守護悪霊
よお。俺は悪霊だぜ。この部屋に引っ越してきた奴らは恐怖のどん底に落としてから呪い殺してやる。けど、今日引っ越してきた家族のガキは虐待されてんだ。
おいおい、俺が死んだ理由とそっくりじゃねえか。
このカス親。許せねえな。ぶち殺してやる。
「うわあああん」
泣くんじゃねえよガキ。腹でも減ったかよ。隣の部屋からなんか持ってきて飯つくったるわ。幽霊なのに? だと? 舐めんなよ。ポルターガイスト極めてんだこっちは。
俺は激うまチャーハンをそのガキに食わせた。
ガキの親をぶっ殺そうと思ったが、ガキが拒んだ。これだからガキは。
仕方ないからカス親の更生に踏み切ることにしたぜ。
殴ろうとしたり精神的な虐待をやろうとすれば、俺が出てきて即座に止める。こっそり陰でやるなんてのは不可能だぜ?
あとは部屋の掃除だな。部屋をピカピカにしてやる。少しは負担が減るだろうよ。
カス親は強制的に虐待を止められて、ガキを恐怖の目で避けるようになった。そもそも、心に闇を抱えてやがるのか?ならガキなんてつくんなよまったく。俺はこいつの夢に現れて、カウンセリングを行った。
あーん? カス親も虐待されてたってわけね。自分では気づいてないけどな。すげえ姿してんのな。おめえのインナーチャイルドは。悪霊より怖くね?
夢の中で話を聞いてやると、出るわ出るわ。山のような恨みつらみ。罵詈雑言。いいさ。吐き出しちまえ。
俺はそれを何ヶ月も続けた。カス親の親に化けたり、ほかにもいろいろ。
ある日カス親は泣きながら目を覚ますと、ガキに近寄った。
また殴んのかよ。と思ったら、抱きしめた。
おいおい、カス親卒業かよ。
あとは金の問題があるな。シングルマザーはけっこう大変だ。今のうちに何とかしないとガキの将来も心配だぜ。ていうか父親の方はどこいんだコラ。俺は地縛霊だが、たまには外に出て悪人から金でもせしめてみるか。それはそれで面白そうだぜ。
今後のことを考えてると、ガキがとことこ俺の近くに歩いてきた。
何見てんだおい。
「いつもありがとう! 幽霊さん!」
はあ? 何言ってやがる。俺は悪霊だぜ? 舐めた口利いてっと呪っちまうぞ。




