秋葉原ヲタク白書50 May the WOTAKU be with you
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第50話です。
今回は、秋葉原の地下要塞から原爆搭載のロケットを打ち上げ、秋葉原を焼き尽くす陰謀が発覚します。
陰謀を進める古の秘密結社に対し政府の特殊部隊、"時間ナチス"にストリートギャング達が立ち上がりますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 新たなる絶望
その地下室の中央にトンネルの出口がある。
トンネルの出口は…実は宙に浮いており、先は、その、あの、何と逝うか…消えているw
出口に向けて並ぶ制御卓には科学者が張り付き、その周囲を兵士が厳重に警備している。
既に"多元宇宙群垂直跳躍理論"は実証段階にあり、今回も"定期便"を回収の予定だ。
トンネルの中を火花が舞って、百万の太陽が現出したかの如く光のビッグバンが起きる。
ゴーグルで目を保護した科学者が、機器をチェックして正常動作を確認、全てはGOだ…
その時!
トンネルに銃声が響き、顔を上げた科学者が額を撃ち抜かれて、もんどり打って倒れる。
さらに、トンネルからは複数の銃声が響き、何かエンジンを吹かすような爆音がするや…
トンネルから"何か"が飛び出す!
や、ややっ?ケッテンクラートか?
ドイツ軍の半装軌式オートバイで、前輪に続く後輪が左右対のキャタピラになっている。
そのまま制御卓に乗り上げるや、武装兵が降り立ち短機関銃を乱射して銃撃戦が始まる。
最初の兵は撃たれたが続々トンネルから後続が躍り出て警備兵を圧倒、投降した科学者と一緒に地下室の一角に集め…短機関銃を連射w
武装兵は、犠牲者をブーツでどけケッテンクラートを脇に停め両脇に整列し道を開ける。
ソレを見届けたのか、トンネルから、ゆっくりと女が出て来る…黒衣の女?ナース服か?
「エイダ嬢"時間トンネル"を制圧しました。御命令のとおり、尋問用に1名残した以外、捕虜はとっておりません」
「損害は?」
「戦死2名、重傷1名。後方への移送準備中…」
士官の報告を黒いナース服の女が遮る。
氷のように冷酷で残忍な響きのある声。
「アンタ、バカァ?トンネルの損害を聞いてるの。派手に制御卓を壊してくれたわね。アンタが代償を払うがいいわ」
「ええっ!お許しを…ぐ、ぐげぇ」
「…少尉。今から指揮官は貴方。捕虜を連れて来て」
少尉は、先程までの上官が自分で自分の首を絞め痙攣スルのを見て、慌てて捕虜を呼ぶ。
捕虜は、トンネルから最も遠い制御卓にいた科学者で突如現出した地獄に対応出来ないw
「コ、コ、ココは、国の秘密実験施設だ。こ、こ、こんなコトして正気なのか?」
「黙れ!貴様は、エイダ嬢の御質問にだけ、お応えすれば良いのだ」
「ま、また喘息の発作が…スーハー、スーハー」
肝心なトコロでいきなりステーキ…じゃなかった、いきなり咳き込むエイダ嬢は黒いナース服だが、よく見ると顔を覆うマスクも黒。
黒衣のナース、エイダ嬢。
"ナース・エイダー"か←
お約束で、エイダは捕虜の胸倉を掴むが、ソレで持ち上がるハズもなく両脇から兵士がヨイショとタイミングを合わせ持ち上げてるw
派手な呼吸を繰り返しつつ、捕虜に問う。
「ミユリは何処だ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ココから先は全てXmasイヴの出来事だ。
「助けて、テリィ様!貴方だけが頼りです」
防犯カメラの動画の中でミユリさんが、他ならぬ僕に助けを求めている。
ちくしょう!どうして今宵に限って御屋敷への御帰宅が遅れたのだろう。
ココは、僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める御屋敷。
これ以上ない悪者が集まるコトから"銀河の脇の下バー"と呼ばれる。
「突然、黒いナース服の女に率いられた軍服のコスプレ集団が御帰宅して来て、壁に向けて発砲するや、ミユリ姉様をさらって逝ったのです。御帰宅中の御主人様方に危害が及ばぬようにと、姉様は一切抵抗なさいませんでした。連れ去られる最後の瞬間に防犯カメラに向かってテリィ様にメッセージを残されたのです」
「アレは武装親衛隊の軍服だ。常連のヴリル空挺団じゃない。何たって武装がいつものFG-42じゃなくてMP-40だった。いずれも、とてもコスプレの小道具とは思えない、息を飲む精密さだった。もしかして、壁にめり込んだ銃弾は9×19mmパラベラムの実弾じゃないか?」
「テリィたん。ナイショだけど、その連中はヴリルじゃないわ。ヴリルは、今夜半、ブンカーに到着予定なの。実はテリィたんとも合流して欲しいと思ってる」
急いで解説しよう。
最初は、御屋敷のヘルプのつぼみんで、目前でメイド長をさらわれ泣き腫らしている。
お次は、ミリタリーヲタクの常連なんだが、彼の逝う"ヴリル空挺団"って逝うのは…
陥落寸前のベルリン(1945年)からタイムマシンで脱出して来た"時間ナチス"の部隊だ。
総統命令で永遠の命を探す内に、この時代のアキバにも何度か訪れ御屋敷の常連になる。
因みに、空挺団の標準装備であるFG-42は、正式名称を"1942年式降下猟兵小銃"と逝いグリップなどが特徴的な空挺兵の専用銃だ。
最後は国益優先の特殊部隊のサリィさんで、潜入捜査中にメイドに化けた御縁で常連にw
しかし、ヴリルは何をしに来るの?ブンカーってコトは潜水艦かょ?いつものUFOは?
どちらにせよ、今回はサリィさんの出番だ。
「昨夜、AMCの"時間トンネル"が何者かに襲撃され、科学者と警備兵が全員殺された。武装親衛隊は、もしかしたら"時間トンネル"で現代にタイムトラベルして来て、行き掛けの駄賃にAMCを襲撃して逝ったのカモ」
「となると…確かSSってナチスだょね?まさかミユリさんは"時間ナチス"に誘拐されたってコト?」
「そうは逝ってない。ただ"時間ナチス"が政権との密約で最近よくトンネルを使ってたコトは事実なの。ホラ、彼等もUFO型タイムマシンを撃墜されちゃって不自由してたから…でも、そんなコトより、テリィたん、ホントは貴方、何か思い当たるフシがアルんじゃないの?」
さすがだね、サリィさん。
思い当たるフシは…アル←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「多分、何かの秘密基地の設計図だと思うンだけど」
「どうせ何の基地かは察しがついてルンでしょ?テリィたん」
「うーん。まさか神田佐久間河岸の地下がAMCの要塞になっていたとはね。いつからなの?」
先日、ヒョンなコトから、僕は区立秋葉原公園の地下に埋まっていた古文書を発見する。
その中には、神田佐久間河岸の地下一帯に広がる軍事基地の設計図も含まれていたのだ。
メインは地下工場と地上への搬出口、垂直式ロケット発射台、潜水艦のブンカーなどだ。
そして今、僕とサリィさんは神田川に面した地下ブンカーで潜水艦の到着を待っている。
あ、ブンカーと逝うのは、分厚いコンクリートで空襲から守られた潜水艦基地のコトだ。
対岸から見ると"下水道局高潮防潮扉No.31"が見えるがソレが開くと中は潜水艦桟橋。
深夜の神田川をユックリと遡上して来る艦影は恐らくUボート7C型で艦橋に複数の人影。
目を凝らすと…ヴリル空挺団長ながら何処か五反田のデリヘル嬢と面影が似るマタハだ。
何回も逢い、結局敵だか味方だかワカラン彼女だが、とりあえず今回は手を振ってくる。
何となく手を振り返していたら…その時!放物線を描き、艦橋へと飛び込む黒い物体が…
どっかーん!
ビルの谷底を流れる川に爆発音が響き渡り、同時に艦橋は紅蓮の炎に包まれて爆発炎上。
途端にUボートは、火を噴きつつ激しく傾いて、速度を落とし神田川を塞ぐ形でのたうつ。
「ロケット弾?パンツァーファウストね!でも何処から?」
「嫌森神社からです!対岸に自由ドイツ軍!囲まれました!我々は罠にハマった…うっ!」
「怯むな!応戦配置につけ!Uボートの収容を最優先!」
副官?は敵弾に斃れたが、サリィさんの直接指揮で神田川を挟んで銃火の応酬が始まる。
対岸からパンツァーファウストが撃ち込まれ、その背後でケッテンクラートが走り回る。
一方、燃える艦内では必死の操船が続きUボートは炎上しつつも舳先をブンカーへ向ける。
「U-707!入港針路に乗った!そのまま突っ込め!コレは命令よっ!」
サリィさんが絶叫すると、炎上するUボートの舳先が僕の視野一杯に迫って来る…
第2章 アキバを焼かせない
「どいてくれ!ジュリに呼ばれた"節操なき医師団"だ…コ、コレは酷い!良きサマリア人の法に従い、先ずトリアージからだ!」
「た、助けてくれ!俺の足が!俺は死んでしまう!」
「ドクター!ドクター!」
昭和通り沿いにある国民的ハンバーガー店の地階は界隈を仕切るストリートギャングの溜まり場だが、今宵は臨時の野戦病院と化すw
ブンカーはじめ主要な施設は自由ドイツ軍?に占領され、サリィさんの部隊はUボートの生残りの乗組員を収容しココまで後退する。
「バミューダから飲まず食わずでやっと日本に着いたのに!アキバを目の前にしながら部下はほとんど全滅よっ!エイダめ、許せないっ!」
「まぁまぁマタハ。この業界、命があるだけでも感謝しなきゃ。とにかく!ようこそ、日本へ。お・も・て・な・し」
「え?でも何でバミューダなの?遣日潜水艦でしょコレ?」
解説しよう。
最初は、ヴリル空挺団長のマタハだが…爆発するUボートから命からがら脱出したせいで顔はススで真っ黒、ロングヘアがチリヂリ!
もはや五反田No.1デリヘル嬢に似てるドコロ
かハッキリ逝って大笑いの対象でしかないw
続いてクスクス笑ってるサリィさんと僕だけど遣日潜水艦は、日独を往復する潜水艦だ。
第2次世界大戦を同盟国として戦った日独は潜水艦を派遣し合い人材や技術を交流させて来たが、ソレが今も続いているのだろうか?
「もちろん、続いているわ。私の乗艦U-707は外見は群狼作戦当時のママだけど、中身は原子力潜水艦なのょ」
「ええっ?じゃ、神田川に原潜が沈んだってコト?」
「止めてょ着底してるだけじゃない(同じだw)。原子炉は安全に常温停止してるわ。ソレなら旧ソ連の在ウラジオストク太平洋艦隊の原潜と同じでしょ?アレなんか確か日本のODAで廃炉までやってルンじゃなかったっけ?」
とにかく!何でバミューダなの?
「実は…ベルリンで色々とあって、まぁ、その、クーデターみたいなのが起きちゃって…あ!すぐ鎮圧したのよっ!でも、瞬間的に"時間トンネル"が自由ドイツ軍の手に落ちたの。だから、私達がコチラの世界に来るには"バミューダルート"を通るしかなかったのょ」
「何を逝ってンのか、サッパリわから無いンだけど、とりあえず、さっきから何度も出て来る"自由ドイツ軍"って何?」
「"黒衣の看護士ベイダ"が率いる人種差別主義者どもょ!あ、ナチスの私が人種差別とかゆーのもナンだけどw彼等は、アーリア人類からヲタク成分を除去するために、この時代の秋葉原に原爆を落として焼き払うつもりなの!私達はソレを阻止するために総統命令で送り込まれた。助けて、テリィたん。貴方だけが頼りなの!」
またかょ?今回はレイア役が多過ぎるw
「で、私達も"時間ナチス"との共同作戦により、原爆の秋葉原投下を阻止するよう政権から命令されてる。だから、私達からも、よろしくね。しかし、アキバでのモメゴトだと、どーして、いつもテリィたんが真ん中にいるの?」
「ええっ?ソレにしたって、突然原爆を阻止しろって逝われてもなぁ。その原爆は今、何処にあるのかな?テニアン島の滑走路の上とか?」
「笑えない。でも、テリィたんは原爆の在り処も知っている…そうでしょ?」
サリィさんが僕を覗き込むように見上げる。
もちろん僕は原爆の在り処も…知っているw
「僕が拾った"佐久間河岸要塞"の設計図にロケットの地下式発射台があり、ソコに"V2+AB"の文字があった。あのABは…」
「原子爆弾の略。そして今、発射台には陸軍兵器実験場から遣日Uボートに曳航され持ち込まれたV2ロケット弾が発射を待っている。既に弾頭に原爆が装着されているとすれば、後は発射を待つだけょ。で、どーしたら良い?テリィたん」
「設計図を詳細に検討した結果"佐久間河岸要塞"にも弱点があるコトがわかった。地下をベトコンのトンネルみたいに全長250kmにわたり掘り進んだ結果、和泉橋の袂のマンホールが要塞全体に動力を供給する反応炉…じゃなかったボイラーに直結してるコトがわかった。この排熱孔を、プロトン魚雷…じゃなかった手榴弾で攻撃すれば連鎖反応でデススター…じゃなかった要塞全体を破壊するコトが出来る。やれるか?サリィさん」
すると、サリィさんは自信タップリに首を"横"に振る。
「ムリ。もう私の部隊もヴリル空挺団もホボ・ブラジル…じゃなかった、ほぼ全滅ょ。だから、そーゆーヤンチャはテリィたんの方でやって。私達は、要塞正面から陽動をかけるから、そのスキにテリィたんがヤルのょ。きっとお友達のハンソロ…じゃなかった、ストリートギャングの人達が喜んで手伝ってくれると思うわ。多分」
「ええっ?!だって…僕もストリートギャングも非戦闘員、って逝うか非武装の民間人なんだぜ?」
「何?テリィたん、何か呼んだ?セクボがどーしたの?ってか、何ょこの騒ぎ!昭和通りで余り勝手なコト、しないでくれる?」
セクボのヘッドの妹のジュリが割り込む。
スクールキャバ勤務の彼女はセーラー服w
もうアラサーなんだが…しかし!
要約を話すとサスガ組織の上に立つ人だ。
ポイントを掴み人的資源を適切に再配置。
「テリィたん、ミユリの奪還が最優先よ。ウチの精鋭を出すわ」
「追跡チームか?助かった」
「ゴメン。彼等は今夜は横浜で、今から呼んでも間に合わない。その代わり、貴方自身を救出したコトもある"腹黒い3連星"でどう?」
虎吉さん(地元を仕切る若頭)のトコロとの合同チームだ。
かつて、僕がスパイに拉致された時もお世話になってる。
全く異論はナイ。
「マンホールの方はね。ちゃんと底まで何かを放り込むには高いトコロから落とす必要がある。となると"セブン"の連中に華麗なバックサイドターンをキメてもらいましょ。じゃ先ずミユリの奪還を最優先。ソレを確認したら、タイムを合わせて、サリィの陽動と同時にマンホールアタックをGO」
そして、正面から僕の目を見て逝う。
「今宵は、ハンバーガー屋さんは臨時で24時間営業にしてもらった。"節操なき医師団"と彼のお友達も総動員で来てくれてるし、古馴染みのムチャ医師にも声をかけた。死なない限り、ココにさえ帰って来てくれれば必ず治す」
ココでジュリの瞳にブワッと涙が浮かぶ。
「だから、死なないで」
第3章 戦場のメリーXmasイヴ作戦
僕達は、負傷兵の阿鼻叫喚が続くハンバーガー屋の地下に前線基地を設置する。
一角にサイバー屋のスピアのPCがズラリと並んで作戦の全状況をモニター。
「"パレス"から"外神田6"。画像、音声共に良好に拾えてる。ジュリ、"戦場のメリーXmasイヴ作戦"の全チームが配置についた。GOサインを出して」
「今宵の仕切りはテリィたんょ。どーする?」
「みんな、ヲタクと共にあれ。May the WOTAKU be with you!GO」
コールサイン"外神田6"コト"腹黒い3連星"はストリートの混成軍3人組だ。
御屋敷ヘルプのつぼみんに虎吉さんのトコロの若い衆、セクボ所属の現役JK。
普段は若い衆とJKは"援交カップル"に扮し街に溶け込むが…今日は親衛隊の迷彩服だw
リーダーのつぼみんはメイド服だが腕に赤いナチスの腕章…ん?ジオンか?まぁ同じだ←
「よく来てくれた"腹黒い3連星"!突然SSの連中が押し掛けて来て、同盟国の神社を滅茶苦茶にして逝った!仇を取ってくれ!」
権宮司のテラィがモニターにcut-in。
神田川をふれあい橋で渡ると対岸に嫌森神社があるがソコの権宮司はセクボのメンバーだ。
「そんなコトより、テラィ。テリィ様が入手した設計図に描かれてる対岸への抜け道は何処なの?」
「神社境内にある古井戸が対岸に通じている。"時間ナチス"の連中もココを通ってAMCを奇襲した。だから"3連星"もココから逝ってくれ。その前に、お清めで手を清めて口を濯ぐのも忘れズにな」
「バカ」
なおも手清め所に案内しようとするテラィの背後に映る境内には、薬莢や使い捨てたパンツァーファウストがゴロゴロ転がっているw
続いて"3連星"の眼鏡やメイド服につけたピンカメラが、古井戸から神田川の底を潜る細いトンネルの画像をモニターに映し出す。
3人の荒い息遣いが聞こえる。
やがて、不意に露出過多で画面が眩しくハレーション…おさまると、地下室のドアの前に武装親衛隊が1人、立哨している。ビンゴ!
中にはミユリさんが囚われてるに違いない。
ウルトラ自然体でつぼみんが親衛隊に迫る。
「ジーク・ジオン!おかえりなさいませっ!秋葉原メイドが"時間ナチス"御主人様のために"愛込め"に参りましたぁ!では、良いですか?さぁ!恥ずかしがらズ御主人様も御一緒に!萌え、萌え、デリシャース!」
釣られて思わズ両手で"はぁと"を作って突き出す親衛隊の肩からつぼみんがMP40を強奪!
続く若い衆が飛びかかるが呆気なく投げ飛ばされるも、その隙にJKがスタンガンで仕留める。
出た!コレが"アキバのジェットストリームアタック"だw
つぼみんが痙攣する親衛隊の腰から鍵を奪い分厚い装甲ドアを開けると…中からメイド姿のミユリさんがヨロめきながら姿を現わす。
「"外神田6"から"パレス"。"ラプンツェル1"を奪還!繰り返す。"外神田6"は"ラプンツェル1"を奪還せり!」
前線基地に歓声が沸く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「前線基地から全チーム。"ラプンツェル1"の奪還に成功。"戦場のメリーXmasイヴ作戦"は第2段階に移行する。第2段階の作戦開始時刻は0300。繰り返す。作戦開始時刻は0300!全チーム、第2段階の配置につけ!
僕が僕の"元カノ会長"スピアのオデコにキスして地上に出ようとすると、後からジュリが追って来て、階段の途中でキス顔をするw
"I love you"
"I know"
"May the WOTAKU be with you"
スピアが、僕に"デス光線"を発射するw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「すまない。2人乗りじゃスピードが出ないね?」
「しっかりしがみついてろ。今宵"神田川に映る流れ星の2人組"になろうぜ」
「あぁ。お宝探しで秋葉原公園を掘り返した夜を思い出すな。誰も僕達を止められない」
江戸時代から神田川を跨ぐ和泉橋のアキバ側の袂は、川面に向かいすり鉢状に広がる"佐久間河岸親水エリア"として整備されてる。
僕達は、神田川沿いにつけられたスロープの上に立って"ゼロアワー"を待っている。
周囲は、スケボー暴走族"ベジタブラ7"の面々で、僕の横にはリーダーのミサル。
"ゼロアワー"が始まる。
今度は、嫌森神社に陣取ったサリィさん達が神田佐久間河岸へ一斉に攻撃を開始する。
すると、要塞から"時間ナチス"が出て来て激しく応戦、川面を十字砲火が交差する。
その隙に僕を乗せたミサルのスケボーはスロープにロールイン、反対側に駆け上がってはターンを繰り返してスピードを上げて逝く!
ところが!
"時間ナチス"は火力においても圧倒的に優勢で、サリィさん達は早々に総崩れになる。
ふれあい橋を渡ったケッテンクラートに蹂躙されサリィさん達は和泉橋へ退却を始めるw
見るとUボート乗組員の生残りまで海軍歩兵として加勢してるが武装親衛隊に勝てない。
和泉橋を命からがら退却する水兵の背中に短機関銃を当て射殺する黒衣の看護士ベイダ。
「もう十分だ!次のジャンプでターンせずにマンホールの上へ逝ってくれ!」
「ダメだ!未だ加速が足りない!ゴールドグループ、GO!"セブン"の意地を見せてやれ!」
「ROG!GO!GO!GO!May the WOTAKU be with you!」
既に戦場と化し実弾が飛び交う中をスロープで待機してたスケーターが次々ロールイン。
僕と2人乗りでスピードの取れないミサルのスケボーを守るように囲んで滑走を始める。
すると、突然"時間ナチス"の発砲がピタリと止み、不気味な沈黙が訪れるw
「弾幕が消えた?デススターへの攻撃を開始する!」
「デススターじゃナイけど了解!ゴールドチーム全スケボー、俺に続け!」
「ROG…ぎゃあ!」
見るとゴールドグループのリーダーのカラダが宙を舞って神田川に落ち水飛沫を上げる。
さらに、もう1人…やや?ベイダが真っ黒いスケボーに乗って僕達を追いかけているw
さらにもう1人、ベイダに襟首を掴まれたゴールドグループが神田川へ…
「スロープは一直線で俺達に明日はない…じゃなかった逃げ場がない!俺達はワナにハマった!」
"ホースを使え"
「え?ミユリさん?何か逝った?」
次の瞬間、僕は僕の襟首を掴もうと伸ばしたエイダの指先に、何故かポケットに入ってたホースの切れ端を差込みグイッと押し返す。
すると、ソレで完全にバランスを崩されたエイダのスケボーは、激しくスピンし始める。
エイダは絶望の叫びを残して、スピンするスケボーごと神田川へ真っ逆様に落ちて逝く。
「ミサル、次のジャンプだ」
「ROG!」
「アキバを原爆で焼かせるな!」
そして、次のターンで僕とミサルはマンホールの直上へとジャンプする!
ジャンプの頂点でマンホール目掛けてM24型柄付き手榴弾を投げ落とす!
ソレはユックリ回転しながら、マンホールに向けて落ちて逝き、その中へ消える…
着地した僕達が路面に耳を当てると…地下で爆発が始まる!作戦成功だ!しかし…
「お兄ちゃん!」
一難去ってまた一難?和泉橋の対岸から、またまた厄介な声が僕を呼ぶ。
サリィさん達をあらかた片付け?ケッテンクラートに跨る金髪の美少女。
"妹"のエミリだ。
「大丈夫?お兄ちゃん!ケガはない?エミリは、とっても、とーっても心配したンだぞ!」
「あぁ、何とか大丈夫だ。ありがとう、エミリ」
「うわーい、良かった!お兄ちゃんは無事だわ!じゃ、死んで!お兄ちゃん!」
その手に握られたワルサーPPSが火を噴くや、傍らで立ち竦んでたミサルが何かに弾かれたように吹っ飛び路面にバウンドするw
「あ、外れて隣の人を撃っちゃったwやっぱりPPSはダメね。所詮は痴漢撃退用か。やっぱり、次からP38に戻そっと」
「エミリ!お前っ!」
「お兄ちゃん、次は外さない。さよなら、私のお兄ちゃ…」
しかし、彼女は最後まで逝えない。
外さないのはエミリだけじゃない。
次の瞬間、時間差で斉射された9発のロケット弾の弾幕がケッテンクラートを襲う。
次々起こる爆発の後にはケッテンクラートは影も形もなく、エミリの生死も不明…
外堀通りの向かい側で、街中華"新秋楼"のおばちゃんがコッチに向かって敬礼してる。
そして、太った彼女の肩に載ってる9本の筒を束ねたモノは…フリーガーファウストだ。
対空用のバズーカで、先日"時間ナチス"のUFO型タイムマシンを撃墜したのもコレだ。
しかし、こんなモノを未だ隠し持っていたのかょ!因みに、あと何斉射分お持ちですか?
あ、ソレから彼女の店は、リニューアルしてから"新秋楼"じゃなくて"新々秋楼"に変わっていますので、お詫びして訂正します←
「テリィ…お、俺さ…俺のスケボーって…ミサイルみたいに跳ぶから…ミサルって…呼ばれてルンだ…」
「わかった!わかったから、もう何も話すな!ミサル、おいっ!しっかりしろっ!」
「そう…伝えて欲しいンだ、お前からさ…リリス先生に…」
あちゃー。
聖アンモナイト幼稚園のリリス園長は、あの歳で百合に目醒めたなんてトテモ逝えナイ!
「何逝ってンだ!そーゆー(無駄に)大事なコトは、自分で逝え!お前が、お前の口で(実は百合の)先生に逝うンだ!」
「そうしたい…が、無理みたいだ…段々意識が遠のいて…あ、暗いトンネルが見える…」
おぉ!死後の世界を見てる?
「さ、最後に、テ、テリィ!お前に…聞いてもいいか?」
「最後なんて逝うなょ!お前にはスケボーを教えてもらう約束なんだぞっ!忘れたかっ!」
「そ、そうだな…でも、もう俺は…あのさ、最後に…俺、お前の友達だょな?」
僕の涙腺は崩壊する。
「バカ野郎、親友だょ!」
次の瞬間、ミサルは唇の端1mmで微笑、手からポトリと写真を落とす。
セピア色の写真の中で、幼稚園児のミサルがリリス教諭と笑っている。
僕は、彼の名を叫ぶ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
あ、結局、ミサルは死んでないし、死んでないドコロか擦り傷も負ってないw
どうやら、銃声に驚き卒倒し頭を打っただけだが僕がソレを知るのは数日後←
「テリィさん!クイーンからお電話です」
"パレス"からの伝令は、慎重に匍匐前進しながら和泉橋の袂にいる僕にスマホを渡す。
フリーガーファウストに恐れをなしたか対岸からの銃火は散発的になったが油断は禁物。
「テリィたん!テリィたん!大丈夫?返事をして!テリィたん!」
「あ、あぁ僕は大丈夫だ。"佐久間河岸要塞"は破壊した。でも、ミサルが…ミサルが死んだ…」
「ええっ?でも、コッチのモニターだと彼の心臓は元気にドックンドックン動いてるわ!その心臓、毛でも生えてンじゃないの?んなコトより大変ょ!V2は既に運び去られた後だったの!要塞はオトリ!私達は、もぬけの殻を攻撃したのょ!」
何だって?!
「横浜から戻ったウチの追跡チームが"自由ドイツ軍"の車列を見つけた。奴等は今、練塀公園に展開してV2ロケットの発射準備をしてる。その弾頭には…アキバを焼く原爆が!」
「練塀公園って、あの新幹線の高架脇の奴?確かリアル秋葉原(住所が台東区秋葉原。いわゆるアキバは千代田区外神田)だょね?とりあえず、現場に急行する!」
「待って!実は、テリィたんには他に逝って欲しいトコロがあるの!残念だけど、サリィさんも"時間ナチス"もウチも損耗して、もはやV2の発射は食い止められナイ。だから、発射されたV2を撃ち落とすコトにしましょう!」
えっ?そんなコト、出来るの?
第4章 May the WOTAKU be with you!
"ウーターズ"は、旧東京地下鉄道の万世橋駅(廃駅)を改装したスポーツバーだ。
僕達はバー専属ランジェリーフットボールチームの熱烈な見送りを受けている。
「私達のアキバを原爆から守って!」
「アキバを焼かせないで!」
「ミユリさんは、1本前の"急行"に乗りました」
口々に叫ぶ下着姿のチアリーダーをかき分けオーナーのミストさんが教えてくれる。
僕達は東京メトロが特別に仕立てた臨時列車に乗り込むw外は下着美女のお見送り…
「ホントは廃駅だけど旧万世橋駅1番線ホームから臨時急行"深夜鉄道の夜"が発車致します。お見送りの方は、ホームドア…はなかったわ、黄色い線…も消えちゃってるし、とにかく下がってお見送り下さい。無理な駆け込み乗車は、アキバを焼かせない方々の御迷惑となりますので、くれぐれも…あ、1人乗っちゃったわ。まったくもう!」
ミストさんのイカれた構内放送で出発進行!
と、ホームの端にある"闇のゲーセン"からバラバラと人影が飛び出し必死に手を振る。
"神の指を持つ"天才ゲーマー達で、彼等がゲームの手を休めるのは死ぬ時だけなのに…
恐らく、生まれて初めて人に手を振る彼等に笑顔で応え、僕達の胸は熱くなる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、真っ暗でよくわからないけど、恐らく途中駅をバンバン飛ばして走る地下鉄車内。
今宵の乗客は、僕と神田川戦争で武装親衛隊にボロ負けし部隊は全滅したサリィさんと…
同じく全滅した"時間ナチス"のマタハだが2人共髪はチリヂリで顔はススで真っ黒だ。
ソコへ隣の車両との連絡ドアを開いて素敵なプロポーションの人影がモンローウォークw
「あらあら。今度の仕事も大変みたいね。貴方達と御一緒すると、どーしていつもそーなのかしら?」
地下鉄に揺られる僕の前の吊革につかまる下着姿のチアリーダーは…カルラだ。
自衛隊特殊作戦群で上官を崖から吊るし除隊となった彼女は傭兵をやっている。
「政権中枢から急ぎの仕事をもらったの。何か手薄な人達がいるから、その人達の加勢をしなさいってコトだった。こんな格好でゴメンね」
「ええっ?誰の支払いか知らないケド、とりあえず、ありがとね。でも、もしかしたら人手が要るンだけど、カルラの女忍者部隊"欠光"は何処?」
「ソレが、さっき逝われたモンで緊急呼集かけたけど間に合わないの。だから、とりあえず、私1人でガマンして。でも、その分、チアリーダーの下着姿で大サービスよ?御不満?」
僕の両脇の真っ黒け美女2名が口を揃える。
「御不満よっ!」
いや。僕は満足だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下鉄が減速を始めたので、恐らく白金台駅を過ぎたのだろう。
やがて、引き込み線に入るゴトンと逝う音がしてドアが開くと…
「危ないっ!」
いきなりステーキ…じゃなかった、いきなり機関銃掃射を浴びて車内はズタズタだ!
その音と共に飛び込んで来たのは旧陸軍の落下傘兵で、その軍服には2Riの部隊章…
パレンバンの生き残り?精鋭だっ!
「お迎えに上がりました。"ヒ式高射砲"の制御室へお連れします。その前に合言葉を願います。アルファ!」
「ケンタウルス!軍曹、この前に引き続きありがとう!で、状況は?」
「夜半に"自由ドイツ軍"の奇襲を受けましたが、突入部隊を包囲殲滅し、目下反撃中です…しかし、先程の女給さんもお綺麗な方でしたが、コチラの下着の方もなかなか…ホントにテリィ殿の周りは、いつも美人サンが多くて羨ましいですなぁ!で、コチラの土人さん達は南方の方?」
サリィさんとマタハが一斉に抗議するが、銃撃戦の音にかき消されて何も聞こえない。
しかし、スマトラ帰りの"空の神兵"が逝うのだから、余程現地人に見えるのだろうw
ココは、港区白金にある自然教育園ひょうたん池の湖底に眠るピラミッド。
有史以来12回あったとされる大量絶滅の何処かで滅んだ超古代文明の遺跡。
ソコには、地球に大量絶滅をもたらす"何か"を銀河間で撃墜する"決戦兵器"が眠る。
太平洋戦争中にソレを発見した旧日本軍は"ヒ式高射砲"と名付け秘匿し終戦を迎える。
そして今"ヒ式高射砲"は孤高の天才天文学者の手に委ねられ"地球に13回目の大量絶滅をもたらす何か"を迎え撃つ準備を着々と…
あ、あれ?もう迎え撃ったんだっけ?
確か未だだょね、前回来た時は確か…
とにかく!
戦火を掻い潜って辿り着いた高射砲の制御室で、今回の諸々が感激の再会を果たす。
先ず、ミユリさんと僕、そしてミユリさんとお兄さん(は天才天文学者w)などなど…
「ミユリさん!無事だったんだね!良かった!」
「テリィ様、御心配おかけしました!"自由ドイツ軍"、いいえ、古の秘密結社"銀河団"は、私を人質に取り兄に"ヒ式高射砲"の引渡しを迫るつもりだったのです。"自由ドイツ軍"の正体を知った私は、とりあえず、急いで兄の下へ…」
「フフフ。なーんだバレちゃったの?なら仕方ないわ。全部まとめて…ぶっ潰す!」
どっかの政見放送みたいな最後のセリフは…
ややっ?制御室に駆け込んだ"現地人"が3人に増えている?!ん?この3人目は誰?
ゲルマン系にしては低身長だが異様にグラマラスなエミリ?我が"妹"ではナイかw
トレードマークのゴージャスなブロンドがケッテンクラートの爆発で真っ黒に縮れてるからホントにウルトラ完全わからなかったょ!
モチロン顔も煤けて真っ黒なエミリが愛用?のワルサーPPSをユウキさんに向ける!
あ、ユウキさんって逝うのがミユリさんのお兄さんの名でエミリは彼のフィアンセ←
ミユリさんが顔色ひとつ変えズ、決然と兄とフィアンセの間に立ち塞がる。
さらに、そのミユリさんの側頭にコルトディフェンダーを突きつけたのは…
カルラ。
「ごめんなさいね。コチラからのお仕事の方が先だったので。先着順でお仕事スルのがプロの流儀なのょ」
「カルラ!コイツらは"自由ドイツ軍"とか名乗ってるが、古の秘密結社"銀河団"の連中だ。そして、コイツらが現代までタイムトラベルしてきた目的は"ヒ式高射砲"の破壊、そして第13回目の"大量絶滅"を受け入れるコトによる人類の殲滅なんだぞ!」
「あらぁ、テリィたん。ミユリだけじゃなくて、貴方も御見通しだったの?婦唱夫随?アキバのヲタクってホント侮れないわ」
最後は、3人目の"現地人"エミリだが、意外にも心底感心した様子w
もしかしたら、本気で感心したのカモしれナイがソレが彼女の命取り←
何がどうなったのかワカラナイが次の瞬間、カルラのコルトはミユリさんの手中にある。
カルラが目を見開く前にグリップで後頭部を殴られ床に崩れ、ほぼ同時にエミリの方は…
まぁ、その、サリィさんとマタハが飛びかかってワルサーを弾き飛ばし 3人は床に転がって組んず解れつ取っ組み合ってルンだけど…
見事に全員、髪がチリヂリソバージュにガン黒(死語)で誰が誰やら見分けがつかナイけど最後に2人掛かりで1人を気絶させてたから…
多分ソレがエミリだろうw
こんな時にナンだが、彼女は、彼女がミユリさんのお兄さんと結婚し、かつ僕がミユリさんと結婚した場合に限り晴れて"妹"となる←
多分ソレはアルとしてもかなり先だろうw
「"外神田1"から"パレス"および"戦場のメリーXmasイヴ作戦"の全チーム!"練塀町の雌鶏が鳴いた"繰り返す"練塀町の雌鶏が鳴いた"!みんな、それぞれ信じる神に祈れ!アキバにヲタクの神の御加護あらんコトを」
ソコへ和泉橋の袂でセクボの伝令から渡されたスマホから重大情報が舞い込む。
ついに、原爆搭載の恐れがあるV2ロケット弾が練塀町公園から発射されたのだ。
僕は、孤高の天文学者を振り向く。
「原爆を積んだV2が発射されました。"ヒ式高射砲"で撃ち落とせますか?」
「当たり前だ。銀河の果てから超光速で飛来する弾道弾を撃ち落とす砲だぞ。秋葉原上空のV2なんてナメクジに石をぶつけるようなモンだ」
「お願いね!お兄ちゃん」
あっ!ミユリさんから「お兄ちゃん」と呼ばれるなんて!この果報者のお兄ちゃん野郎…
とか油断、と逝うか単に鼻の下を意味なく延ばした僕は、背後の気配に全く気づかないw
いつの間に息を吹き返したのか、真っ黒娘3号のエミリが隠し持ってたM24柄付き手榴弾のピンを引きながらユウキさんに突進する。
「第13回絶滅ばんざい!滅びょ人類!」
が、ユウキさんに抱きつく寸前で真っ黒娘1&2号が阻止、落とした手榴弾の上には落下傘兵軍曹が身を投げ、ミユリさんは僕を押し倒す。
僕は、床に叩きつけられながら覆い被さるミユリさんの柔らかいタッチにウットリ。
すると、目を閉じたハズの僕の網膜に何やらヤタラと青い光が溢れて僕は気を失う。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夢の中で、僕は月世界派遣艦隊の航宙空母船"シャルンホルステ"の艦長だ!
「提督!テリヒ提督!本艦は間もなく沈みます!退艦命令を!」
「こちら艦長だ。総員に告ぐ。遺憾ながら"シャルンホルステ"を放棄する。直ちに総員退艦せよ!総員退艦!」
「退艦命令が出たぞ!総員退艦だ!」
葉巻型船体の各所を爆発させ救命艇を射出しつつ静かの海に沈む"シャルンホルステ"。
その艦橋で敬礼する僕を…おや?不思議な青い光が包み込み振り向くと"青い彗星"が…
いや。アレは…夢、だったのか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
港区白金にある国立自然教育園には、今は封鎖されてるけど、実は"裏門"がある。
昼でも人通りのない日東坂下にある鉄扉は、ここ数10年に渡って開いた形跡がナイ。
錆びついた鉄扉の前には、誰が置いたか植木鉢が並ぶが、ソレすらも忘れ去られている。
で、鉄扉の前は滑り台だけの遊び場になっているが、僕はソコのベンチの上で目覚める。
あ、正確には丸木ベンチに座ったメイド服のミユリさんの膝枕の上で、だけど。
「おはようございます、テリィ御主人様…あ、いけません。いきなりキスしないで」←
「今、いつ?」
「2019年12月25日午前7時7分です。Merry Xmasです。テリィ様」
ココで、やっとキス。
「僕は、どうしたんだろう。高射砲制御室でエミリが投げた手榴弾に軍曹が身を投げて…あ!そうだ!軍曹は?軍曹は無事なのか?いや、ソレもさるコトながら、アキバは?アキバは原爆に焼かれたのかな?」
「テリィ様がセクボから渡されたスマホで連絡をとる限り、アキバは無事なようです。軍曹さんは…身を投げられた直後に凄まじい"青いビッグバン"が起きて…テリィ様がいつか話してくださった"青い彗星"だと思うのですが、制御室に青い光が溢れて、私も気を失ってしまったのです。気がついたら、この遊び場に…」
「すると…ミユリさんのお兄さんは、義務を果たしたのかな。V2ロケット弾は、アキバに落ちる前に撃ち落とされたんだね。僕達は、アキバを救った…のかな」
実際"そうだった"と僕達が知らされたのは数日後のコトだ。
目視照準だったせいか"ヒ式"は何発も外して間一髪で命中。
しかし、命中の瞬間に、V2も、原爆も、跡形もなく消滅したらしい。
まるで最初から存在してなかったの如く消え去り関係者は戦慄する。
実際"存在しないモノ"ほど、手に負えないモノはない。
100年200年と逝う時が過ぎても、一切の重みがナイのだ。
だから、人はどれだけ長く、例え永遠に生きるコトが出来たとしても、今日が人生最後の日かもしれないと思って過ごすべきだょね?
あ!でも、そんなコトはどぉでも良いのだ。
日東坂の頂上に朝日が差し、伸びた光線が僕とミユリさんを透過して逝く。
その時、僕達はXmasの朝に恋人とキスする以上の幸せなんてナイと知る。
なぁ?みんなも、そう思わないか。
ヲタクであるか否かを問わずにさ。
おしまい
本シリーズは100話まで描こうと思っていますが、今回は半分、キリのいい第50話なので、今までの主な登場人物を総動員するオールスター編を描いてみました。
登場人物を好き勝手に描く内、思わぬ長さになりました。また、今回に限りNYの都市風景を全く借景しておりません笑。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。