表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海王と海の聖女  作者: なつき
還流の神殿
19/25

『ゴースト』たそがれの姫軍師

拾われた少女を介抱していたハルカは皆に少女の正体を語ります。

やがて起き上がった少女にハルカは見覚えがあるみたいで……?

「ゴースト?」



 ラインバルトの疑問に。



「はい。彼女はゴーストです」



 ハルカは布団代わりの彼のコートを被せた彼女を指さし答えた。



「ゴースト……ってな何だいハルカちゃんよ?」



 ラインバルトは魔法の知識は無い。だから素直にハルカに尋ねた。



「ゴーストというのは、この世界に存在する魔力に残留思念が結び付いて起きる現象です」



 ハルカもまた、丁寧に説明を始めた。



「この世界には魔力という力が普遍的に存在しますよね」


「あぁ」



 ハルカの説明に相槌を打つラインバルト。



「魔力というのは可能性の力。選ばれなかった力とも謂われています。それらを集めて色んな奇跡を起こすのが、私達『魔法使い』なのですが……たまにとても強い残留思念の残る場所に大量の魔力が集まると、人間に良く似た姿を取る事があるんです」



「それが、ゴーストですか」



 クロムの問いに、



「はい」



 ハルカはしっかりと頷く。



「……つまりハルカちゃんよ。この娘さんはゴーストって奴で人間じゃないって事で良いのか?」


「はいそうですラインバルトさま」



 ハルカはそう答え、



「……ゴーストである彼女には心残りが何かあるという事です。その心残りを解決すればゴーストは大丈夫なはずですよ」



 膝をついて彼女に回復魔法をかけ続けた。相手がゴーストなのだから魔法を行使しなくても良いだろうに……それでも心配なのだろう。ハルカは集中して魔法をかける。



「……ぅ」



 その時ぴくりと。横たえた少女が眼を覚ます。



(……変わった見た目の娘さんだな)



 むくりと上体を起こした彼女を見て、ラインバルトの第一印象はそれだった。



 椿の花みたいに紅い髪、夜のような黒色の右目と『黄昏色の左目』というオッド・アイの美少女さんで。どことなく雰囲気が彼女――如月ハルカにそっくりだった。



「……『たそがれの姫軍師』さま……? まさか……? え? 冗談ですよね……!?」



 だが彼女の容姿を見て、一番動揺したのがハルカだった。何度も何度もあり得ないと、青ざめた顔を左右に振る。



「ここは……どこですか……? そして貴女はどうして私の通り名を知っているのですか……?」



 そんなハルカに対して首を傾げながら尋ねる彼女。



「え……? で、ではやはりたそがれの姫軍師、『逢魔椿(おうまつばき)』さまのゴースト……ですか?!」



「お、おい? どうしたんだハルカちゃん?」



 あまりに動揺しているハルカに話しかけるラインバルト。



「私は……あそこに、行か、ない……と……」



 その瞬間。立ち上がりかけた彼女がふらりと倒れた。



「あ! また倒れちゃいました!!」



「任せろハルカちゃん! ……女性だしどこ持って良いのかは判らんが……とにかく船室に運ぶから!!」



 迷わず横抱きをし、彼女を船室まで運んでゆくラインバルト。



「なぁエリス……」



 不意に語りかけるクロムに、



「どうしました? クロム?」



 エリスは頭を同じ高さまで下ろして尋ねる。



「この風景……良いと思わないか? まぁ話は後だ。エリス、見張りを頼む」



 そう言い残してクロムは追いかけてゆく。エリスは彼の願いを聞いて、見張りに着いたのだった。

結構飛ばしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ