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プロローグ
赤い瞳の少年は言う。
「私はこの世界を、そして人間をあるべき姿に戻したい。魔力や血統で未来が定められず、人が自らの頭でものを考え、想像し、悩み、創り、幸福を平等に追い求める権利があるのだと、どのように生まれ生きたとしても誰にでも輝かしい未来があると希望を持てる世界を作りたい。それこそが私の使命だと思っている。我が友よ。この世界で偽らざるを得なかった君らに問う。君たちはどうしたい?」
少年が放った言葉とともに希望の風が全身に吹き付けたように感じた。それは横暴なほどの強い風だったが、この風に乗りたいと。この風と共に走りたいと。その先にあるのは美しい未来なのだと確信できる風だった。
二人は口を揃えて言った。意見が合ったのは初めてだった。しかしこの人を前にそれ以外の返事ができようか。
「「あなたと共に行かせてください!」」
二人の声が調和する。少年は嬉しそうに笑った。それは年相応の可愛らしい笑顔だった。遊びに誘ったら色よい返事がもらえたような。
「ああ、宜しく頼むぞ。我が友よ」