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《E・D内部/???=?? ??:視点》① ”失敗”

合間の独白です。

《E・D内部/???=?? ??:視点》

 くそくそくそくそ!

 くそくそくそ!

 くそくそ!

 くそ‼

 折角の剣を折られた。

 復讐の為の刃が壊れてしまった!


「あぶ、なかった……」


 あの大剣使いが必殺の攻撃を放とうとした際、私は全身を固めて退場を覚悟した。

 しかし、彼は私を断ち切るのを思い留まった。

 何が原因かは分からない。

 でも、少しだけ……自分は神様に見放されていないと自信がついた。感謝と忌避が同時に湧き上がる。不思議な感覚だった。


「まだ……まだ、おわらない」


 今回は失敗してしまったが、まだ次があるはずだ。

 走り続ける私の両隣には光を遮る高い建物が二つそびえていた。

 視野を包んでいた薄い黒の幕が取り払われる。明瞭な光景が視界に飛び込んできた。

 自分でも詳細が分からない謎の力を解除したのだ。もう急いで逃げる必要はない。何となくだけど、身体も軽くなった気がした。損傷率の増加や状態異常はない。けれども、この力は使っているだけで心が荒れてしまう。正直、気持ちは良くなかった。


「もう……だいじょうぶ……かな…………」


 あの騎士から十分な距離が取れたことを確かめて、速度を徒歩の具合まで落とす。周囲は誰もいない路地裏だ。そこから騒がしい街中の中心部を目的とする。


「……仕返しできると、思ったのに……」


 そう呟きつつ、私は現状を整理する。

 復讐の失敗は不幸だった。

 だが、機会を全て失われなかったのは幸運だとも言える。反省点としてはあの騎士のような邪魔者が割り込む場所で力を行使したことだ。余所者が介入できないような隔離された空間が必要となるだろう。

 粗方の整頓がつき、脳内で復讐の模擬演習を延々と描く。

 大丈夫。

 気付かれてはいない。

 ――騎士団の介入は偶然だったんだ。いや、正確に考えれば、あの人がSOSコールで呼んだのだろう。次は注意しなければならない。一撃で『やる』方が良い。


「つぎこそは……」


 あの憎い相手の断末魔を想像しつつ、私は時間切れで夢が覚めるまで街を彷徨い続けた。

二日続けて投稿しました。次は現実での視点――第三人称へと移ります。

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