弐
オレたち一行はルーム、ここでの生活スペースへ向かう。ルームは、一流ホテルのスイートルームと形容しても差し支えないほどの豪華な施設だ。なぜオレたちがそんなセレブな場所に住んでいるのかというと、それはオレたちが名家名門のご子息ご令嬢だからなんて、ありがちな理由ではない。オレたちはもともと去年まで、新暦九年までは、普通の学校に通っていたのだから。オレ自身は昨年は地元の県立高校の一年生だった。それがなぜこんな特別待遇を受けているのかというと、それには少し長い説明が必要だ。
まず言っておくと、そもそもここは地上ではない。”グランデ”が造った、特別児童教育施設”プリビレッジ”の第三号、関東校だ。大きさは一般的な学校と同じ程度で、衣食住に困らない程度の施設がある。
ここにいるオレを含めた生徒5名は、皆何かしらのスキルをグランデにかわれて無償で教育を受けている、いわば特待生だ。ここで一年間の高校卒業レベルまでの教育を受けたら、それからはイギリスで専門教育が始まり、卒業後はグランデの上流階級の仲間入りということになる。決まったレールを歩かされてる感じで少し気分が悪いが、日本にいてもただの労働力、その他大勢として一生を過ごすことしかできない。それよりはマシだと思うだろ。
”グランデ”というのは10年前に世界統一を成し遂げたヨーロッパ各国が協力して組織だ。簡単に言えば、今の世はヨーロッパの支配下ってわけだ。さっき言った”新暦”というのもグランデが世界統一をした時にたてた世界共通の年号だ。ここ日本も含め、いまだにグランデに反発している地域もそこそこあるようだが、それが鎮められるのも時間の問題だろう。
大体、ここまで大きな組織に立ち向かうなんてのが間違っている。そんなことしても結果は見えている。負けたオレたちがいくらあがいても、世界は何も変わらないのだから。




