第7話 血祭りという名の罠
平和って素晴らしいよお!
俺は今本気で腹が減っている。故に一目散に食べ物の露天にいかないという選択肢などありえない。
「よーしっ、じゃあ今日は懐もあったかいし俺がぜんぶおごるよー、メディもテフィさんも10万ルトぐらいまでならどんとこい!」
「りーおーにー、かっこいい~」
「おー、ご馳走になりますっ」
とりあえずメディがまっさきに食べたがったのは、タルトっぽい生地で出来た入れ物に、大き目のイチゴのような見た目で薄い桃っぽい味の果物が入っているもの。
すこし分けて貰ったが、極端に甘いと言う訳でもないがスーパーとかで売られている果汁10%とかのジュースの味に似ててすっきり食べれる。入れ物部分も塩味が微妙に効いていて悪くない。
テフィさんが食べているのはトウモロコシのお化けっぽいもの。細長いトウモロコシとは違って、こっちはラグビーボールのように太っている。つぶも4倍ぐらい大きい。
俺はというと巨大なホットドック? ソーセージの代わりにサラミが入っていてパンは硬くて香ばしい味がするフランスパンっぽい感じ。
更に皆でチーズ風味のチキンもどきと、紫色のたこ焼きのような形状で中身は濃厚なミルクのお菓子のようなものを分け合って食べた。
「結構色々食べたんだけど……それほどお金使ってないなー。案外食べ物は安いんですね。もっと高い食べ物は無いんですか?」
「じゃ……じゃあ、リオンさんっ、よければヘキサホーンを食べてみませんか?」
(うん? テフィさんが緊張してる? メディちゃんも良く見れば……)
「当然OKですよ。いきましょう」
案内されたそこは、屋台ではなく小さなお店だった。
中に入るとその内装の高級感に驚かされる。
肉の量や焼き方、部位などの注文はすべてテフィさんにお任せした。
俺はメディちゃんの頭を軽くモフって癒し状態を満喫しつつ、こっちの世界にもロースとかヒレなどの部位の分類があるんだな~と感心する。
出されてきた料理はいわゆるステーキでそれぞれ2種類の肉がお皿にのっている。大体500gぐらいの量だと思う。メディちゃんの皿は若干やわらかそうな肉が大きめで全体の量は少なめ。3種類のソースのようなものも置かれる。
「このソースはヘキサホーンの骨を煮込んで作られるんです。すごーく美味しいんです。こっちのソースはスパイスが効いてて辛いので気をつけてください」
「了解です。さ、いただきましょうか」
(まずは一口……)
「おおおおーーーーー、これ、凄いなあ、ほっぺが落ちそう…」
「おいしいーーーー」
「最高ですっ」
前世でも食べたこともないほどの極上の味だった。
いや、そもそもあの世界では本当に美味しいものなどあったのか?
よほど思い入れがあるか事前に飢えてでもいない限り、素で心に衝撃をもたらすような食べ物など殆どなかったはずだ。
それに比べこのステーキは全身に味覚の衝撃が走り、何かひとつタガが外れるような美味なのだ。
量があるのでメディちゃんとテフィさんは完食できるかなと思ったが、2人ともに一心不乱に食べ続け、気がついたら皆あれだけの量の肉を食べ尽くしていた。
気になるお値段は3人で約5万ルト。売却したヘキサホーンの値段から見ると少し高いが、末端価格だし妥当なところだろう。
その後は適当に3人で露天を見回り、ミニゲームなどをしたり、メディちゃんにおもちゃや小さなアクセサリーのようなものを買ってやったりと適当に遊んでいた。
”さあ、これからが祭りの本番だ!”
広場の中央にいる司会者が、高らかな宣言をする。
なにやらこれから高名なハンターたちによる剣技と魔法のデモンストレーションがはじまるらしい。
(この世界にも魔法があるのか、いろいろと都合が良いけど実際どんな感じの魔法が使われてるんだろ)
程なくしてショーが始まる。
アクロバットな動きを見せる4人掛りの美しい剣舞。
まるで火炎放射のような炎の魔法
人が鳥のように芸術的に舞う風の魔法
霧を作って綺麗な虹をかける水の魔法
怪獣が足踏みして地震を起こす地の魔法
「すげえっ、まるで特撮だよ……」
いえ、すみません。一瞬現実逃避しちゃいました。
どうみてもヘキサホーン(親)のご登場です。
これぞホンマもんのモンスターペアレンツですね。
うまいこと言ってる場合じゃあないんですけど。
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総合評価が100から178へ増えていました。
ありがとうございます。
日間ランキングBEST100にも入っているようです。
評価ポイントにこだわるのは邪道のように思えますが、
色んな人に読んでもらえやすくなるのは嬉しいですね。