ゴブリンとの遭遇1
ゴブリン族。
醜き鬼の一族。
どこの森でも見かけるほど繁殖力が強く、また適応力も高い。
1匹ならまだしも、必ずといっていいほど群れをなしており対抗する力のない者からすれば悩みの種であった。
また脅威はそれだけではない。ゴブリンが群れをなし、時がたてばたつほど群れの規模は大きくなり、それを率いる者が出てくる。
ゴブリンキングやゴブリンジェネラルといったゴブリンが進化し群れのボスになったとき
ゴブリン族はその真価を発揮する。
ただ他種族を襲うのではなく、戦略をたて狡猾に他種族を襲うようになる。
そうなったときには普通の冒険者では手遅れだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「アイツ処分困る。」
「ボス、なんでアイツ生かす?」
「タタカエナイ。メシも喰わない。ツカエナイ。」
「オイ、キイテルノカ」
ドンッ!
1匹のゴブリンが横たわっている誰かを蹴り飛ばす。
「オイ、ボスに聞かずに殺すのはダメだ。」
「ワカッテル。俺たちはナニモしない。オイテクダケ。」
「………………」
ゴブリン達はそのまま森の中へ消えていった。
うっ・・・・・・・・・
なんでなの?
なんで・・・?
うっ・・・・・・・・・ナニモしてないのに……………
ダレもしらない。
みんなとチガウから?
でも色はイッショ。
ナにがちがうの?角がナイから?牙がナイから?
「…………………」
群れの中での暴力は日常茶飯事。
生活環境もひどかった。
「オマエは俺たちとはチガウ。」
群れの仲間。いや、向こうは仲間とは思っていない。
毎日毎日蹴り飛ばされた。
いつものように。
母親も分からない。。
自分だけがみんなと違う。
ドロドロした感情が、奥深くに溜まっていく。
ワタシが何したの?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おい、なんで体が勝手に動くんだ?」
(ファンタジーじゃ)
黙れ!
(まぁ落ち着くのじゃ。これは拘束魔法の一種で、まぁ簡単に言えばお主の行動は我の思うとおりになる。)
無茶苦茶だ。
やりたい放題じゃないか・・・やっぱりあの時、あの時・・・
無視すれば良かった・・・
後悔しかない。
そのまま俺は抵抗もできず森の中を1時間ほど走り抜けた。
ステータスが上がったせいか1時間全力で走っても息を切らさず、身体も何ともなかった。
(我のおかげじゃろ?素直に感謝したらどうじゃ)
引き換えがなければな。
それにしてもこんなところまで、何をさせる気だ。
「おい、何にもないけどここでいいのか?」
(あっておる。近くに反応があるからな。おっ・・早速見つかったのぉ)
「どこに・・・おい!いきなりやめろ!」
また俺の身体は森の奥に引っ張られるように動き出す。
急に引っ張られ、木の枝がは手や足に刺さる。
そのまま後ろ首を引っ張られたような形で森を引きずられ、少し開けた場所に放り投げられた。
「いってーな!!少しは・・・うん?お前は・・・」
「うしろっ!!!」
「うん?」
ガブッ・・・
どうやら誰かの口の中にいるようだ。
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