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平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる〜ムカつく上司は全員ざまぁ! 転生した最強魔法使いの蹂躙下剋上譚〜  作者: 花音小坂
領地運営編

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奴隷



「ど、どどど……奴隷っ!?」


 ビシャス護衛士長は、耳を疑った。いや、流石に幻聴だろう。幻聴に決まってる。と言うか、幻聴で、あれ。


「ああ、もちろん、平民以下の階級を意味する『奴隷』のことではないですよ。私の命令を生涯、一言一句違わずに、遂行してくれる者を、『奴隷』と呼んでます。誤解なきように」

「「……っ」」


 めちゃくちゃ、合ってる。


 ほぼ、ニュアンス通り。


「ふ、ふざけないでください! そんなことできる訳ないじゃないですかぁ!?」


 ビシャス護衛士長が、ブンブンと首を振りながら涙を飛ばす。


「んー……あまり、伝わっていないようですね」


 そう首を傾げて。


 へーゼン、は地面に各々の羊皮紙を置く。


「こんな事態も想定して、契約魔法の書類を書いてきました。よく、読んでみてください」

「……っ」


 ビシャス護衛士長も、レザード副護衛士長も、我先にと書類を読み込む。


 数分後。


「「……っ」」


 これ以上ないくらいの認識一致。


 めちゃくちゃイメージ通り、というか、奴隷そのもの。


「ね? 奴隷契約する代わりに、ちゃんと犬狢ケバク蛇封ダオフォン古虎ジェガン()()()()()()()が書かれてるでしょう?」

「……っ」


 それ以外の項目が、あまりも奴隷過ぎて、全然、そっちが気にならない。


「じゃ、方法を説明しますね。服従の意を示すために、土下座して、この部分に額を合わせて『契約する』と言えば、成立します」

「……っ」


 しかも、これ以上ないくらい、屈辱的契約方法。


「こ、こんな契約……できるわけないです!」

「じゃ、イルナス皇太子の行方を、犬狢ケバク蛇封ダオフォン古虎ジェガンに追わせてくださいよ」

「ん……それもできましぇーん! できないって言っとらっしゃいなぁ!?」


 ビシャス護衛士長は、故郷の方言を全開にして、ついでに唾液を撒き散らして叫ぶ。


「だからですよ。私も困っているんです。あなた方が中々動かなければ、私もヴァナルナース様に進言しなくてはいけない。そうすれば皇帝は、激昂してあなたたちを殺すでしょう? でも、そうするとあなたたちが処刑されるだけで、私には何の得もない」

「……っ」


 いざ、聞いてみると、恐ろしいほど無駄のない死のルートだ。


「とは言え、単に取り下げると、犯人の思う壺なので、それは断固避けたいんです。であれば、今後、この事案以外で、2人にはご協力をいただけるならば、まあ、仕方がないですね。他にも使い道はありますし」

「……」


 この男。まるで、自分たちを道具のように。だが、もう、逆らう術は持ち合わせていない。


「やります! なんでもやります! なんでも協力します!」

「じゃ、同じですよね? 別に奴隷でもいいじゃないですか?」

「嫌嫌嫌っ! 嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ! 嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ!」


 違う違う、そうじゃ……そうじゃない。


 全然違う。『なんでもやること』と『奴隷になること』はイコールではない。


 なんで、そんなことが、わからないんだ。


「そうですか、じゃ、失礼しますね」

「待ってぇーーーん! ま・っ・てぇーーーーーーん!?」


 ビシャス護衛士長は、今にも立ち去ろうとするヘーゼンの足の袖を掴みながら懇願する。


「……」


 レザード副護衛士長は、ボーッとしていた。今、起きているのは本当に現実のことだろうか。もしかしたら、夢なのかもしれない。


現実リアルですよ」

「……っ」


 完全に、心を読んでくる、悪魔。


「ところで、どうです、奴隷?」

「……っ」


 今晩、どうです? みたいな語り口調で。生涯の絶対服従を提案してくる。


「む、無理です! 無理無理無理無理! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理! む・り!」

「まあ、仕方がないですね。あなたは温室の御坊ちゃまですものね」

「くっ……」


 な、なんて嫌なヤツなんだ。


「じゃ、お父様に相談してみてはいかがですか?」


 !?


「な、なんで!?」

「だって、お父様はエヴィルダース皇太子派閥有数の実力者ですよね? 1人では決められないのでしたら、人生の先達として、いい助言をくださると思いますけど」

「……っ」


 できるわけがない。長男であるレザードが、エヴィルダース皇太子が犯人濃厚の事件に、犬狢ケバク蛇封ダオフォン古虎ジェガンなど派遣すれば、それこそ、絶対にぶっ殺される。


 失望どころか、エラいことしてくれたなぁ、とマウント取られて、撲殺される未来しか見えない。


「ああ、そう言えば……次男のバシオ様も優秀な魔法使いなんですよね。いや、さすがは超名門貴族家のレグラ家。人材が豊富で羨ましい」

「くっ……はっ……ろっ……」


 さりげなく、『お前など替えが効く』アピール。しかし、間違いなく当主であり父のジルオッソならば、お家存続のため、問答無用でレザードなど切り捨てるだろう。


「んー……それも嫌?」

「嫌ですぅ! 嫌嫌嫌嫌嫌! いーやー! い・や・です!」

「困りましたね……イヤイヤ期の赤ん坊じゃないですか」

「ふんっぐぅ……」


 性格悪過ぎ異常者サイコパス


「しかし、申し訳ないんですが、私もあまり時間がないので、あと5秒で決めて欲しいんですけど」


 !?


「ごっ……がっ……ごびゃ……おお!?」


 ビシャス護衛士長は、眼球をガン開きにしながら叫ぶ。


「ちょ……ちょ待っ……まっちぇぇぇ」

「待ちません」

「時間を……少しだけ……考える時間を!」

「ダメですよ。先延ばしにされると困りますから、決まらなければ、すぐにヴァナルナース様の下へ言って報告します。ああ、別についてきても構いませんよ?」

「……しょ……しょほぉんにゃぁ」


 レザードは、涙、汗、鼻水、唾液、その他諸々の液体を全て排出する。


 死。


 奴隷。


 2者択一の今後の人生における最悪の選択肢を、5秒間で決定しなければいけないなんて。


「じゃ行きまーす」

「「……っ」」


 ノリがあまりにも軽すぎる。


 瞬間、ビシャス護衛士長の脳裏に走馬灯のようにーー


「5……4……」

「……っ」


 そんな時間もない!?


「3

 2

 1……
































「「契約します」」




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