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自宅が狙われています  作者: 原十二月
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第三話 便利な空間

 この世界の空気中には魔素という原子が漂っている。

 人はこの魔素を体内に取り込む事で、様々な属性魔法を行使したり、体を強化することが出来る。


 しかし、人がこの魔素を体内に取り込むには、魔力路という器官が必要であり、それがないと魔法や身体強化が使用出来ない。

 魔力路を持って生まれてくる人間は少なく、十人に一人の割合。世界人口の約一割が魔力路持ち、残りの九割は魔力路を持たないで生まれてくる。


 そして、この世界には魔力路持ちよりさらに希少な存在がいる。


 それが能力持ちと言われる人々である。


 能力持ちは例を上げるなら人を回復させることが出来たり、思考を読んだり、姿を消せたり、一人一人全く違う力を持っているのが特徴。しかし、その代償なのか魔法や身体強化を扱うことが出来ない。

 魔力路持ちは、魔素を取り込み魔力路で変換、放出することで力を行使すると言ったことが理論的に解明されているが、能力持ちに関しては全くの謎である。


 一説では神様が与えてくれた力なんて言われていたりする。


 要約すると、一般人普通、魔力路持ちスゴイ、能力持ち超スゴイ、みたいな感じである。



 *************



 ベアースレッグの件から三日が過ぎた。俺はベットに腰掛けると背中の包帯を取り換え、薬箱から鎮痛剤を出し呑み込む。

 この鎮痛剤なんて薬はこの世界には存在しないもの。しかし俺にはこの薬がどんな効力を持っているのか分かってしまう。

 理由は、ここにある全て物が俺の能力で出たものだからだ。


異世界部屋ワンルーム」 


 ある程度の広さがある地面の上に平屋を出現させることが出来る俺特有の能力。


 俺が中から扉を開けない限り、他者は決して中に入ることは出来ない。また外壁はありえない程堅く、壁を壊したりすることはまず不可能。

 外観は白いタイルに三角屋根と言ったシンプルな作り。中は大体八畳程の広さで、風呂トイレ別、キッチンと言った生活に必要な必需品は全て揃っている。


 しかしこの家、あまりにもこの世界の常識とかけ離れてハイテクなのである。


 この世界では、お湯を沸かすのにかなりの時間と労力を消費するので、基本は水浴びが主流であるのにも関わらず、ここでは蛇口をひねるだけで簡単にお湯を使うことが出来る。しかも、冷めてしまったら追い焚きなんてものもある。


 そして冷蔵庫、こんなものは料理屋か貴族の家にしかない。


 エアコン、冷風や温風を自由に出せて、いつでも快適に過ごせる。普通周りの温度を調節するには時間をかけて暖炉を炊く。暑さに関しては風を起こすくらいしか対処がない。


 テレビ、一見ただの四角い箱だが、色んな国の情報を教えてくれたり、楽しい劇を見せてくれたりする。一日中見ていても飽きることがない。


 トイレ、はっきり言ってこれが一番驚いた。ウォーシュレットって何? すごい新感覚を味わうことが出来た。あんなものを経験してしまっては、もう普通のトイレなんて使えない。


 他にも言っていったらきりがないが、とにかくこの部屋、快適すぎるのである。

 旅人である俺にとってはどこにいても家に帰れる、とてもありがたい能力だ。


 とまあこんな危険な無人島にいるにも関わらず、超快適で超安全な俺だが、流石にこの島で残りの人生費やすのはちょっとな……まだ行ってみたい所も山ほどあるし。


「どうにかしてこの島から脱出しないとなぁ」


 とりあえずあの海を渡るための船を作る事、数日分の食料に水か。

 う~ん、海の魔物が出てくる事を考えたら結構頑丈に作らないといけないし、水は前の川の水を持っていくとして、食料は日持ちする干し肉辺りがいいか。

 てか船なんて作ったことねぇよ! 魔物も一人で狩るのか……大変だな。


「……明日からにしよう」


 まだ背中痛いし、もう少し体調が回復してからに行動に移そう。一人で無理したってしょうがないし。


 一人……か。


 ベットに横たわり考える。


 そういえばもうここに来て三日かぁ、きっとあいつらはとっくに死んでんだろうな。

 あ~あ、いつか復讐してやろうと思ったけど残念だな。


 ガバッと布団を勢いよく被る。




「な、なにこれ!!」

 その時、家の外から女の驚くような声が聞こえる。




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