第5話 ええ、運が悪いんです、とてつもなく
ただいま、近くの村のお祭りへと皆でとぼとぼ歩いてる最中です。
(けさぶろうは乗らずに置いてきてます)
「ごめんなさい、りおにぃ……」
どうやら彼女は自分のせいで俺のお菓子を失ったと思い込んでいるようだ。
まあ確かに食料が減ったのは微妙に痛いけど、お菓子詰め合わせなんてのを選んだ時点で適当に配ることを考えてたしなあ……
やはりと言えばやはりか、基本甘いものは女の子に、ポテチ系は男の子に人気が集まってた。
随分必死になってたし、こっちの世界はあまり「美味しい味」の文化が広がっていないのかもしれない。
ポイントを無駄に使うのももったいないし、塩や砂糖や調味料があるか、食料品等の市場調査、フライパンとかの道具を探したりしなきゃな。
「俺は気にしてないよ、それに後で補充も出来る品だし問題ないよ?」
「リオンさーん、さっきのお菓子は王宮とかで食べられてる品じゃないんですか? あんなものが入手できるなんて凄腕の商人さんなんですかー?」
(ちょいめんどくさい質問だな、はてうまく誤魔化せるかな)
「テフィさん、あれは俺の故郷の島国で作られてるお菓子なんですよ。つてさえあれば手に入れるのはそう難しくはないんです」
「それに何かが光っていきなり現れたとか聞きましたっ」
(ギクキグぅっ)
「えー、えっとぉ…………ところでテフィさん、アレ何?」
誤魔化すと言うか、さっきから気になっていた神様視力で遠くに見える黒いもの。
動き方が妙に独特で変な感じがする……動物っぽい。
「あれは……」
「よく見ると牛っぽいですね」
「僕には黒い点にしか見えません。リオンさん眼がいいですね~」
「なんか角が6本生えてますよ、あの牛」
(まるでベルセ○クのゾッ○みたいな牛だな、なんだあれ)
「ヘキサホーン!!!!!!!!!!!」
ビキッ
え?何? 一瞬にして皆、世界が終わったような顔をしているんですけど。
「に、逃、逃げっ」
「「「「うわぁぁぁーーーーーーーー」」」」
「って、皆素早さ過ぎ……」
既に誰も周りにはいません。皆街があるらしい方角へ走っている。
俺はというと特に動じないでこれからの身の振りを考えていた。
逆境など前世で飽きるほど遭遇してきた。故に無駄に騒いでも仕方がないことが身についている。
(まずは転生トラック、つかオート三輪……召喚かな)
「いでよ、けさぶろう、後でいいオイルいれてやるからっ!!!」
光と共に現れるけさぶろうに颯爽と乗り込む。
(このまま逃げるって手もあるが……猛獣だか猛牛だかがこんな近くに生息してたらコボルト達も危ないもんな)
神様視力から大体の敵のサイズは既にわかっている。せいぜいが2メートル弱ってところで、あれなら充分手持ちの手段で倒せるだろうと計算していた。
フルスロットルで牛もどきにむけ全力でつっぱしる。この助走がインパクト時の破壊力になる。
「けさぶろう!頼むぜ!」
牛もどきはなんか興奮剤でも飲んだのかよと言いたいぐらい、怪しくもアグレッシブなキモイ動きをしつづけてる。
こっちは特に気にしてないような感じで、まるで変態ボディビルダーのデモンストレーション中のようだ。
「オラッーーーーーー転生しやがれっーーーー!」
奴は当たる瞬間、反撃体制を整えて体当たりしてきた。
だが、角が6本あろうが所詮は牛。
MP消費の暴走トラックスキル中はこちらは反動も損傷も受けずに攻撃できる。
予想通り、変態牛は宙に舞った。
「ぶももーーーーーーーー」
「もういっちょおまけだ!」
「ぶもーーーーーーーっ」
「しぶとっ、これでどうだ!」
「ぶもぅ……」
「いい加減死んで!俺のMPも0よ!」
「ぶ……も(ガクッ)」
クソ重い牛をどうにか引きずり、荷台に乗せてコボルト達と合流する。
その際通販で丈夫な縄も買っておいた(ポイント -1)
皆は怖がりながらも昇天した牛の身体に群がっている。
いや、一部のおそらく大人?のコボルトはむしろ涎をたらしながら眼が血走ってる。
(もしかしてコレ、美味いのかね……?)
「そうそう、テフィさん、コレってどっかで売ることって出来ます? 俺今懐が寂しくって…」
「すごく高い値段で売れますよ…… ですが…… 」
(ん? 様子が変だな、まずいことしちゃったか?)
「一応猛獣っぽいから倒しちゃったけど、やばかったんですか?」
「これ子供ですよ……多分近くに親が居るかもしれない……5メートルぐらいの……」
「エ……マジデスカ?」
気づいている方も多いでしょうが、ポイントカードのポイントは総合評価のポイントを使っています。
現在
総合取得ポイント 38pt
使用済みポイント 3pt
使用可能ポイント 35pt
です。