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ダ!ジャレ系シリーズ

じぶんのけっこんかんについて・・・

作者: kouzi3

・・・


「警部ぅ~。やっぱり、この女の狂言なんじゃないですかねぇ~」


「!」


「どうして、そう思うのかね?警部補」


「いやぁ~。だって、この女がいうようなことが、もし、この部屋で行われたなら、間違いなく、この部屋に何らかの痕跡が残ってないとおかしいでしょう?」


確かに、その現場は、人が怪我をおうような傷害事件が発生したにしては、綺麗すぎるほどに整ったままだった。


「これだけ、鑑識のみなさんが、調べてるのにも関わらず、犯行の痕跡がなにも見つからないなんて、おかしいですよ。」


大勢の捜査官が、部屋中を行ったり来たりしているものものしい雰囲気の中、被害者・・・であろう、その女は、さきほどから、やや青ざめた顔で、不安そうに、部屋のあちこちに視線を彷徨わせている。


「ふ~む。」


私は、確かに腑に落ちないものを感じながらも、先ほどから、その女の表情などを観察し続けていたが、何か女が隠していることがあることは間違いないが、この部屋で傷害事件が発生したと、その女がウソをつく理由がまるでわからなかった。


しかも、その女が主張する犯行時刻。


確かに、この部屋で、人の言い争う声を何人もの近隣住人が耳にしており、そして、大きな打撃音が響いた後・・・それっきり、言い争う声も聞こえなくなったという証言が、複数得られていることも間違いのない事実であり、この付近の住民が、全員で口を合わせて、我々捜査陣を攪乱しようとする意図でもなければ、この部屋で何かあったことは、間違いないと思われた。


そう、わざわざ、付近住民が、総出で我々にウソをつく理由などありはしないのである。


そして、その女が、警察に助けを求めてきたとき、確かに、その女の顔は血にまみれていた・・・


・・・しかし、あれだけ大量な出血であったにも関わらず、治療を受け、顔を洗浄した女の顔は、現在は、どこに怪我を負ったのかも分からないほどに、儚い美しさをたたえていた。


(いったい、なんなんだ?)


私は、先ほどまでの女の様子を思い出しながら、一人思考にふけった。


(我々に助けを求めに来たとき、この女は、バッカ-の 一つ覚えのように「婚約者が突然、乱暴に襲いかかってきた!そして、自分以外の人間にも襲いかかるかもしれないから、何とか捕まえて欲しい・・・と、鬼気迫る様相で訴え続けた・・・バッカーの?う~ん、錬金術と悪魔の知識で作られた酒でも飲んで、少々の怪我でもすぐ再生するのか?・・・)


「警部!何、さっきから一人で、ブツブツ言ってるんですか?」


(!はっ・・・いけない、ラノベの読み過ぎで、寝不足だから、変な想像をしてしまった。)


応急処置をした担当によると、出血はひどかったものの、その女は大量の鼻血が顔中を覆だけであり、鼻血が止まり、顔を拭いたあとは、とくにキズも残らなかったとのことだ。


しかし、その程度のキズであるならば、傷害事件などと大げさに扱う必要もなかったのではないか・・・


「警部、この現場から逃走したと思われる容疑者3人の目撃情報が入手できました。」


「ん、なんだ、本当に、この現場から逃げ去ったヤツがいるのか・・・」


「はい、一人はサングラスをかけたバーテン服の男、もう一人は黒いライダースーツを着て黒いバイクに乗った男(?)、そしてもう一人は白衣に白いガスマスクの男です。」


「・・・なんなんだ、その絵に描いたような怪しい奴らは・・・。」


私は、その女に向かって尋ねた。


「今の目撃情報の中に、あなたの婚約者と一致する人物はいますか?」


「・・・わかりません・・・変装している可能性もありますし・・・」


小さい声で、その女はつぶやき、そして、暫くの沈黙の後、私の目を見据えて訴えてきた。


「お願いです。早く、彼を捕まえて下さい。彼は、自分の感情が抑えられないんです。激高すると、見た目によらない怪力で、相手に見境無く、ひどい怪我を負わせてしまいます。」


「・・・」


(なら、きっとサングラスのバーテン服の男だな・・・)


思いながらも、私は、その女に向かってこう言った。


「お嬢さん。しかし、この部屋の状況を見る限り、この部屋で、あなたの言うような騒ぎがあったとは、ちょっと信じられないのですがねぇ・・・」


確かに、犯行時刻から、我々がこの現場に到着するまで1時間程度の時間があり、手際よく犯行の痕跡を消去してから逃走することも不可能ではない。


しかし、女のあれだけの出血量が、この部屋であったのなら・・・その痕跡がまったく、この部屋から発見されないのは何故だ?


「わ、私が、自分で探しますから・・・信じて下さい。」


そういって、女は必死に、部屋の中を探しはじめた・・・そして、数分後・・・


女は、ある物を手にとり、嬉しそうにこう言った・・・


「あった、私の血痕、缶についてる!」


・・・ わたしの けっこん かん に ついて る ・・・



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