第4話 ポイントカードでお買い物
メールは爺さんからだった。
神になってからは仕事人間だった俺に他にメールをよこすような奴もいないから当たり前だが。
ひやかしだったら後でなぐるっ……と物騒な思いを抱きつつも読むことにする。
『わしじゃ、わし、ハンサムなお爺ちゃんじゃ。喜べ。
TVを見た他の神達からポイントが多少いれられておったので特典が使えるようになっとるぞ。
まだポイントが少ないので能力開放は無いが、リストから日用品がポイントを使って入手出来るのじゃ。
リストの数は入手ポイントによって適当に増える予定であるぞ。
まあせいぜいがんばってちょー』
(日用品?)
早速神様バッジから[ポイントカードでお買い物]の項目を選び、どんなものがあるのかリストを眺めてみる。
(おおおおおおおっ、あるわあるわ、日本のスーパーで売ってるような米やら野菜やらの食材や味噌や醤油とかの各種調味料、デパートで売っているような品揃えの道具の数々。これでかなり生活が助かるぜっ)
リストの詳細は大体このようなもの(たくさんある中のわずかな一部のみ抜粋)
・米A5kg 1pt
・米B5kg 2pt
・パスタA5kg 1pt
・パスタB5kg 1pt
・小麦粉A5kg 1pt
・小麦粉B5kg 1pt
・小麦粉C5kg 1pt
~
・野菜詰め合わせ 1pt
・白菜3玉 1pt
・キャベツ5玉 1pt
・きゅうり20本 1pt
・トマト1kg 1pt
~
・サラダ油A1.5㍑×3個 1pt
・胡麻油A1㍑ 1pt
・味噌A1kg×5個 1pt
・味噌B1kg×5個 1pt
・醤油A1㍑×5個 1pt
・醤油B1㍑×5個 1pt
(大体だが1pt=1000円換算みたいだな。んで現在の保持ポイントは、20ポイントか。なら2万円ぐらいの買い物が出来るってわけね。ふむふむ。じゃ、手始めに[お菓子詰め合わせ1pt]と[ジュース詰め合わせ1pt]でも買うか)
「ふたつ購入!うりゃ!」
購入ボタンをピッピっと押すと、目の前に淡い光が現れ、その光が1秒程度で消えた後に宅配で使うようなダンボールがあった。
驚いている子供達はとりあえず気にせず、さっそくダンボールをあけようとする。
(さーて、何が入っているかな~。詰め合わせって確認するときは妙にドキドキするな。ま、大抵後でションボリになるんだがな!)
「えっと、ポテチののり塩味にコンソメ味の小袋、うまい棒サラミ味とメンタイ味が3本ずつ、チョコレートの詰め合わせ、こっちはバタークッキーか……」
「何してるのー、りおにー?」
「おお!メディ! めかしこんできたなっ。その白いドレス似合ってるぞ」
「えへへ~」
白いフリルのドレスに細い黒のリボンのアクセントが映えてなかなか上品な雰囲気をかもし出していて、いっぱしのお嬢さんっぽい格好だ。
自分のことは棚に上げて、変態にさらわれないかと不安になるぐらい可愛い。
「荷物の整理をしてるのさ」
チョコレートの詰め合わせの袋をあけて、その中からホワイトチョコレートにビタークッキーの砕いたものが入っているのをひとつ摘み出し、メディに差し出す。
「チョコレート食べるかい?」
「チョコ?れーと?」
「……チョコレート…知らない?」
「うんっ」
(ええええっ、この世界ってもしかしてチョコレートすら無いの?)
「んーっと、お菓子だよ。食べると甘くて美味しいよ。ほら、手を出して」
「う……うん」
メディはおずおずと手を出して受け取る。
「キレイ……」
食べるよりもむしろキラキラ光る包装の綺麗さの方に興味を引かれているようだ。
このままにしておくとずっと大事に持って中のチョコレートがベタベタになりそうなので手を貸して食べさせることにする。
「ほら、ここをこうして開けて、はい、口開けて~」
ビクビクしてるので何か悪いことでもしている気がするが、チョコレートを嫌いな子供はまずいないはずなので、食べちゃえばすぐ態度は変わるだろうと勝手に納得して口の中にチョコを放り込む。
「!!!!!!!!!!!!!!」
(ちょっ、何この反応! 放心したみたいに顔が固まって耳が羽ばたいているんですけど……)
「すごい……、すごい、すごい!すごいっ、美味しいっ!!!!!!!」
「なっ、こ、声が大きい……」
それから四方八方から皆が飛んできて囲まれて、とんでもない騒ぎになって結局その場でお菓子は全部振舞った。
ジュース関係とうまい棒サラミ味だけは阻止したけどね!