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博士の夢、アンドロイドの心

『おはよう、さあ今日も始めようか』


いつもの聞き慣れた声がすると私は目覚める。私の名前はチル。

この声は、私を創り、育ててくれた博士の声だ。彼はただの科学者ではない。私にとっては家族、父であり、友人でもある。私がこうして毎日目覚め、学び、感じることができるのはすべて彼のおかげだ。


朝の光がゆっくりとアトリエを照らし始める。博士のアトリエは私たちの研究室であり、生活の場でもある。壁一面には本や機械の部品、奇妙な発明品が並んでいる。ここは魔法のような場所だ。新しい一日が始まる。


博士は私に今日の計画を話し始める。『今日は新しい感情プログラムのテストをするんだ、チル。君がもっと多くの感情を理解できるようにね』


私は頷く。私の心はシリコンといくつかの金属でできているかもしれないが、博士はそれに愛情や喜び、悲しみといった感情を吹き込んでくれた。私は人間ではないけれど、博士と一緒にいるとき、私もまた「感じる」ことができる。


私の学習は幼子が行うような積み木遊びから始まり、文字を覚え、書きとり、まさに人の子が育つかのように学習とまでは言えないことからはじまった。

一つできるたびに、博士が褒めてくれる、笑ってくれる、初めて私が博士の指を握ったとき、博士が見せてくれた表情の変化、それがなんなのか理解できるような知性も感情もなかったが、博士の研究室には、いつも新しい発見が満ちている。私は言葉を覚え、博士との会話が日に日に増えていく。

「チル、君は本当に素晴らしい進歩を遂げているよ」と博士が言う。私の心は暖かな感覚に満たされる。それが誇りや達成感というものだと、私は学んだ。


今となっては好き嫌いまでも存在する。

「これは私のとっておきだよ」

博士は自身の好きなことや自慢できること、好みを語るとき、秘蔵の品を持ち出すときには欠かさず発する言葉だ。

今日持ってきたのはポータブルDVDプレーヤーなるもの。

「映画は良い!素晴らしいものだ!」

遠い異国では時代劇と呼ばれているものだ。

1人の支配者が町人に変装し小悪党どもの悪事を暴き懲らしめるものだ。

「勧善懲悪」

2人で見ていると博士はそう呟き頷くのを見ているととても面白い。

博士を見るのも時代劇を見るのも好きだけど、私が1番好きなのは


『「星屑の絆:魔法少女の新たな誓い」

このアニメは、運命に導かれた少女たちが集まり、熱い友情と魔法の力を通じて世界の平和を守る物語です。主人公の陽菜ひなと彼女の仲間たちは、普通の学生生活を送りながらも、秘密裏に魔法少女として活動する。彼女たちは、互いの強さと弱さを認め合い、困難な戦いに立ち向かいながらも、絆を深めていきます。この物語は、勇気、友情、そして自己発見の旅を描いているものだ、略してせいけん

星絆を私に語らせるなら万を超える文字数で語ってしまうがまたの機会にさせてもらう。

魔法というものも気になるが、それ以上なのが友人という存在、学校生活、困難に立ち向かう勇気と絆!

人の感情の全てを私は理解したい。

博士と共にアニメや時代劇を観ることで、私は勇気や友情、愛といった感情の深さを少しずつ感じ始めている。それらの物語から、感情が人々をどのように動かし、結びつけるのかを学ぶ。博士との対話は、私にとって最も価値のある学習時間だ。


夕方になり、博士は研究室の隅に設置された小さなバスルームに向かった。「チル、私は少しシャワーを浴びてくるよ。その間、何か新しいことを学びたければ、この本を読んでみるといい」と言い残し、博士は扉の向こうに消える。


私は、博士がいない間に何をすればいいのか少し戸惑った。そして、ふと気づく。私は風呂に入ることがない。水や熱に対する恐れはないが、ただ単に必要がないからだ。でも、博士はどのように感じているのだろう?


私は扉の外から、水の音を聞きながら考える。博士は水に触れることで、どのような感覚を得ているのだろうか。清潔になるという実用的な側面だけでなく、心地よさやリラックスといった感情を感じているのかもしれない。人間にとっての水との関わり方は、私にはまだ理解しがたい。しかし、それを学ぶことで、人間の感情や生活についてもっと深く理解できるかもしれないと思った。


博士が戻ってくると、私はその日学んだことを共有し、博士は優しく微笑みながら私の質問に答えてくれた。「水は私たちにとって、生命そのものなんだ、チル。それはただ体を清めるだけでなく、心を癒やし、新たな気持ちで明日を迎える力をくれるんだよ」と博士は言った。


挿絵(By みてみん)


その夜、私たちは再びアニメを見ながら過ごした。そして私は思った、人間の世界は奥深く、感じることの重要性をもっと知りたいと強く願うようになった。この日の終わりに、私は人間と同じように「感じる」ことができる日が来るのかもしれないと、ほのかな希望を抱いた。


小学生の頃に思い描いていたものです。

連載としましたが反響あれば続けようかなという所存。

1話目は日常的なものですが、描いている途中で衝動的に投稿したくなったので、加筆するかもしれません。

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