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約束  作者: Giveup&up
14/18

第12話『暗示』


「裏が取れた箇所がある?」


「そうだ。」


「谷本は、美術の先生だったのを

二人は知っているよな?」


俺とヒロミは頷く。

谷本先生は美術の先生だ。

実際に授業を受けたことがある。


あまり話さず、黙々と絵を描き続ける授業。


「取調べで。

谷本に、なぜ相手の脅しを

嘘だと思わなかったのか?と聞いた。

警察は谷本の[脅された]という弁明は

嘘だと考えていたが、

脅しがあったという前提で質問をしてみた。

なぜ、[谷本の子供を殺す]という脅しを

()に受けたのかと。すると、

目の前で知らない小さい子が殺されたから。

と答えたんだ。

だから、従わないとうちの子も殺される

と思ったらしい。」


そのことは、教室で犯行直前にも

谷本先生が言っていたのを覚えている。


「だから谷本に、その殺された子供

の肖像画を描くように言ってみたんだ。

そしたら驚いたよ。

その絵は、誘拐されて

まだ見つかっていない

捜索中の、ある子供の

顔とそっくりだったんだ。」


「でも、その子は捜索中で写真も

世間に出ていた。

警察としては、谷本が話に合わせて

その子の顔を描いただけだと考えた。

どこかで見たその子の写真を。」


まさか。

そう言えば最近ニュースで。


「しかし、ここ最近の話だが。

誘拐されていた子が死体で発見されたんだ。

その子がまさに、谷本が描いた肖像画の子だ。」


「そして、殺害方法も死体の状況も

谷本の供述と一致している。」


つまり、

「目の前で他人の子が殺されて、

自分の子を人質に

[明美を刺さないとお前の子を同じ目に遭わせる]

と脅された。だからやるしかなかった。」

という谷本先生の弁明が

信憑性を帯びてきたわけか。


となると、やはり

谷本先生も操った黒幕が。


「これが、現在、2年前の事件を

再捜査している大きな理由だ。」


そうだったのか。

俺とヒロミは凍りついた表情をしている。


あの事件はまだ終わっていない。

それがハッキリしたからだ。


「ジロウくんは、自分が自分に

操られているような嫌な予感がする

と言っていたね。

何をしてる時にそう感じたんだ?」


「それは、、、」


俺は紙を渡した。


「これを見ていた時です。」


ジロウへ


直接だと恥ずかしいので

また、連絡があるなら嬉しい


明美


「これは、後部座席にあった

明美さんからのメッセージだな。」


柳田刑事がそう言うと、

ヒロミが何かに気づいた顔をしている。


「1、2、3、4、5、、

えっ。ちょっと待って。

これって、、、」


「どうした?ヒロミ。」



俺は再度、紙を見ると

あの時感じた悪寒がした。


「明美ってリュックサックに

背番号5のユニフォームの

ストラップつけてるの。

ジロウは聞きたくないかもだけど、

佑樹とお揃いのストラップ。

あの二人付き合ってるの。」


それは知っていた。

明美と佑樹の誕生日は5月5日。


明美のメッセージを読点も合わせて

5文字目を読んでいく。


つ、か、ま、ら、な、い


「捕まらない」だと??


ヒロミと俺だけでなく、

柳田刑事も気づいた。


俺は言った。


「こんなの、、、、

たまたまですよね?

それに、こんなメッセージを

真犯人なら残すはずない。

馬鹿げている。」


「、、、そうよね。

ごめん。変なこと気づいて。」


「そうだな。

ただ、とりあえずその紙の

写真だけ撮って良いか?」


「、、、はい。」



あと、2つ聞きたいことがある。


「柳田刑事。

2年前の事件って、

凶器の入手経路はどうなんですか?

谷本先生の購入履歴もあるんですか?」


「、、、入手経路は、ネット経由で買っている。

谷本の自宅のパソコンから買われていた。

すまないが、これしか言えない。」


「なるほど、わかりました。

では、俺はそろそろ。」



「え?もう、帰るの?」


ヒロミが心配してくれているのが分かる。


でも俺は一人で考えたかった。


「ジロウくん、家まで送るよ。」



「いや、大丈夫です。

また、連絡します。

今日は本当にいろいろ

ありがとうございました。」


そう言って家を出た。


そして、、


佑樹と明美に会った。




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