物語を血で染めるモノ
だいぶ遅くなりましたが、2話の投稿です
今回はグロテスクなシーンがあるのでちょっとやってしまった感がありますね
今後こういう描写は控えた方がいい場合などはコメントを下さると今後に反映しやすくなってたすかります
『エマージェンシー……エマージェンシー』
現在の時刻は四時。太陽が昇り、人によっては仕事に向かっている時間帯。しかも月曜日の平日。週の始まり、学生は学校の始まりに嘆く日でもある。
『カオス……レベルⅠが出現しました。ただちに排除に向かってください』
「まさかこんな時間に出てくるなんて……乙女の事情も少しは考えてほしいものね」
「乙女の事情を考えて欲しいのは同意ですけど、貴女は二度寝したいだけでしょう?」
「あら、バレちゃった?」
「それはバレると思う……」
「その通りです」
ここにもそんな理不尽な現実に嘆く少女が3人いた。無駄話をしながらも走る足を止めることはない、その容姿は美しく、その走っている姿も異端にみえてしまいそうな程だ。
「失礼します。 対カオス殲滅部隊……到着しました」
「失礼するわね」
「どうも……」
3人の少女はひとつの大きな部屋に入る。 そこには大きな机に場違いな見た目をした幼女がいた。
「うむ……選定されて初めてだが、よく来てくれたのぅ」
その幼女は重々しい雰囲気と見た目とは裏腹のプレッシャーを放っていた。
「カオスが現れたのですか?」
一人の少女が問い。
「うむ……」
幼女が答える。そして顔をあげ、その口をゆっくりと開き言った。
「レベルはⅠ……お主らが力を合わせれば楽に倒せる敵なのだが……ある問題が発生した」
「問題って何よ?」
「……学園の外に出おった」
「なっ……!?」
「嘘でしょっ……!?」
「っ……!?」
少女達はその出来事に驚いていた。
「ちょっと待ってくださいっ……カオスが学園の外に出ないように結界が張ってあるって言ってましたよね!?」
「結界をきって検査してるときにやられたようじゃ……なんともタイミングのいいことだのぅ……」
幼女は口調とは裏腹に歯を食いしばっていた。
「やってくれるじゃないの……こんなことをしてる場合じゃないわ、すぐに向かうわよ」
「賛成……早く排除しないと危険…」
「そうね……学園長、私達はすぐに向かいます」
「頼んだぞ」
少女達は部屋を出る。
「これも……予想しておったのか? 小娘」
「ん~、ど~かな~♪」
幼女は少女に問う。少女は笑い、幼女は睨む。
「ま~、こうなるかな~、とは思ってたよ?」
「やはりそうじゃったか……気に入らんよ、お主の何もかもを見透かしたようなその瞳が」
「あはっ♪ そうかな~♪」
少女は窓から外に出る、その時の表情は先程までとは変わり、苦しみに顔を歪めていた。
「だって……仕方ないよ。知ってるんだもん」
そして、その時と同時に運命という歯車が動き始めたのだった。それは……とある少年に異変が起きた時刻と……同時刻であった。
**
俺……九葉蓮はブサイク……だった。
だった……という言い方になった理由は、時は遡ること数分前。朝起きた時に気づいた自分に起きた違和感がそうさせた。違和感……というほどわかりにくいものではなく……目に見えるのものだったわけだが……。
「これ……どうなってんだよ…」
雪色の髪を右手で持ち上げる。手触りや頭皮に感じる刺激はこの髪が自分の髪であることを認識させる。とても綺麗な髪で自分で言うのもなんだが見惚れる程だ。それに加えてこの容姿……白い肌にセルリアンブルーの瞳すらっとした顔立ちと体。
正直、昨日までの自分の姿とは月とすっぽん。天と地程の差があった。この現象が夢なのか、現実なのか。夢なんじゃないかという思いにかられた俺は、とりあえず頬を思いっきり抓ってみることにした。
「いたたたっ!? 夢……じゃないみたいだな……さてと、どうしたもんか……」
まだ半信半疑だが、ここで疑っていても何も始まらないか……。
でも学校には行けないな……この姿で行けるわけないしな、まぁ……行っても、俺のことを気にしてる人なんていないから転校生とか言われそうだが……って、なにそれ悲しい。
その時だった……
「うぉ!?」
突然視界がぶれた。いきなりの出来事に家が揺れていることに気づいたのは少したってからだった。さらに鼓膜が破れるんじゃないかというくらいの大きな爆音。俺は耳を塞ぎ、安全な場所に行こうとした。
「って……収まった…のか?」
動こうとした時既に揺れは収まり、あの爆音もやんでいた。
「そうだ……母さんっ」
一番最初に気になったのは母さんのことだった。母さんは俺があんな姿でダメダメだということを知っていながらも、文句も言わないで優しくしてくれていた。この世の中ではきっと母さんみたいな人はいないだろう。母さんのおかげで今まで生きてこられたと言っても過言ではないほどだ。
「母さんっ……無事……か……」
俺は自分の目を疑った。それくらい普通じゃなかった……。なぜ普通じゃないのか……蜘蛛がいた……ただの蜘蛛ではない。大きさはゴミ収集車くらいの大きさのそんな蜘蛛だった。
「で…かい……」
俺は後ずさりすぐにこの場所から立ち去ろうとした。あのバケモノに見つかってしまう前に一秒でも早く…… しかし、俺はなにかにつまずき、倒れた。
ビチャ……という音と生暖かい液体……
俺は頭の中に浮かんだことを振り払い……ある筈がないと自分に言い聞かせてつまずいた物体を見た……。
「っ!?」
それは言うとするならば……肉片だった。もう形もろくにわからないただの肉の塊だった。だがしかし……気づいてしまった。わかってしまった。その肉片にわずかについていた髪の毛に……。
母さんと同じ色の髪の毛に……。
「あ……ぁぁぁ……ぁぁぁああ!!」
俺は叫んだ。自分でも驚くほどの声をあげた。この声は何を思って言ったのか。絶望か、悲しみか、怒りか、恐怖を振り払うためか……俺にはそれを理解できるほどの頭も冷静さもなかった。
そして、バケモノがこちらを向くのと同時に俺は走った。
頭の中では母さんが死んだという現実とあのバケモノが殺したことが反復して浮かんでは消える。
家を出ても振り返ることなく、叫び……走り続けた。
それは今のこの現実から逃れるように……抜け出そうとするように……足掻いているように見えた。俺があの時、現実に疲れて布団の中に逃げ込んでいたのと同じように……。
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ーー本のページをめくると続きにはこう記されていたーー
ーー少年は姿を変え、そして死を見るーー
ーー逃げ惑い……叫び続けるーー
ーーそして……少年は覚醒するーー
ーー世界を変えんとする……そんな存在にーー
読者の皆様、読んでくださりありがとうございます。
今回は読者の皆様の目汚しになったかと思いますので、深く反省しております。
ただ、今後もこのような描写がストーリーの関係で増えてしまう可能性があるのでご了承下さい
今後も宜しくお願いします
次回は書けしだい投稿します