契約
俺はボロボロの本を手に取った。
すると辺り一面真っ白な別世界に・・・というわけではなく
ボロ本からでた光で周囲が真っ白になる。
急に起こった異変に、少し意識がパニックになりかける。
すると頭の中に静かな声が聞こえる。
(契約完了)
嫌な予感がした。
今まで夢だと思っていたが・・・先ほどの声が響いてから現実だと認識させられる。
(これでお主は我の奴隷だ。せいぜいしっかり働いてもらうぞ。)
契約のせいか・・・
理解したくなくても理解してしまう。
コイツとの契約を。
「うん、これは確実に夢だ。」
俺は現実逃避することにした。
(お主もわかっているだろ。今の状態を。)
凄く分かっているからこそ分かりたくない。
(とりあえず名を付けてやるか。そうだな・・・ポチでどうだ?)
「おい、それは犬だろ!ってか俺には名前が・・・名前が・・・あれ?名前はなんだ?」
(どうやら順調なようだな・・・そうだな、お主は今日からアルスだ!)
その瞬間、
ドクンッと心臓が跳ねがるような音がし、身体が光り輝いた。
「これはなんだ?それに順調って・・・」
(まぁそう焦るな。物事には順序が大切だ。まずはそうだな・・・
ステータスと叫んでみろ。あぁ声に出さなくていいぞ。)
――――――――――
アルス
属性:あって無いようなもの
筋力:普通
体力:普通
耐性:少し強い
敏捷:まだまだ
魔力:頑張れ
ユニークスキル:魂狩り
――――――――――
いや、意味が分からない。
ステータスは百歩譲って受け入れよう。
でも普通・・・数字とかじゃないの?
普通とか頑張れってなに?
どうやら俺は残念なステータスって事が分かった。。
「おい、こんな雑魚ステータスで俺に何をさせたいんだ」
(思ったより雑魚じゃのー)
腹がたつ。このボロ本め。
(もうボロ本ではない。輝いているこのからだがみえんのか?)
クッ・・・
今俺の目の前に、ボロ本・・・まぁ今は綺麗になった本がプカプカ浮いている。
本が浮いているだけだが、何故か足組んで偉そうにしてる感じがする。
(正解じゃぞ。我はあしを組んでおる。)
「いや、足なんてないだろ。」
(見えているものだけが正解とは限らないものだ。)
なんですか・・・この本?
急に哲学者みたいになりやがって!
(お主も色々と聞きたいことはあると思うが・・・先に仕事をしてもらおう)
「何をすればいいんだ?」
「オークとやってこい」
「このステータスで勝てるのか?それに武器は・・・」
(うん?何を勘違いしておる。お主は目を瞑っていればいい。すぐ終わる。)
「おい、まさかそれって・・・」
(安心しろ。死にはせん。)
俺の身体は急に光輝き、ドクンッと胸の衝撃と共に森の中に飛ばされていく。
木を掴もうとするが掴んでも後ろに引っ張られるように飛んでいく。
ドンッ!ザーーーー
広場?のようなあけたところに転がり落ちた。
10分ぐらいだろうか・・・
ここはどこだ・・・ってオークの集落に決まってる・・・
そう思った瞬間。
ブフォ!?
ブヒィヒ!!
衝撃音でだろうか
音を聞いてオーク達が群がってきた。
やばい!
地面の砂を握り、唯一オーク達がいない隙間に走り出す。
武器は無いが、とりあえず目晦ましぐらいにはなるだろう。
(焦らしプレイか?なかなかやるのぉ・・・だがもう後ろにいるぞ)
後ろを振り向くと涎を垂らしたオークがいた。
咄嗟に先ほど握った砂をオークに飛ばす!
ブフォ
どうやら少しはきいてくれたようだ
だが凄く怒っている。
雄たけびが後ろから聞こえる。
振り向いたら駄目だ。きっと心がおれてしまう。
(今のは良くないのぅ‥・女子には優しくせんと・・・)
「あいつらは女じゃない!オークだ!それにこういうのは普通オークの雄が定番だろ!なんでメスなんだ!」
(そういう差別発言は良くないのぉ。お主の世界ではオークの雄が定番かもじゃが、それはそれじゃ。
実際はメスも同じぐらいおって。あっちの方も同じぐらい盛んだ。おじさんもいればおばさんもいる・・・そんな感じじゃ)
「いや、意味わかんねぇよ!」
ガンっ!
あれ?足が?空中を走ってるわけでは・・・ないですよね。
後ろを振り返ると先ほどのオーク(メス)が俺の首を掴み涎を垂らし喜んでいる。
ブフォーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!
ブフォフォフォブヒィーーー!!!
ブヒィブヒィブヒィブヒィブヒィ!!!!!!!!!!!
~異世界1日目~
俺は色々なものを無くした。
読んで頂きありがとうございます!
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