っている。答の無い問いに向き合う覚悟を一歩ごとに自分の中で研ぎ澄ませるような感覚、そして何かから逃げるような感覚両方を宿らせるという器用な真似をして。
「ちっ、早く誕生日になれってんだ。いや、やっぱ来ないでくれ」
人混みを避けながらポツリと漏らした独り言は矛盾だらけで.....我ながらみっともなかった。
******
「あれ、ウォルファート様?」
「ほんとだ。何してるんですか、こんなところで」
横からかけられた二人の女の声に聞き覚えがあった。左を振り向くと道に張り出す形で卓と椅子を構える安い飲み屋があり、その中の二人がこちらに手を振っていた。
一人は白っぽい金髪を肩まで伸ばした勝ち気そうな女の子、真向かいに座ったもう一人は鮮やかなブルーの髪を帽子に隠した小柄な子だ。二人ともそこそこに綺麗とか可愛いとか好意的な形容詞をつけていいだけの容姿はしており、これが見知らぬ女の子達なら俺もびっくりしているところだが。
「よう、アニー、ロリス。ご機嫌だな」
よーく知っている顔なので全く驚かなかった。精々珍しいなと思っただけだ。
「えっ、それだけですか! せっかく僕達みたいに見目麗しい女の子二人が声をかけてあげたのにつれないなー、つまんないですよ」
「素人興味ねえし女二人が飲んでる邪魔するほど不粋でもねえよ。じゃあな」
ロリスの声を背に歩き出しかけたが左腕を握られた。振り返るとアニーが両手で俺の服の裾を掴んでいる。
「あの、もしあたし達で良かったら少し付き合いませんか? なんか今のウォルファート様苦しそうですよ」
「そ、そんなことねえよ」
「ご自分のお顔、鏡で見て下さい。眉がこんなに寄ってすごく怖いし。あたしやロリスじゃ頼りないかもしれないけど、たまには力に成らせてください」
いつになく真剣なアニーの顔にグラッと揺らいだ。そう言われてみればそうかもしれず、たまに遅くなる時もあるので料理番はそういう時は俺の為に作った分は自分達で食べていいことになっているので文句も出ない。
そして何よりこの件を一人で悩むことに疲れていたのも事実だった。結局俺は二人と一緒に飲むことに決めた。注文を取りにきた店員が俺の顔を見て「へ? まさか勇者様?」と目をこすったので「そーだよ、駄目か?」と聞くと「めめめ滅相もない! うちにまさか勇者様がいらしていただけるなんて光栄の至りでさあ! お代は結構なんでお好きなように飲み食いしてくだせえ!」と平伏しそうになったのでびびったね。
「いや、いいから。ちゃんと金払うし普通に接客してくれたらいいから。とりあえずエール。飯はチキンの串焼き四本ね。モモ二本とオニオンスライス二本ずつ、タレで。ジャガバターも一つ」
適当に頼みながらこういう庶民的な店で頼むのは久しぶりだなと思った。屋敷構えてからは料理番がいるからほとんどの料理店より美味い物作ってくれるし、子連れだと気を使うかはあまり外食しないんだ。たまに行くとしたら仕事絡みの会食くらいだしな。やばい、新鮮な気分だ。
エールがきた。氷で適度に冷やされたジョッキの中の金色の液体は麦の香ばしい香りを白い泡に閉じ込め、それが俺の些か鬱屈していた気分を軽くする。右手に持ったそれを高く掲げると、ノリのいいアニーとロリスもそれに倣う。
「じゃあまあ、かんぱーい!」
「「かんぱーい! ごちになりまーす♪」」
「やっぱそうか畜生ー!」
ちょっとでもこの小悪魔共を信じた俺が馬鹿だったよ......
「で、お前ら二人ここで何してたわけ」
「何って、別に特別なことは無いです。あたしギルドの受付嬢だから、それも人気受付嬢だからロリスと待ち合わせしやすいんでたまに一緒にご飯食べてるんですよ」
「人気受付嬢って今の話に関係なくないか」
大まじめな顔で答えるアニーに突っ込みながら俺はエールを煽り、チキンを摘んだ。たまにはこういうのも悪くねえな。ロリスも小柄な体格の癖によく食べている。
「まあ、いつもパーティーのメンバーとだけじゃ話題も限られるので僕もアニーさんとご飯しながら話すのは楽しいんです。あっ、ウォルファート様。ちょっとそのキャベツの酢漬け取ってください」
「ほれ。あっ、代わりにその川魚の塩焼き取って。えーと、どこまで話したんだ、ああそうだ。なら時々こうやって飲んでるのか」
「そうですよ。まあたわいもない話題で盛り上がることがほとんどですね。いかにウォルファート様をいじるかとか」
ロリスの爽やかに言い放った言葉に俺はエールを吹きだしそうになった。気管にエールの泡が入りむせ返りそうになる。
「ちょっと、大丈夫ですか!? 僕みたいな可愛い子にいじられて興奮するのはわかりますけど、特殊な性癖とか持ってるとか言われたらさすがに引きますよ」
「ちょっと、ロリス。ほら、あんまりやり過ぎたら駄目よ」
ゴフッと喉を鳴らし涙目になりかけた俺を見かねたのか、アニーが妙に優しい。殊勝だなと思ったのだが。
「あとでいじる楽しみも残しておかなきゃ!」
「さすがアニーさん! 師匠と呼ばせてください!」
「すいません、エールもう一杯......ああ、大ジョッキで頼む」
おかしいな、少しは見直した俺が馬鹿だったのかな。まあいいか、飲もう。今日は大騒ぎしてもいいや。
なんだかんだ言いつつアニーもロリスも根はいい子だ。まあ、適度に俺をいじろうとするのをうまくかわしさえすれば話をするのは楽しい。時々周りの客や店員が「あれって勇者様? いいなあ、若い女の子に人気あって」「やっぱり夜の勇者って噂は本当だったんだね」など根も葉も無いヒソヒソ話をするのも作り笑いでスルー、華麗にスルー。
「そうなんですよ。何たって僕と勇者様は真っ暗闇の中で互いを求めあった深い仲で--」
「止めろ馬鹿ー! リッチに連れ去られたお前を助けにダンジョンに踏み込んだ話の! どこをどう曲げればそうなるんだ!?」
「概ね間違ってないわ、大丈夫よウォルファート様。セラさんには黙っておいてあげるから。だからあの一番高いお酒奢って? ね?」
「たかってんじゃねー!」
駄目だ。スルー出来ない。楽しいが危機感募り過ぎで寧ろスリリングだ。後ろから「俺もあんな風に女の子にいじられてみたいなあ、ハアハア」「さいってー! あんたなんか大っ嫌い!」という男女の声と平手打ちの音が聞こえてきたが、そんなことは俺の知ったことじゃあない。
「ったく、お前らと飲むとろくなことねーなあ」
鼻で笑いながら塩で炒った豆を口に放り込む。ま、口では俺も文句言ってはいるけどそれなりに楽しいのでポーズだな。こいつらなら害無いしな。そう思っているとアニーが一気にエールを煽った。豪快に半分近く残っていたジョッキが空になる。
「ちょ、お前飲み過ぎ......」
「アニーさん、大丈夫ですか」
「ウォルファート様、もし話すなら今ですよ」
真面目な顔をしたアニーが空になったジョッキを店員に渡す。顔が赤いものの酔っ払ってはいないのは、しっかりした声から分かった。ああ、そうか。一応こいつ俺のこと気にしているのか。ロリスもアニーの様子に気がつきクイ、と指で帽子を直した。
適度にアルコールで警戒心を解いていたせいもあるだろう。俺は、気がつけば今一番懸念していることを素直に口に出していた。
「俺、シュレンとエリーゼに本当の事話そうと思うんだよ」
周りは飲み屋の喧騒に包まれていたはずだった。なのに、その一言を吐き出した瞬間だけ静寂が支配したのは錯覚だろうか。
「それであんな顔していたんですか」
アニーは軽く自分の顎に手を当てて呟いた。
「僕が口出しすることじゃあないですけど......やっぱり言わなくちゃ駄目なんですか?」
ロリスが彼女には珍しく少しおどおどした顔で聞いてくる。
「色々考えた末だ。だけど言わなくちゃいけないと分かってるのにさ、迷ってんだよ。ほんとに言うのが正しいのかって」
セラにしか今まで話してこなかった反動もあったのだろう。堰を切ったように俺は喋っていた。一人で考えて煮詰まった頭は酒の酔いで軽くなり、口は勝手に回り出す。
「そりゃあさ、永遠に黙っておけるならさ、楽だよ。あいつらだって俺が本当の父親だって信じてられる方が楽だよ。でもそれじゃ駄目なんだ、誰かの口から悪意が無くてもこの話ってのは漏れてシュレンとエリーゼの耳に入る。もうあいつらもそういう話が理解出来る年齢なんだ、いきなり他人の口からそんなこと聞いたらさ、どれだけ傷つくか」
言いながら自分の視界が赤くなるのが分かった。何でだ、何で俺がこんなに苦しまなくちゃいけないんだ。
「分かってるよ、親がいない子なんて別に珍しくはねえなんてことも。セラだって両親が殺されてるしスラム街にはそんな子供ばっかりだ。だけどな、そんな一般論が聞きたいんじゃなくて......どう言ってやればいいのか分からないんだよ」
何が悪かったのだろうか。直接的にはアウズーラが悪いってことになるのか。いや、しかし奴も戦いの中で相手を殺しただけといえばそうだ。ならシューバーを解放軍に誘った俺が悪いのか。いや、そんなこと言っていたら何も出来はしなかった。突き詰めて考えればだ、結局人間と魔族が根本的に共存不可だということが原因なのか、と一応正解の候補らしき物を発見したとは思っても。
「シュレンもエリーゼも別に何も悪いことはしてないのに......何の責任もないのに。何であいつらは親がいない引け目を感じなきゃならないんだ」
それが運命だからなんてお題目を唱える奴がいたら有無を言わせずにぶん殴っていただろう。俺だってこの四年間頑張ってきたし、双子は双子で実の両親がいた方がやっぱり良かったんだろうし。それに気づいているのは俺だけという不公平に耐え切れず、俺はシュレンとエリーゼに真実を告げようとしているのかと自分を疑いたくなったこともあった。
温くなりつつあるエールを喉に流し込む。俺という入れ物の中から感情が吐き出されて出来た空白をそれで埋めるように。一杯5グランのエールの苦みと香りで埋まる程安っぽい空白じゃないのは百も承知で、それでも飲まざるを得なかった。
「あのね、話してもいい、ウォルファート様」
それまでじっと聞いていたアニーが口を開いた。酒精が回り始めた頭をうなだれて俺は耳を傾ける。
「あたし、シュレンちゃんとエリーゼちゃんはウォルファート様に出会えて良かったと思うよ。あの、それはもちろんご両親が存命だったら一番良かったと思う、けど貧しい村とかだと子供の食い扶持稼げなくて口減らししたりとか今でもあるじゃん。比較するのは間違ってるけどさ、双子ちゃんはそれに比べたら幸せだよ」
「......」
「ほんとに赤ちゃんの頃からシュレンちゃんとエリーゼちゃん知ってるし、ウォルファート様がぶちぶち文句言いながらも世話投げ出さずに二人を見てきたのも知ってるよ。夜泣きに付き合ったりとか、離乳食慣れない手つきで作ったりとかもやってたじゃないですか。そんなに献身的に頑張ってね、実の親だからとかそんなの別にして双子ちゃんに届いてないわけないですよ」
あれ、俺の目がおかしいのかな。なんかアニーが泣きそうな顔してるように見えるんだけど。
「王都来てからも忙しい中で公園連れて行ったりとか玩具作ってあげたりとか出来ることはやってると思うし......だから、だから、ええと、あたしも上手く言えないんですけど、ウォルファート様がそんなに悩んでると悲しいんですよっ! ご両親がいなくたってウォルファート様がいればシュレンちゃんとエリーゼちゃんは絶対大丈夫ってあたし信じてるから、だから」
「アニーさん、アニーさん。うん、分かった分かったから。ね、ほら、お水飲んで落ち着いてください」
感情を爆発させて卓上に視線を落としたアニーの肩をぽんぽんとロリスが叩く。水の入ったグラスをアニーの手に押し付けるようにしながら青い髪の退魔師はそのオレンジ色の瞳をこちらに向けた。俺は無言でその視線を受ける。
「僕は......アニーさん程、ウォルファート様と双子ちゃんの関わりを見てないので何とも言えないですけどね。でもそれだけ自分のことを心配してくれる人がいるシュレンちゃんとエリーゼちゃんはきっと大丈夫だろうと思います。それに忘れないでください」
ロリスの目が俺からアニーに移った。まだうなだれたまま水を飲むアニーを見るロリスの視線は優しい。
「アニーさんだっているし、僕だっています。ラウリオさんやアイラさんだっていますしたまにはエルグレイさんだって王都に顔を出してくれる。何より一番身近にはセラさんがいるじゃないですか。双子ちゃんと勇者様が傷ついたとしても皆でカバーしてあげますから、大丈夫です」
「すまん」
「こんな時に謝らなくていいですよ」
「いや、そういう意味じゃなくてな」
全部が全部納得出来たわけでも安心出来たわけでもない。けど、アニーとロリスが本心から言ってくれているのが伝わってきた。俺がロリスに謝ろうと思ったのは、自分一人で抱え込み過ぎて周りの人間に何にも相談しなかった点だ。
俺が一人で育ててきたわけでもないのに。
周囲の人に見守られて双子は育ってきたってのに。
それを忘れて一人で悩んで何だか馬鹿みたいだなとちょっと恥ずかしくなった。
「まあ、僕が言えるのはそれだけです。あっ、もう一つだけ大切なことがあったんだ」
「ああ、聞くよ。言ってくれ」
「見るだけならいいですが触らないでくださいね? いくら僕の美脚が魅力的だからって」
「どこが大切なことだ、見てもないしましてや触るか! 誤解招くような言い方止めろ!」
ショートパンツから伸びた脚を組みながらニヤニヤ笑うロリスに文句を言いながらも俺は内心呟いていた。"お前らありがとうな"ってな。だから今日はいじられることに文句は言わねえさ。
******
「ハレ、ここどこでふか?」
「局地的には俺の背中、もう少し大きな視点で言えば俺の屋敷の近く、つまりお前の住まいの近く」
案の定アニーの奴は酔い潰れたのでロリスと別れた後、俺はアニーをおんぶして運ぶはめになった。まあ別に重くはない。あと少しで屋敷の敷地内ってところでアニーが目を覚ましたってわけだ。
「ふ、ええっ!? あたし酔い潰れちゃって勇者様におぶわれて運ばれてるってことですか!」
「あー、そうだよ。感謝しろよ、潰れるほど飲むなよ、全くよ」
「脚とかお尻とか触ってないですよね!? いくらスカート越しだからってそれは駄目ですよ!」
「ほうり出すぞ、このやろー!」
うん。まあ、あれだ。こんなアホみたいなやり取りも出来て今夜は楽しかったってことにしとくか。




