痩せサプリ
仕事のストレスによるラーメンどか食いコーラ爆飲みによって俺は体重百キロの巨体である。
こんなデブだと健康的にも対外的にもつらい。太ることの千倍、痩せるのは難しい。悩んでいたある日、あるサプリをネットで見つけた。これを飲めば痩せるらしい。しかもめちゃ売れてる。アメリカで研究中のやせ薬か? 俺は飛びついた。
体重は見事に落ちた。食っても食っても太らないのだ。
我慢しないでダイエット成功なんて! 俺は遠慮なく喰い続けた。
数カ月後、体重は六十五キロになった。周囲からの評価も上がり、筋トレもやるようになった。社員たちからの蔑んだような視線が減った気がする。
世は大ルッキズム時代だ! イケメン王に俺はなる!
バカみたいなことを思えるほど精神状態は良くなった。ところがある日の勤務中……。
「うっ!?」
突然吐き気がした。
さすがに喰いすぎてしまったか。
「おっぷ!」
トイレに――間に合わない。
オフィスで盛大に吐いてしまった。しかし、出てきたのは吐瀉物ではなかった。
粘液でベチャベチャの大きなミミズのようなものだった。
「お……ご……」
ミミズはどんどん口から伸びていき、オフィスの床にぐちゃぐちゃに積みあがる。数メートルどころの長さではない。社員たちは叫んでいた。
そしてついにミミズは腹からすべて出切った。
こんなものが腹に納まって……?
巨大ミミズはさらに動きつづける。ミミズの先っぽには顔がついていた。無感情な人間みたいな顔。それが起き上がる。蠢きだす。
ミミズの身体からは、足のようなものも生えてきた。トランスフォームでもしているのか。ムカデのびっしり生えそろった足みたいだ。
そのあまりにもおぞましいものは、キョロキョロと周囲を見渡すと、手当たり次第に社員たちを喰い始めた。ひとり、またひとりと人面ミミズムカデに喰われていく。楽しそうにいたぶりながら。
「あ……ああ……」
人面ミミズムカデはあらかた社員たちを喰い終わると、俺の方を見た。
あのサプリは、こいつの卵だったのだろう。
てことは、一応、産みの親じゃないか?
「なあ、助け――」
俺は人面ミミズムカデに左腕を喰われた。
絶叫すると、無機質な人面がかすかに笑った。




