絶対に読まないでください
「するなと言われるとしたくなるのはなんでだろう」
僕がそう問いかけると彼女はこう答えた。
「人の心は悪魔が住んでいるからよ」
「悪魔と言うと?」
「もともと人の心はとても綺麗に澄んでいるのよ。嘘はつかないし嫉妬だってしないの、本来はね」
「それじゃあ、悪魔はいつ人の心に住み着くんだい?」
「ママの口紅をこっそり使ったときかしら」
彼女の心にはずいぶんと淫乱な悪魔が住み着いていそうだ。
「じゃあ、僕の心はすんでいるようだね」
「ええそうね、男の人は口紅なんて使わないものね。ところで、あなたは私のこと愛してる?」
「もちろんだとも。世界中の誰よりも愛してるよ」
僕はそう言って彼女を強く抱擁した。
「それじゃあ、この女はどこの誰かしら?」
彼女は1枚の写真を突きつけてきた。
それは、僕が女の人と唇を重ね合わせている写真だった。
「さあ、誰だろう。僕はしらないなあ」
「ふざけないで。あなたの知り合いだろうがそうでなかろうが関係ないわ。あなたが私以外の女とキスしてることが問題なのよ」
「ごめん。僕も本当はキスなんてするつもりはなかったんだ」
「じゃあ、どうして!?」
「僕の心は住んでいるから」
心の悪魔にはご注意を。
一言でも感想頂けたら嬉しいかぎりです。