表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

初春の嵐

作者: 武田道子

初春の嵐 



切り裂かれた風が

私を切り裂いて通り過ぎる

猫柳の柔らかな花たちは

ただくすぐったそうに

ふわふわと揺れるから

風に引っかかれた赤い頬も

もう痛くはない



うすーく張った氷の水たまり

細い枯れ枝いっぱいに吹き出た桜の蕾

柳の垂れた枝えだを飾る小さなリボンのような浅葱色

切り裂いて散り飛ぶ風は

誰かのように粋がっているだけ

本当は優しさが怖いだけ

暖かさが怖いだけ



無謀に空気を乱し

荒れ狂っているのは

手の中に握っていることのできない

別れへの嘆き

傷ついた心は傷ついた体は

自分がもう長くないことを

知っている



猫柳の柔らかさ

そばにいれば温まる

陽だまりの中で陽炎に姿を変えてもいい

あらがわないで自分が変われば

愛されることを知っている

一気に空に突き進む

ちりぢりに裂かれた体が

金粉になってサラサラと舞い落ちる


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] どこか幻想的な雰囲気が好きでした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ