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約束  作者: Giveup&up
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第13話『疑念』

※13話は明美視点となります。


私の名前は明美、19歳。

大学には行っていない。

高卒でバイトをしている。


今は同棲して間もない彼氏の佑樹と

△△公園の近くを歩いている。

同棲って言っても、

まだ私の家から荷物を運んでいる段階。



「雨降ってきたな。

そろそろ帰ろっか。」


そう言った佑樹が折り畳み式の傘を広げた。

△△駅に近い、マンションへと向かった。


佑樹は19歳にしてベンチャー企業の社長。

ある医療機器メーカー企業の。


そして司法試験にも合格している。

佑樹は昔から真面目で誠実だ。

そして、男らしい。

性格だけでなく、見た目もカッコ良い。


厳密には、カッコ良いというより、

男前って感じの言葉が彼に合っている。


「ありがとう!」


私はそう言って

佑樹の方にくっつく。

佑樹には少し雨が、かかっている。

それは私が濡れないように、

私に傘の面積を多く被せてくれるから。

佑樹は優しい。


そんな良い彼氏がいるのに、

私には秘密がある。


「そう言えば、リュックに

このストラップ付けてないじゃん?」


佑樹はそう言って自分のカバンにつけた

私とお揃いのストラップを見せてきた。

背番号5のユニフォームストラップ。


「、、、

あっ、それはこの前、

外れそうになったから、

外して家に置いてるの。

大事なストラップだから

無くしたくないもん!」


「そうなんだ!」



このストラップは、、、、

私が線路落下未遂事件の前日、

佑樹とバレーの試合を見に行った時に

買った物。

初めてのお揃い。

あの日は電車でジロウと

久しぶりに再会した日。

すぐ逃げられたけど。

佑樹を迎えに行く途中に会った。


でも、線路落下未遂事件の当日、

ジロウに助けてもらった。

あの時は本当に死んだと思った。

けど、生きていた。


ジロウが私を守ってくれた。


私の中で、恋心が蘇ってしまった。

ジロウにドキドキしていた。

小学生から憧れていたジロウ。


ジロウとは高校1年の頃に別れた。

そして2年前のあの事件から、

ジロウはどこかに行った。

佑樹もずっとジロウのことを気にかけていた。


けど、あの時、久しぶりに会ったジロウ。

そして、私を全力で助けてくれたジロウ。


そんなジロウに、ときめいてしまった。

私には佑樹がいるのに、、、


そして、助けてもらって

警察に向かう途中、咄嗟に

あのストラップをポケットに隠した。


佑樹とお揃いのストラップを

ジロウに見られたくなかったから。

私にはそんな後ろめたさがあった。



家に向かう途中、、


雨に濡れた一人の男性が歩いていた。

ヒロミの家の近く。

ヒロミとは中学からの親友で、

今でもよく遊んでいる。



あの男の人、、、、

なんか胸が締め付けられる。

でも、苦しい訳ではなく、

これは、、、



「ジロウ、、、、」


なんでだろう。

顔が遠くて見えないのに、

そんな気がした。


「えっ?」


佑樹がそう言うと、


その男の人が走って逃げようとする。


「待て!」


佑樹がそう言うと、

その男の人を追いかけた。

そして、私は二人の方へと向かう。


やっぱり、、、

ジロウだ。



「佑樹、、、、」


ジロウは膝をつき、

涙を流していた。


佑樹とは正反対。

佑樹は人前で絶対涙を見せない。


でもそんなジロウを愛しく思ってしまう

自分がいる。

私は、最低な人間だ。


ジロウが何か言っている。


「俺は、、、何を信用すれば良いんだ。」


どうしたんだろう。


すると佑樹が


「他人が俺と違うことを言ったとしても

俺だけを信用しろ。

それだけは忘れないでくれ。」


そう言っていた。

佑樹は続けて、


「ジロウ、、、

実は俺、明美と付き合ってて

一緒に住んでいる。

とりあえず、うちに来て話そう。」


と言った。

私も「そうだよ。すごく雨に濡れてるよ。」

と付け加えた。

ジロウが家に来る。

少しドキドキする。


そして、ジロウは家に来て、

バスタオルで雨を拭いた後、

佑樹と私と一緒にリビングで話した。


2年前の事件から今まで

何をしていたか。

何があったのか。

ジロウと佑樹と私。

お互いのことを全部話していた。



2年前の事件や

線路落下未遂事件の話も。

今日、ジロウが柳田宅で聞いた話もしていた。



佑樹は何かを考えながら言った。


「2年前の事件と

線路落下未遂事件では

明美が狙われた。

そして、谷本先生の弁明に出た

子供の死体が最近発見された。

この3つの事件の繋がり、、、

それと柳田刑事は、なぜ

2年前の事件にこだわるんだ。

弁明に出た子供殺害事件の

捜査をする方が、より犯人逮捕に

直接的だと思うんだが、、

もちろん、2年前の事件は

ヒロミが現場にいたから

許せない気持ちが強いの

かもしれないが、、」


佑樹がそう言うと、

すぐジロウが言った。

その発言に耳を疑った。


「犯人は分かっている。」


すると、ジロウは

机にある物を置いた。


「これが証拠だ。」



「犯人は、、、、」




「ヒロミだ。」



私と佑樹は、

凍りついた表情をしている。


「そんな、、、」



2年前の事件。

なんで、谷本先生があんなことをしたか。

なんで、弁明に出た子供が殺害されたのか。


その真犯人を、、、、、




私は誰か知っている。




でも、それを公にしても、

何も報われない。

世の中には知らない方が良い真実がある。


ただ、その犯人は、ヒロミではない。



佑樹が、ジロウの出した証拠を調べ、

こう言った。


「なるほど、、

確かに、犯人はヒロミで

間違いなさそうだな。

明美を危険な目に遭わせた

犯人はヒロミだ。」


そんなわけ、、、ない。


「ちょっと待ってくれ、、

これも証拠になるよな。」


そう言うと佑樹は

引き出しからある物を出した。


私には何のことか分からなかった。


「さっそく警察に」


佑樹がそう言うと、

ジロウが


「いや。

俺に直接。

ヒロミと話させてくれ。」


そう言った。

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