幕が降りて
一旦ストーリーは一区切り。
でもまだまだ続きます。
おまけ。
「行っちゃいましたなぁ……うちの妹……」
「うん……僕も見送ったよ……」
「やっぱりいつかは自分の人生を生きるようになるものなんですねぇ……」
「うん……」
「……でもやっぱり!! お兄ちゃんちょっと寂しいなぁ!!」
小樽のカップを机に叩きつけビールの滴をぶちまけて、オニヘビのユウキが泣き叫ぶ。
「ねぇイブ兄ちゃん。ユウキ兄ちゃんさっきからずっとこれだよ……」
その話をカウンター前で相槌しつつオレンジジュースを片手に聴いていた少年が困り果てて尋ねる。光を溶かしたような白髪に夜空みたいな深く透き通った闇色の双眸に八歳の少年。彼こそが如月ハルカの魔法のお師匠さま、『ルーティス・アブサラスト』その人だ。
「大目に見てやってくれ、ルゥ君。ユウキさんは妹を、それこそ娘みたいに可愛がっていたんだから……」
そんなルーティス君をあだ名で呼びながら、イブシェードも黒ビールの入った小樽を片手に沈痛な面持ちでため息をつくばかりだ。
「うん。それは大丈夫だよ。
……でも愛弟子が巣立っていったね。船乗りになりたいって言ってたからいっぱい楽しく生きてくれると良いのだけれど……」
ルーティスは窓の外を仰ぐ。どこまでも清々しい青空だった。
「彼女ならきっと、大丈夫さ。それよりルゥ君はしばらくフォーニーに滞在するのかな? 良かったら錬金術の実験を手伝って欲しいんだ」
「うん、いいよ! じゃあここの領主にお話を通しにいくよ! ここの領主は僕の知り合いなんだ!!」
にぱーっと笑顔で、ルーティスは答えたのだった。
お師匠さまは色んなところに出ていますので、どこかでよろしくお願いいたします。