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エンジェルジャッジ  作者: 高居望
第一章 脱出編
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「仲間になってくれませんか?」

 おみくじタイム。彼女の回答は大まかに四通り。大吉、中吉、小吉に凶。オレとしては中吉を引きたいところだ。

「う~ん、そうねぇ・・・」

 頬に手のひらを当てて考え込んでいるポーズをしている。本当は答えなんて即決だろうに、無駄な演出をしている先生。

「結構魅力的な案だけど、今回は断っておくわ。いくらあなたが麒麟といっても、まだ二割も使いこなせていないし。まだまだうちのボスほどではないわねぇ。だから、返事はノーよ」

 指で小さなバツを作って拒絶を表している。どうでもいいことだが、彼女の一挙一動がいちいちイライラさせてくる。

「そうはいっても、」

 話は終わりかと思ったが、彼女は再び話し出した。

「私の反応はあなたにとっては起こりうる最高のものだったでしょ?」

 相変わらず、見透かしたようなことを言う。

「私が仲間になるってのはさすがに都合がよすぎよね。だからその問いの真の狙いは私から情報を引き出すごと、そうよね? これであなたは私の上にいる人間の存在、それに彼女が麒麟を持っていることもわかったわね。あ、大丈夫よ、それを先読みしてダミー情報を流したりしているわけじゃないから。あなたはダミーには疑り深いからねぇ。ついでに言えば私たちグループの幹部は全員で七人よ。さて、サービスはこれぐらいでいいかしら?」

「・・・。ええ結構です。有益な情報をありがとうございました」

 ここまで見透かされていると正直言葉もない。彼女がまだオレの”生徒”と甘く見てくれていることが唯一の救いだ。

「あらあら、つい話が長くなってしまったわね。村雨むらさめくんとまわりさんももう動けるようね」

 二人もようやく動けるか。これで一応五対一だが、ここまでの差を見せ付けられてなお戦うほどにバカな奴はこのチームにはいない。

「それじゃあ、またあえることを確信しているわ」

 パチン、と彼女が手をたたき、その音がレたちの耳に届いたころには彼女はもう消えていた。

「すまない、翼。油断していたわけではないが、完全に力不足だった」

「イテテ、先生ぜんぜん本気出していなかったけど、文字通り手も足も出なかったね。ていうか、出会って早々固められちゃったんだけどね」

「いや、いいさ。彼女はこの施設内で最も強い人間。逆に言えばここからは先生以上の能力者は出てこないってわけだ。だがあの奇襲で作戦は完全に狂った。今から新しい策を伝えるからよく聞いてくれ」

 そう、オレたちはここで死ぬわけには行かない。まだやりたいこと、やらなけれないけないことがある。そのためにはこんなところで躓くわけには行かない。

「というわけだ。全員把握したか? よし、それじゃあ実行だ」


「な、なんだあいつ? 銃も素手も魔法すらもきかないだと!?」

「やばい、どんどん近づいてくるぞ! あいつ頭がいいだけのガキじゃなかったのか?」

「やつを地上に出すな!」

「フン、無駄だ。お前たちの動きはすべて見えている」

 現在出口まで後三十メートル、オレは単独で敵軍に立ち向かっている、ように見えているようだな。当然オレの無敵状態にはタネがある。みんなの補助でオレを最強の存在に見せているだけだ。

 圧倒的な力が自分たちに近づいてくる、この恐怖が敵の力を半減させている。五人の人より一人の神、まぁこんな策は相手がよほどの小物でない限り使えないがな。

「そろそろ終わりの時間だ。沈め」

 敵のほうに手のひらを出し、すべてを破壊するエネルギー波を出す。これももちろん、廻とむくが本来の先頭ではありえないほどのため時間を使って発動させたものだが。

「ぐあぁぁ!!」

「に、逃げ、わあぁぁ!」


「これで制圧か。結局先生は本当に出てこなかったな」

「あも人はきっと早々と退散していたのでしょう。この瓦礫の下にいた、なんて幸運はありえませんね」

「うぅ~、先生にはいつか借りを返さないとね!」

 上を見上げればそこには本物の空が、一年ぶりの太陽がある。足元には旧プリビレッジ、今はただの瓦礫の山と化しているが。

「とりあえず、脱出は成功だな。ところで翼、オレたちはこれからどうする?」

「決まっている。『グランデ』をつぶす。それがエンジェルジャッジの最初の活動だ」

 グランデ、奴らのやり方は醜い。この組織の壊滅はこれから生きている上では避けられないものだ。先生、そしてそのボスの麒麟持ち、彼女らとも戦うことになるだろう。

「グランデの崩壊、これに異存のある者はいるか? それじゃあ、天使の裁きといくか」

 まだ続きのある雰囲気を出し筒の最終話です。

 最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございました。

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