1.鶏肉を一口大にカットしましょう。
いつものように着替えて、いつものように用を足し、いつものように朝食を食べる。この間も頭の中は大体唐揚げだ。白米と味噌汁、卵焼きといたって庶民的なメニューの朝食に、唐揚げ(妄想)をプラスする。そうして幸せをかみしめる僕を、家族が冷ややかな目で見るのは既に日常茶飯事。
家を出て、通学路を歩く。通学時間約15分。
では、この時間を使って貴方に説明しようか。
さて、先程貴方はおそらくこう思ったはずだ。
「は?」
と。
何に対してかも大体分かる。
「なぜに唐揚げ?」
……そのことについて、まず最初に言わなくてはならないことがある。
それは、僕が中毒者であるということだ。
厳密に言うと、唐揚げ中毒である。略してカラチュー。もしかしたら、先程の朝食の時に気づいた人もいるかもしれない。
そもそも中毒つってもどんなん? ……では例えを挙げよう。
例えば、板チョコを持っているとしよう。最初はひとかけらだけ……と、思っていたのについつい食べたくなって最終的に一枚全て食べきってしまう。そして、こう思ったことはないだろうか? 「もっと食べたいなあ」と。
国語の成績が並み程度の僕の説明でうまく伝わったかは分からないけど、要するに僕の体は24時間365日常に唐揚げを求めているのだ。
そんな僕の中毒を恐れて、家族は家で唐揚げを出すことを禁忌としてしまった(その代わり、昼の弁当は週5で唐揚げ弁当だ)。
正直、いつからこうなってるかは覚えていない。気づいたらそうなっているから中毒とは恐ろしい……といっても、実際恐れているのは家族をはじめとする周りの人たちなのだが。