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1-2

「素敵な、来訪者さん。ようこそ、この素晴らしき世界へ」


 銀鈴を振るような澄んだ声に、ハッとする。しかも、日本生まれで日本育ちの外国人なのだろうかと思ってしまったほど、正確なアクセントの日本語。

 まずは、この美女の正体を知りたい。空気中から湧いて出て来るなんて、彼女はお化けなのか、はてまた凄腕のマジシャンなのか。


「あなたは、誰ですか?」

「私は、女神フレイヤよ。あなた、お名前は?」


 フレイヤって美の女神ですよね? どうりでお()(れい)なわけで。

 神様だから、不意に登場できたのか、と納得。


 え? 神様? 私、今、神様と話しているの?


 衝撃的事実に呆然としていると、女神が小首を傾げた。


「どうしたの? お名前は?」

「あ、先に名乗らず、失礼しました。私は、伏木リコです」

「よろしくね」

「と言われましても」

「こっちに来て、どう?」


 私は、肩をすくめる。


「来たというよりも、気が付いたら、ここにいたのですが」

「あら? うちのクロノスが作った時空の裂け目を通って、こっちの世界へ来たのでしょう?」

「ですから、通ってきたと言うよりは、いつの間にか、ここにいたと言うのが正しいのですが。時空の裂け目って言われても、隙間みたいな物は見えませんでしたし」


 女神がガッカリした顔をする。


「あら、そうなの?」

「嘘じゃありません。それより――」


 さっきから、女神が「この素晴らしき世界」とか「こっちの世界」とか言っているのが気になって仕方ない。


「もしかして、ここは異世界ですか?」

「いせかい?」


 (りゆう)(ちよう)な日本語を(しやべ)るから、何でも言葉が通じると思ったけれど、通じない単語もあるらしい。


「なら、別世界でもいいですが」

「ああ、別世界ね? そうとも言えるわね。私たちの世界から見ると、あなたは別世界からの来訪者」


 やっと、理解。


 どうやら、私は、時空の裂け目とかいう場所を通って、この異世界に迷い込んだらしい。クロノスって誰か、まだ分からないけれど。

 しかし、「エントランスを抜けると、そこは異世界だった」などと、呑気なことを言っている場合ではない。


 これは、事件だ。


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