第1話 イエス、ケフィアです
この小説は毒が多少入っておりますので、用法用量を守って正しくお読みください
「おぬしの派遣した勇者がくだらぬことをやらかしたおかげで、当初の目標の文明値がいまだに達成されておらん」
(はあ、そうですか……とは言えないんだよなあ、俺の立場だと。ううっ泣きたくなるし)
「上からの命令は絶対じゃし。わしもかわいい弟子を危険な世界に送り込むのは心が痛いんじゃが仕方あるまい」
(そのわりには笑いをこらえてるように見えるんだが? オイッ!)
「まあ休暇が出来たと思ってノンビリしてくるがよい。優秀なおぬしなら遊んでいても目標値はクリアできるじゃろ?」
「まさかとは思いますが、目標をクリア出来れば元の補佐見習いのポストに戻れるんでしょうね?」
「………………………………」
「戻ってきたら、わたしの椅子が無くなっているとか、まさか無いですよね? ね? ね?」
「「………………………………………………………………」」
「大丈夫じゃ、わしの愛する猫のみーちゃんに誓っておぬしの椅子は保証する」
「みーちゃんか、なら大丈夫かな」
「でじゃ、今回は転生ではなくトリップじゃ。で、一応おぬしも神の一員であるが故にそのままの力量で送ればあちらの世界の管理階級の意識に目をつけられて身動きが取れなくなる。つまるところ、最初は一般人並みの能力しか使えんと思ってくれればよい」
「………無理だし。そんなんでどうやって向こうで自由に行動できるわけ? 俺死ぬの? あんた馬鹿なの?」
「おぬしの行動はすべて801chのTV天国に実況され、ウケた分の投票ポイントの加算により徐々に能力が開放される。勿論、減算もある」
「プライバシーってあんの? 泣くよ俺?」
「転送っ!」
「まっ…」
知らない草原だ。
「マジかよ……」
(ありえない、とか言っても無駄だよね。まずは神様バッジが使えるか試してみるか。これが使えれば最悪は免れるしな)
★★★★★★★★★★★★★★ 神様バッジ ★★★★★★★★★★★★★★★
変則9角形の俗にエニアグラムと言われる文様のついたエメラルド色のバッジ。
機能としては、PCと携帯のいいとこ取りで天国NETの情報も完全ロハで検索できる。
その他もろもろのお楽しみ機能がある。
非常に便利な機能は使う毎にカルマ値があがり、神格が下がってしまう短所がある。
個人認証方式で登録した所有者以外は使用不可能。
電源は永久式。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「お? ついた」
(んー、ある意味非常事態だしな、最初に何をすべきか、まずはこの草原の情報でも見るか。危険なモンスターとか生息してたらさっさと移動しなくちゃな)
「かー(ポチっ)みー(ポチっ)さー(ポチっ)まー(ポチっ)のー(ポチっ)」
(ほう………………………………………………、ケフィア草原か)
(誰だよ、こんな名前つけたの)
(んで、詳細は……近くに村があって川があって山があってコボルトの巣があると)
「だめじゃん、いきなりヤバイのか、村があるなら保護してもらう、いや無理、俺笑えるほど不審者だし」
(でも村の近くにコボルトの巣があるならコボルトは脅威じゃないんじゃないか? 案外ザコいのかも)
「とりあえず喉が渇いたから川を目指そう。食料の問題もある……魚はいるかな?」
腹を下しました。
教訓!
※現地の生水はむやみに飲まないように。どうしても飲むときは一度沸騰させましょう。
「まさかいきなり神様バッジの医療機能を使わされるとは…恐るべし異世界なり、カルマ値が12もあがったよ。泣くよ!」
ステータス
NAME:лΦαΓεεγ
LEVEL:10
HP:7
MP:12
腕力:7
魔力:21
器用:35
俊敏:5
知能:107
精神:54
運:2
カルマ値:16401
現在の経験値:1294
次のレベルに必要な経験値:135
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「スキルスキルっと」
保持スキル
・トラック召喚
消費MP:0
・暴走トラック
消費MP:3
・ウィリー
消費MP:6
現在の車種:けさぶろう
「ん? けさぶろう? 聞いたことも無い車種なんだけど……」
(……まずはペナ無しで使用できる唯一の公式チート、転生トラックを呼び出してみるか)
「来たれ、神の腕たる転生トラックよ。今こそむっちんプリプリだいなまいと召喚っ!(呪文は適当です)」
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
―――――― なんと転生トラックはオート三輪だった! ――――――