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約束  作者: Giveup&up
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第15話『誤解』

※15話は明美視点となります。



ジロウが家に来た翌朝


「よし。じゃあ仕事行ってくるよ!」


「うん!頑張ってね!」


佑樹が靴べらを使い、

高級な靴を履く。

私には分からないが、

分かる人には分かるのだろう。

とても高い靴だ。


佑樹はマメというか、

綺麗好きというか、

毎朝、靴を綺麗に磨いている。

その甲斐あって、佑樹の靴は

いつもピカピカ。


スーツが似合う素敵な彼氏。


でも、今朝は靴を磨いてなかった。



「今日はジロウがヒロミと

話しに行く日だな。

上手くやってくれると良いんだが。」


佑樹は少し心配そうだ。


「そうね、、、

けど本当にヒロミが犯人なのかな、、」


そう。

一連の事件の犯人はヒロミではない。


仮に、先週、私を線路に

落下させようとした事件の犯人が

ヒロミだったとしても、


谷本先生が起こした

2年前のあの事件で

谷本先生にそうさせた真犯人と


谷本先生の弁明にあった

目の前で小さい子供を

殺害したという事件の真犯人は



あの人。



私は知っている。

ヒロミではない。



「証拠を見る限り、

ヒロミは有力な被疑者だと

俺も思う。

ジロウの連絡待ってみよう。」


佑樹もヒロミが犯人と思ってるみたい。


「そうね、、」



「明美。」


そう言うと佑樹は

私の腕を引っ張りキスをした。


強引っぽさもあるけど、

優しいキス。



「行ってきます。」


「行ってらっしゃい。」



ズキッ



少しだけズキズキする。

それは心と、


お腹辺りも。


昨夜ジロウが帰った後、

私は佑樹の家に泊まった。

(なか)ば同棲しているこの家。


昨夜の佑樹は

いつもより少し激しかった。


と言っても、とても紳士で

優しい佑樹のまま。


そこに男らしさというか

野性的な感じが

いつもよりあった。



佑樹は、

ベンチャー企業である医療機器メーカー

の社長をしている。


以前そこにジロウが面接に来たことを

佑樹から聞かされていた。

結局直接会ってないみたいだけど、

最終面接で会うはずだったらしい。


ジロウが最終面接に行けなかったのは、

線路落下未遂事件があったから。


あの日、ジロウが電話してる間

佑樹に連絡して、

交番にいることを知らせた。


佑樹が交番に向かったのと、

私達が柳田刑事に家へ送られたのが

入れ違いになっていたみたい。


私が家に着いた後、

佑樹は私の家に来てくれた。


佑樹は優しくて素敵な彼氏。

まだ具体的ではないけど、

結婚の話も出ている。


けど、私はジロウのことが、、、


そう考えながら、

トイレを掃除してると、

生理用品の予備を入れている棚が

少しだけ開いていることに気づいた。


「ん?なんでだろ」


私は佑樹が会社に行くと

毎朝掃除をしている。

昨日もトイレ掃除をした後、

ちゃんと棚を閉めたのを覚えてる。

この棚はこの家で

私しか使わない。


まさか、佑樹が浮気?

一瞬そんなことも考えたが、

佑樹はそんな人じゃない。

それに昨日私はずっとこの家にいたし。


その時、ジロウが帰り際

トイレに行ったのを思い出した。


そして、私が柳田刑事の車に

紙切れのメッセージを置いたのを

思い出した。


「まさか、ジロウも!」


ジロウも私にメッセージを残したの?


そう思って棚を開けてみたが、

特に変わった様子はなかった。


「考え過ぎかー。」


少しガッカリした気持ちになった。

あのメッセージちゃんとジロウに

届いてるのかな。


そう思い掃除を続けていると、

リビングに丸まった紙切れが落ちていた。


「何これ。」


捨てようとしたが、

気になって紙切れを伸ばして

開けてみた。


「え!!」


するとそこには

私がジロウに書いた

メッセージがあった。

例の紙切れだった。


そして裏を見ると、

ジロウから私への

メッセージが。



ジロウ、、、、

あの隠されたメッセージに

気づいてたんだ。


なんで連絡くれなかったのかな。


でも、なんでこの紙が

ここに。


最初は、ジロウが

捨てようとしていたこの紙が

ポケットから落ちたのかなと考えた。


でも、少し嫌な予感がした。


、、、まさか。


ジロウは帰り際、

トイレの棚にこのメッセージを

置いて帰った。


そして、佑樹がそれに気づいて

メッセージを読んだ。

そしてグチャっと丸めてリビングに捨てた。


もしそうだとしたら、

私達、、、、、


私は佑樹との関係に

亀裂が入ったのではないかと

危惧した。



「捕まらない」とのメッセージ。


あれは、

ジロウに捜査を諦めて欲しい。

との願いを込めて作った。

少し回りくどかったけど。

ジロウだけに伝わればと思って書いた。


真犯人は、

警察はもちろん、

ジロウにも捕まえられない。


真犯人は、誰にも捕まらず

平然と生活している。


ジロウはサトシが最後に残した

「事件を解決して欲しい」

との頼みを忘れずにいるんだろう。


けど、ジロウには事件から手を引いて欲しい。

明らかにしない方が良い真実もある。


ジロウのためにも。


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