3話 ミミズバーガー
第三話
「ミミズバーガー」
「……で」
鬼女羅マネージャーが腕を組み、こすりを見下ろした。
「説明しなさい。
あの気持ち悪いミミズバーガーは、何なの」
店内には緊張が漂っていた。
床にはまだマンイーターの跡が残り、消毒の匂いが鼻を刺す。
こすりはカウンターにちょこんと座り、足をぷらぷらさせながら答えた。
「んー?」
少し考える素振りをしてから、にっこり。
「愛の特性バーガーだよ♡」
「説明になってない!!」
ミネソタと鬼女羅の声が綺麗に重なった。
クラッカーが指を突きつける。
「科学的に説明しろ!」
「栄養素! 成分! 危険性!!」
「えー……」
こすりは首を傾げる。
「おいしいよ?」
「聞いてねぇ!!」
⸻
無礼はカウンターで、尻尾を使いたんこぶと遊んでいた。
「なぁ、こすり」
「なにー?」
「たんこぶの耳と鼻がなくなったのもミミズバーガーの影響?」
「たぶんね」
「たぶん!?」
サーベイジが即座に割って入る。
「少女。
その“バーガー”は、あと何人分ある?」
こすりは指を折る。
「えっとね」
「さっき一個食べたから……」
「あと、2個!」
「早い者勝ちだよ?」
にこっ。
「食べたいひとー??」
その瞬間。
店内が、しん……と静まり返った。
「……」
「……」
「……」
誰一人、手を挙げない。
こすりは少し不思議そうに、周囲を見回した。
⸻
沈黙。
ねる子は顔を引きつらせて首を振り、
クラッカーは本気で後ずさりし、
ミネソタは目を逸らした。
サーベイジ達はポロッと本音が出る。
「無理」
「……人としての一線を越える」
「俺、まだ普通でいたいっす……」
こすりは、しょんぼりする。
「えー……」
「おいしいのに」
「お前の“おいしい”は信用できない!!」
⸻
その時だった。
――ドンッ!!
店の外から、衝撃音。
続けて、悲鳴。
「きゃあああ!!」
サーベイジが即座に反応する。
「……来たな」
「しかも」
ギロチンボーイが目を見開いた。
「2体か……」
⸻
ガラス越しに見えた。
通りの向こう。
人型の影が、二つ。
皮膚のない体。
ひび割れた血管模様。
――マンイーター。
しかも、二体同時。
「冗談だろ……」
ミネソタが呟く。
「さっきので終わりじゃなかったのかよ……!」
サーベイジは鉄パイプを構えた。
「アルティメット、出るぞ!」
「よっしゃ俺も....!」
無礼が前に出る。
こすりは、無礼の袖をちょん、と引いた。
「無礼はボクを守って。」
「......ん?あぁ、いいよ」
⸻
「市民を下がらせろ!」
サーベイジの怒号が街に響く。
バーガーキングコング前の通りはすでに半壊していた。
逃げ惑う人々。
瓦礫。
そして――二体のマンイーター。
「全員、展開!!」
鉄パイプが地面を打つ音を合図に、部隊が動いた。
ギロチンボーイが前に出る。
二本の刀でマンイーターの腕を弾き、進路を逸らす。
「今だ! 後ろの市民を!」
「了解!」
別の隊員が避難誘導に走る。
その時⸻
パンッ! パンッ!
マンイーターの頭部が弾ける。
「遅れてすみません!!」
乾いた銃声が、空気を裂いた。
「リンネ!」
屋根の上から飛び降りてきたのは、
二丁拳銃を構えた女性隊員。
リンネ。
ショートカットの髪が揺れる。
「な...!」
「頭撃ったのに死んでない……!?」
マンイーターは平然としている。
「……残業確定のハズレ任務ね」
「文句はあとだ!」
サーベイジが叫ぶ。
「一体ずつ潰す!」
⸻
一方、その少し後ろ。
無礼は、店の入口前で立っていた。
背中には――こすり。
2人はのんきにしりとりをしていた。
「りんご」
「ご...ごりら」
「ごりら?えーっと店長!」
「いや正解だけど不正解!」
その時だった。
――ズズズズ……
不快な音。
「……?」
無礼が足元を見る。
店内の床。
タイルが、盛り上がる。
「え?」
次の瞬間。
――ドンッ!!
床を突き破り、
新たなマンイーターが這い出してきた。
しかもこいつは他のやつよりゴツい。
「店内!?」
「嘘でしょ!!」
ねる子の悲鳴。
リンネが即座に照準を向けるが――
「狙えない!」
⸻
マンイーターは迷わずこすりを狙って飛びかかる。
「きゃあぁぁぁ!」
その瞬間、目にも留まらぬ速さで無礼のパンチがマンイーターの顔面に入る。
ドゴッ!!
マンイーターの頭が歪む。
――ガンッ! バキッ! ドンッ!
無礼は何も考えず、
ただ一通り、殴っている。
肘。
拳。
蹴り。
「あれは....なに?」
リンネは理解が追いついていない。
「なんかよくわからんけど」
サーベイジがマンイーターの頭を砕きながら言う。
「今のところ味方だ。」
⸻
無礼はマンイーターの頭を掴む。
「おい」
フライヤーを指差した。
「油、温まってる?」
「常に最高温度よ!!」
鬼女羅の即答。
「オッケー」
⸻
ジュゥゥゥゥゥゥ!!!
マンイーターの顔面が、
ポテトのフライヤーに突っ込まれた。
油が跳ねる。
悲鳴。
肉の焼ける音。
「……えげつな」
リンネが引く。
「これ放送できないやつでしょ」
サーベイジは黙っていた。
⸻
しばらくして。
無礼は、引き上げる。
カリッ、と音がした。
「……うん」
「まあまあ上出来」
そのまま――
食べた。
そして
無礼はすぐに外のマンイーターに向かって走っていく。
「こすり!1分待っとけ!」
こすりは不安そうな顔で叫ぶ
「無礼!」
「あ?」
「揚げたて美味しかったぁ??」
ねる子がすかさずツッコむ
「いやあとで聞けぇぇ!」
⸻
サーベイジは息を切らしながら叫ぶ。
「リンネ!援護しろ!」
そしてマンイーターに向かい突っ込む寸前⸻
背後から来た無礼がサーベイジの2本の鉄パイプを奪い、マンイーターの両目に突き刺した。
そしてそのままもう一体を蹴り飛ばした。
サーベイジ達はアルティメット全員で鉄パイプの刺さったマンイーターを集中攻撃。
なんとか息の根を止めることができた。
そして気づいた頃にはもう一体を無礼が食べ終わっていた。
「んー。やっぱり生も美味いなぁ。」
⸻
隊員達はボロボロになり横たわっていた。
「みんな...無事か?」
サーベイジがかすれた声で言う
そこへこすりが静かに近づく
こすりは隊員1人1人に手をかざした。
「……お疲れ様」
すると、隊員の怪我が綺麗さっぱり治っていったのだ。
「.......!!!」
サーベイジは驚きすぎて言葉が出なかった。
こすりは申し訳なさそうに言う。
「ボクにはこれくらいしか出来ることがないから。」
よく見ると潰れたマンイーターも治癒している。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
「間違えたぁぁぁぁぁ!!」
マンイーターはムクッと起き上がる
サーベイジ達は白目を剥きながら叫んだ
「このおっちょこちょーーーい!!」
第3話・完
次回もお楽しみにぃ!!




