七
ど、どどどどどどどうしよう。私に話って・・・
あ、失礼。私は百々椋、十七歳です。馬鹿と村雨以外には基本敬語です。語り部が急に変わって驚かれたでしょう。先に可能性をつぶしておきますが、これは本当の私であって翼さんがふざけているわけではありませんよ。まあ、翼さんがそう言って読者をだましていると考えている方もいるかもしれませんが、そんな嫌な考えの方は滅びてください。ひねくれ者よ、滅びよ!
さて、これで私を私と認識している方しか生き残ってないと思いますので、そろそろ問題に移ります。
どどどうしよう。翼さんが私に話・・とりあえず言われたとおりに皆には先に行くように伝えきたけど。
一応言っておきますが、私は翼さんのことが好きです。だからこの状況は万々歳なのですが、それでもやはり緊張を隠せません。
迷っているうちに再び翼さんの部屋にたどり着いた私。震える手でノックします。
「翼さん、皆には伝えてきました!」
「おつかれ、中に入って」
部屋に入ることが許されました。もちろん初です。
「し、失礼します」
いざ入ります。
おおっ! 本が多いです。いつも本を読んでいるし、読書が趣味なんでしょう。
「とりあえずそこに座って」
私は翼さんに誘われるままにベッドに座ります。これから何が起きるのでしょう・・・まさか、あんなことやこんなことが・・・
「それで話なんだけど、椋にしかできない相談なんだ」
「な、ななな何でしょう?」
私にしかできない? たとえどんなことでも翼さんのためならやって見せましょう!
「お前だけが頼りなんだけど、いいか?」
「は、はい!!」
私は返事をします。すべてを受け入れる覚悟をして。
翼さんが私のすぐ横に座りました。そして顔が近づいてきます。唇の接近!?
私の心臓がものすごいテンポを刻んでいます。十六ビートどころじゃありません。
これ以上見ていることに耐えられなくなった私は、眼をつぶります。完全に待ち状態です。
翼さんが息がかかるほど近くに、そして・・・翼さんが耳元で囁きます。
「そのままで聞いてくれ、今から大事なことを話す」
「・・・は、はい?」
「このままでは、オレたちは今日グランデに抹殺される」
突然のことに頭が真っ白になりました。パニック×百!
「え、あ・・・」
「大丈夫か、落ち着け。お前のパンツは何色だ?」
「え? あ、白です。って、え~!!」
パンツの色を聞かれました。そして驚きました。つばさんの質問に対してもですが、素直に答えてしまった自分に驚きました。
「よし、落ち着いたな。悪いが時間がないんだ、とりあえずオレのパンツの色も教えるから、それでお相子ってことにしておいてくれ」
「だ、大丈夫です! パンツはもういいです・・・」
「そうか? じゃあ本題に戻るぞ。・・・・・・」
それから、約十分。私はすべてを知らされました。私たちが今日殺される予定であること、それを防ぐための翼さんの策戦、それのための私の役割。
「分かりました、これからするべきこと、私のするべきこと。私は”以心伝心”で皆に伝えればいいんですね」
私は自分の見当違いな妄想に改めて赤面しました。なんて恥ずかしいことを考えていたんでしょう・・・私が必要って、そういう意味だったんですね。”私”じゃなくて”以心伝心”が必要だったんだ・・・
少し気分が沈んでしまったけど、翼さんの命令ならば必ずやり遂げて見せましょう。
それでも、私の心にいはまだ何か、言葉にしにくいもやもやしたものが残っています。
とりあえず一人になりたい、そう思い、私は翼さんの部屋を跡にしようとして立ち上がります。しかし、そこで翼さんが私の腕をつかみました。優しく強く、強く優しく。
「誤解しないでほしいけど、オレは椋が以心伝心を使えるから最初に伝えたわけじゃないぞ」
まるで私の心を呼んだかのような台詞を言う翼さん。
「皆に情報を伝えるだけなら、ほかにいくらでも方法がある。オレがお前に最初に伝えたのは、椋が椋だからだ。お前には軍師の護衛、オレとのペアについてもらいたい。だから・・そんな顔するなよ」
「翼さん・・・」
また見当違いの勘違いをしていました。翼さんがこういう人だからこそ、私は主君に選んだというのに。
「了解しました。百々椋、これよりあなたの親衛隊隊長を勤めさせていただきます! つきましては今回の情報通信役、必ず成功させて見せます」
がんばろう。翼さんのために、私のために、みんなのために!




