表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
足跡  作者: 大窟凱人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/3

足跡

 幽霊の通り道と言われる霊道。オカルトの類だけど僕の学校では周知の事実だ。


 なぜなら、冬になって校舎裏に雪が積もると足跡がつくから。


 人なんかぜんぜん通らないのにね。


 一度PTAが騒ぎ立てて大掛かりなお清めや大掃除を何度かやったらしい。


 でも、一時は収まっても少しするとまた足跡がつくからみんな諦めた。


 たぶん地形的な地場的なアレがアレですごい感じなんだろう。


 被害はないから極力近づかないことで対応している。見て見ぬふり。


 帰宅部で暇を持て余している僕は、好奇心からこの霊道の観察をしていて、面白いことに気づいた。足跡の種類は一種類じゃない。様々な個性がある。


 僕は観察から一歩踏み込み、観察結果を詳細に記録し、残すことにした。


 いつか本か映像にまとめて出版してベストセラーを狙う打算付きでね。


 とはいえ雪が降る期間しか観察できないから急がなくては。


 これまでの成果はこんな感じ。


 A:両足があるタイプ。雪の上にも関わらず五本指の跡があり裸足。体重がないためとても浅い跡。女性、男性、大人、子供、様々な大きさがある。


 B:細い線タイプ。おそらく足がない浮遊している人型の霊。下半身の先端か、思念化した衣服の跡と推測。


 C:一本足タイプ。妖怪一本ただら、もしくは片足損壊の可能性。


 D:動物タイプ。生きているかどうかの違いは浅さと、霊道をまっすぐ進んでいるかで判定。


 F:てのひらタイプ。テケテケのような下半身を損壊している霊。


 E:歩幅が異常なタイプ。一歩ごとの幅が2.5mほど。身長がかなり高い。先生に聞いたら身長は5m近くになると言っていた。八尺様に近い。


 G:三本指タイプ。溝は深く、大きな恐竜のようでもあるが、歩幅は人間のよう。これだけは他の霊と違い、雪が地面まで届くほど深く抉れている。


 写真に収め、情報をノートやPCにまとめ、こっそり固定カメラを置いたりもした。


 今日はカメラを回収して、映像チェック。


 映像はなかなか見ごたえがあった。勝手に雪に足跡が付いていく様子がまざまざと映し出されていた。


 でも、だいたいが浅い足跡。


 EやGタイプは映ったことがない。レアタイプなんだろう。もともと異質な幽霊の中でも特に異質だから、当たり前といえば当たり前。


 ま、現代はAIとかCGがすごいから信憑性は弱いかもしれないけど。


 さあて、帰るとするか。


 僕はリュックを背負い、校門へと向かう。


 ――シャリ。


 不意に、雪を踏みしめる足音が耳に入った。


 今……そこにいる……?


 バッと振り返る。だけど、それ以上の足音は聞こえないし、跡もついてない。


 寒くなってきたしとりあえず帰ることにした。


 僕は雪道を歩く。


 あの霊道を歩く幽霊たちのように、雪の上に足跡がつく。


 サク、シャリッと足音が鳴る。


 帰宅部だし今の時間はあまり周囲に人はいない。


 だから鳴っている足音は僕のだけ。


 サク、シャリ。サク、シャリ。


 ザク、ザク、ジャリ。


 でも……混ざってる。僕の以外の足音。


 気になるけど、後ろを見ちゃいけない気がした。 喉の奥がカラカラに乾いて、苦しい。


「う……」


 自分の吐く息は白く温かいのに、背後に落ちた足音の主からは、氷のような冷気が漂ってきた。 マフラーを巻いている首筋が、一気に凍りつく。


 サク、シャリ。


 ザク、ザク。ジャリ。


 音は止まらない。


 歩くスピードを上げても、同じように後ろの足音もついてくる。サク、シャリ、シャリ。ザク、ザク、ザク。


「はっ……はっ……」


 息が乱れる。心臓が鳴る。ついてこないでくれ。


 じわりと涙がにじんできた。


 我慢できなくなって、おそるおそる振り返って背後を見る。


 ――ザク。


 僕のすぐ後ろ。誰もいない雪原。そこに新しい足跡がついた。


 Gタイプの、大きな三本指の足跡が。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ