表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

1-1

 私は、伏木リコ。この秋に大学二年で中退して、実家で家事手伝い中。


 親から「バイトをしないのか?」と言われるのがイヤで、気晴らしに外出しようと、ダークグレーのスウェットのセットアップに着替え、自宅のあるマンションの4階から1階までエレベーターで下りた。


 そして、エントランスを出た途端、いきなり耳鳴りがして、全身に衝撃が走った。

 さらに、目眩に襲われ、前方に見えていた建物や電柱がグニャリと歪み、次の瞬間、景色が一変。

 そうしたら、見たこともない場所に立っているので、今、この不思議現象に驚いているところ。


 まだ、頭がクラクラするけれど、周りを見た感じから言って、町の裏通りらしい。

 だって、石畳の道は、乗用車一台とその両側に人が一人ずつ通れる程度の幅で、左右に連なる木造の建物を見ると、扉が全部、裏口っぽいから。


 辺りに、人の気配は全くなし。犬も猫もネズミも歩いていない。

 前方から、風に乗って人の声や馬車が走っているらしい音が聞こえてくるけれど、道が左カーブになっていて、その先にいると思われる人々の姿も馬車も見えない。


 ここはどこ? 私は誰……かは分かる。記憶喪失ではなさそう。

 (ほお)をつねる。痛いので、夢を見ているわけではないようだ。


 それはさておき、このまま立っていても仕方ないので、町の様子を(うかが)いに、音のする方向へ進もうと足を踏み出した。


 と、その時、目の前に白い服を着た女性が立ちはだかった。


「――――!」


 彼女は、私より頭一つ背が高い。私は身長が150センチちょい下なので、170センチは軽く越えているだろう。

 桃色っぽいロングヘアを風になびかせ、金色の目が輝き、桜色の唇に(ほほ)()みを浮かべている、もの凄い美女だ。


 服は、ギリシャかローマの彫刻で見たことがある、一枚布のタイプ。絹織物なのだろうか、すべすべした感じがする。


 でも、微笑む美女を前にして、うっとり見とれてはいなかった。

 だって、何もない所から唐突に出てくるって、お化けか何かと思うじゃない?

 実際、うっとりどころか、全身が小刻みに震えて、鳥肌が立った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=854668148&size=88 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ