それでも君を手放せない
帝国歴1183年──
帝国を支える名門〈ヴィゼリウス家〉の嫡子シリルは、幼くして正統な継承者の証「正妻の印」を継ぎながらも、義父の陰謀により帝都を追われる。
彼が保護された先は、皇統の血を引く帝国唯一の大公家〈ヴィオレーヌ家〉。
その屋敷で、彼は一人の少女と出会う。
彼女の名はレーヴ・ド・ヴィオレーヌ。
紅玉の瞳と黒髪を持つ気高き少女は、母の死と継母からの冷遇にも決して折れぬ意志を宿していた。
そして──同じく「正妻の印」を持つ者として、運命に抗いながら気高く生きるふたりの絆は、誰にも知られぬまま、密やかに芽吹いてゆく。
やがて、帝国と隣国との間に戦が勃発し、シリルは12歳にして戦地へ。
そこで彼は数多の修羅場をくぐり抜け、“黒豹”の異名で知られる将軍へと成長する。
一方、屋敷に残されたレーヴもまた、社交界の陰謀や継母の画策の中、自らを「悪女」として演じながら、誰にも見せぬ涙を流していた。
──そして六年後。
勝利の凱旋とともに帝都へ戻ったシリルは、再びレーヴと対面する。
だが、かつて交わした“約束”を胸に再会を望んだ彼の前に立つのは、冷たく完璧に微笑む「帝都の薔薇」と謳われた彼女だった。
皇帝の策略、皇女の執着、妃選びの舞踏会──
次第に加速していく運命の渦の中で、ふたりの「約束」は、果たして愛か、あるいは破滅の始まりか。
帝国を支える名門〈ヴィゼリウス家〉の嫡子シリルは、幼くして正統な継承者の証「正妻の印」を継ぎながらも、義父の陰謀により帝都を追われる。
彼が保護された先は、皇統の血を引く帝国唯一の大公家〈ヴィオレーヌ家〉。
その屋敷で、彼は一人の少女と出会う。
彼女の名はレーヴ・ド・ヴィオレーヌ。
紅玉の瞳と黒髪を持つ気高き少女は、母の死と継母からの冷遇にも決して折れぬ意志を宿していた。
そして──同じく「正妻の印」を持つ者として、運命に抗いながら気高く生きるふたりの絆は、誰にも知られぬまま、密やかに芽吹いてゆく。
やがて、帝国と隣国との間に戦が勃発し、シリルは12歳にして戦地へ。
そこで彼は数多の修羅場をくぐり抜け、“黒豹”の異名で知られる将軍へと成長する。
一方、屋敷に残されたレーヴもまた、社交界の陰謀や継母の画策の中、自らを「悪女」として演じながら、誰にも見せぬ涙を流していた。
──そして六年後。
勝利の凱旋とともに帝都へ戻ったシリルは、再びレーヴと対面する。
だが、かつて交わした“約束”を胸に再会を望んだ彼の前に立つのは、冷たく完璧に微笑む「帝都の薔薇」と謳われた彼女だった。
皇帝の策略、皇女の執着、妃選びの舞踏会──
次第に加速していく運命の渦の中で、ふたりの「約束」は、果たして愛か、あるいは破滅の始まりか。