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P6 1月20日Aパート

 魔界暦4000年1月20日。曇り。


 今日は休日だ。今日の業務は休むことだ。···さて仕事が仕事なので、休もうと日記をだらだら付ける訳だが、これといって書くこともない。休日の魔王様の御手料理の事でも書こうかと思ったが、魔王様は朝からどちらかへお出かけになっておられる。まったくもって、適当で曖昧な仕事を命じられると大変だ。


 そんなことを前にルナに漏らしたら、


「さたにゃん。一回頭冷やすにゃ」


 と水系術式で水をぶっかけられた。私はそんなに変か?


 いやルナの方が変だと思うのだが。


 もっと言うと、魔王様はもっと変だ。


 魔王らしくないのは今更ながら、最近、ブログなるものを始めたらしい。これは日記のようなもので、通信帯を駆使して書くものらしい。


 実は私、最初はこれをやれと命じられた。けれども、どうも私は機械の扱いというのは駄目で、それ故に日記帳を頂だいた、という経緯がある。正直よくわからないし、仕事するとき以外画面に向かいっぱなしの魔王様のようにはなりたくなかったので、今のところ丁度いい、というのが現状だ。


 さらに変なのは魔王様からというこのウサギのシールだ。魔王様から頂いたシックな日記帳には明らかに似合わないこのシール、何らかの魔術がかけられているらしく全然解析できない。そのくせ四六時中魔術が作動しているそぶりはまったくなく、用途不明だ。


 だが無駄な魔具、というか魔グッズを開発するのは魔王様の御趣味なのだ。だが今回程意味不明な物はいままでになかった。お造りになられるのは大抵実用品で、基本的には消えもの―式札や結界札など―がほとんどだ。昔昔、魔王様がまだ旅をされていたころ。こういう物を作って売って金を稼ぐのが生業だったらしく、その腕前はかなりのものだ。S級札作成師に匹敵している。それ故にか、そんなことをする必要が無くなった今でも時々作られ、魔王城城下で高額で売り、さばいておられる。所謂魔王印だ。けっこう悪どい商売だ。この辺はきっちり魔王だった。


 このシールもその一部かと思うと何をしたかったのか尋ねたくなるが、きっと、どうでもいいことなのだ、と決め付ける。ルナの言うとおり、ただの駄洒落だろうと。他に意味なんかないのだ、と。


 ―勢いでここまで書いたとき、私は部屋のノックされたのを知った。ドアの向こうから声が聞こえる。


「サタナキア様。メイドのシーラです」

「どうした。何かあったか?」

「魔王様のご友人を名乗る方が魔王城のFrendly Gate利用申請をしております」


 Friendly Gate?ああ、登録した者のみが使用可能の転移ゲートか。珍しいな。引きこもりに来客なんて。


 如何されますか?と、シーラ。魔王様がいらっしゃらないから私に色々な決定権が回ってくる訳だ。が、私は基本断る。色々言われることが面倒臭い。


「いらっしゃらないと伝えろ。何時お戻りになるかはわからない、とな」

「了解しました」


 コツコツと、シーラが去った瞬間だった。


 ―ビーッ!!!!!!っと警報が、鳴り響いた。


 流石にこれには反応しないわけにはいかないので、部屋着に簡単な上着を羽織り、部屋を飛び出した。あの警報は侵入者用の物で警戒レベルは2、つまり、すでに侵入されている。時間がない。仕方がない。私は、叫んだ。


「ゲート、オープン!」


 使用したのは、魔王城に残留している神代の魔法の一つ。魔王城の中ならば何処へでも行ける、という転移魔法だ。魔力が足りない私は、一日一発が限度。


 ―空間に穴が開く―。


 私はその中に飛び込んだ。


 ···イドウチュウ。ショウショウオマチヲ···。クウカンジョウホウヲカクニン。...ヨミコミチュウ。


 ···これが長いことが欠点なんだよなぁ。まぁ旧式だから仕方がない。

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