始まりの謎
晴天の空、何もすることがなく人気のない道を歩く少年。松本 勇。
コンクリートでできた壁に触れながらこの時間を過ごす。
勇「暑い・・・・」
2×××年7月。今年は温暖化のせいか暑い。いつもより暑い。
勇「こんなことなら外に出るんじゃなかったな・・・・」
今頃後悔しても遅い、どうせ家に帰っても誰もいないから暇だ。
親の元を離れ、今はアパートを借りて高校に通っている。
友達もいるわけでもなく、携帯の電話帳は・・・真っ白。
別に友達なんかいらない。一人でここまでこれたのだから。
そんなことを考えていると急に青い空が曇り始めた。
・・・・自分の真上だけ。
勇「は?」
ポツンと冷たい水が降ってきた。
その瞬間、ザザーッと雨が降ってきた。
これは台風の前に匹敵するだろう。
自分の真上だけ。
意味もわからないまま、どこか雨宿りできるところを探した。
あいにくココらにはそんなところはない。
しょうがなく木の下で雨宿りすることにした。
勇「なんてこった・・・・、自分の上だけとかおかしいだろ・・・」
茶色の髪を、持っていたハンカチでなんとか拭く。
それにしてもなぜ自分の上だけ・・・・
どう考えても意味が分からなかった。
とにかく雨がやむまで木の下にいることにした。
・・・・・それから20分経っただろうか。
雨の勢いは変わらず、何故か霧まで出てきた。
おかしいだろう、おい。
勇「あれか・・・・夢だな。」
そうだ夢だ。こんなつまらない夢、覚めてしまえ。
夢か・・・と思いながら木にもたれた。
もたれたはずだった。
急に自分の下の地面に穴があき、そのまま急降下。
抵抗もできない、真っ暗の中に落とされていく。
勇「わぁぁぁぁっ!」
夢であってほしい、そう思い続けた。