精霊魔法
精霊魔法において1番大切なのはイメージだ。
僕は精霊魔法を使ったことがないのにそれだけは分かった。多分固有スキルはその種族が生まれながらにして備わっているものだからだろう。だからこそ基礎的な知識はあるのだ。とりあえずとても沢山の水をイメージする。すると大気中にある魔力が集まった。
集まった魔力が全て水に変換された。
今僕の上空には4メートルくらいの大きな水玉が生成されていた。あれ?これどうしよ?
このまま落としたら楓まで巻き込んでしまう。でもこのまま制御は出来ない。多分魔力操作の熟練度が低いからだろう。まあ楓がいない後ろの方へと放ってみるか。
「『巨大ウォータボール』」
後方へと放った巨大ウォータボールは木を沢山なぎ倒していった。威力がヤバいな。
これは使い所を考えなきゃね。爆音を聞きつけ楓がやってきた。
「だ、大丈夫です?大きな音しましたが」
「ごめんごめん、大丈夫思ったよりも威力あったから」
「へ?」
楓は木が何本も倒れている光景をみて顔を引きつっていた。
「これを?瑠璃が?」
「うん脅かしてごめん」
「とりあえずここから離れるです。音を聞きつけて魔物などが来るかもです。」
「うーごめん」
まあ、ぶっつけ本番で使っていたら楓も巻き込んでたかもだし練習出来てよかった。
それから僕達は移動しながら話ていた。
「楓は固有スキル使えた?」
「はい、鬼人化は身体能力がとても上昇しました。軽く木を殴るだけで吹っ飛んだです。」
え?殴るだけで木が吹き飛ぶって怖。楓は怒らせないようにしよ。
「あと妖術で火を作ることが出来ました。
これで野宿もできるです。」
そうか野宿も視野にいれなきゃか。もう少しで日が暮れるし今日は野宿か。正直得体の知れない世界の森で夜を明かすのは不安があるのだが。僕たちはこの森にずっと居たが魔物はおろか動物にも出会っていない。あの遊戯神様が魔物のいない場所を選んでくれたのか?わからないがとりあえず寝床を作らなきゃ。
「葉っぱでも集めて寝る場所作らない?」
「分かったです」
それから僕達は葉っぱ等を集めて寝る場所を作ったがあまり意味は無かった。夜になると
気温が低くなり風が吹いてきた。せっかく作った寝床が風に吹き飛ばされた。だから今は
楓の妖術で火を作って暖をとっていた。
「うーーさむい」
「さむいです」
「今日は明日に備えて早く寝ようよ」
「そうですね、そうするです」
それから僕らは寒いので抱き合って寝た。
少しドキリとしたが気にしないことにした。
そんなことを気にしていたら多分生きては行けない。
翌日、朝起きたら楓は横にはいなかった。
周りを見渡してみると地面に「川の水を飲んで来ます」と書かれてあった。そういうことなら起こしてくれればいいのに。
とりあえず僕も川の方へ行ってこよう。
川に着くと裸の楓がいた。
へ?なんで裸?いや水浴びか?とりあえず見なかったことにしよ。ゆっくり後方へと下がろう「バキッ」枝を踏んだ。
うむ終わった。いやまあ、仕方がないよね?
不可抗力じゃん?僕悪くないやん。
「そこに誰かいるです?」
「ち、違うんだ、見る気は無かったんだよ」
「なんだ瑠璃ですか」
「いやなんで落ち着いてるの?」
「別に同性に体を見られても」
ん?まさか楓って男なのか?でもさっき見た時はついてなかったし。見間違えか?ちなみに僕はいま後ろを向いてるし確認できない。
「楓って男なの?」
「は?喧嘩売ってるです?」
違うぽい。いやね?まさかだとさ思うけど、
僕女だと勘違いされてる?いやまあ、よく中性的な顔立ちとは言われるし髪も結構伸びてるけど一応男だとは分かるはずだ。あれ?僕って精霊になってから自分の顔見てないじゃん?もしかして女になってる?まあ、下半身に感覚はあるからそれは無いとして、顔が女性ぽい顔立ちになっているとかはあるかもしれない。そうじゃなくても勘違いされてるこの状況はヤバい。後からバレたら殺されるかもしれない。それだけの力を彼女は持っているし、流石にないとは思うけどね?
「楓さん」
「どうしたです?」
「僕、男です」
「え?いやいや流石にそんな可愛い顔してそれはうそです。」
あ、やっぱり顔とか変わってそう
「あのですね、落ち着いて聞いてほしいのですがさっき言ったのは事実ですね、はい」
「きゃあーーーこっち来んなです。この変態野郎。あ、うわ」
「バシャン」水に落ちたおとがしたので反射的に振り返ってしまった。やば目が合った。
てか普通に川浅いじゃん。普通に転んだだけか。とりあえずなにか言わなきゃ。
「とりあえず服きて話そうか?」
そう言うと楓の赤かった顔がもっと赤くなっていた。
「〜~~~死ね」
「と、とりあえず僕は後ろ向いてるから」
まあ、これは誰も悪くないよね?多分あの遊戯神を名乗るやつが悪いんだ僕は悪くない。