17話 畏怖
白いマンイーターの群れは、
もはや数ではなく“意思”を失っていた。
炎に焼かれ、
雷に貫かれ、
アゴで砕かれる。
亡日の炎が地を舐め、
不可思議の稲妻が空気を裂き、
無礼のアゴが全てを食い尽くす。
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「手応えないなぁ。」
不可思議が、軽い口調で言った。
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その時。
地面が、割れた。
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ドン、と低い音。
“何か”が、
土の中から這い出してくる。
赤。
黒。
紫。
三体のマンイーター。
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赤は、全身が血のように脈打ち、
黒は、岩のような硬い皮膚、
紫は、異様に細く、静かだった。
「……よぉ。久しぶりだな。」
亡日が、炎を構える。
「やっと歯ごたえあるやつがきたねぇ♪」
不可思議は楽しそうだ。
無礼が一歩踏み出す。
「おいおい、見たことねぇやつもいるぞ。」
「なんだあの紫野郎は?」
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――次の瞬間。
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ドンッ
赤いマンイーターが、
地面に叩きつけられる。
「今度は俺がいじめてやるよ!」
亡日は右腕のミミズのような触手で赤マンイーターの顔面を掴む。
「口開けろこらぁ!」
ゼロ距離から炎をぶっ放す。
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一方、
目にも止まらぬ速さで
黒マンイーターの両目に
不可思議の両腕が突き刺さる。
「ここ弱かったよね?」
バリバリバリバリッッ⸻
黒マンイーターは内側から
焦げた。
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紫のマンイーターの体からは酸のような液体が滴っている。
それが落ちる度に
プスッと音を立てて地面が溶ける。
無礼は少しだけ考えて
叫ぶ。
「よっしゃぁ援護しろ子分共!」
無礼は紫マンイーターに向かってまっすぐと走り出す。
「いや、誰が子分じゃあ!!」
亡日と不可思議はツッコミながら赤と黒のマンイーターを
紫に向かってぶん投げた。
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ブシュゥゥゥゥゥ!
紫マンイーターは自分に飛んできた2体の異物を腕で受け止めて溶かす。
その一瞬
無礼は見逃さない。
ガッッ!
紫マンイーターの頭部が食いちぎられた。
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「みんなすごーい!」
こすりが手を叩いて喜んだ
その瞬間⸻
そこにいた全ての者達が
感じたことのない"恐怖"に襲われる。
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静寂。
炎の音も、
雷の残響も、
すべて消える。
――足音。
コツ。
コツ。
近づいてくる。
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誰かが、歩いてくる。
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それは"畏怖"と呼ぶのが
1番近いのかもしれない。
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最初に見えたのは、
白い手だった。
「何か」を引きずっている。
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やがて、その「何か」が――
チャリオットだとわかる。
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くり抜かれた目。
その穴に指をかけて
引きずられている。
異常な光景
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「……な」
無礼の喉が、鳴る。
亡日は、言葉を失い、
不可思議は、初めて笑顔を消した。
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その人物は、
ようやく顔を上げた。
黒いコート。
穏やかな目。
そして、
やけに軽い口調で言った。
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「どーも皆さん、はじめまして」
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チャリオットの首を、
少し持ち替える。
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「フレンズのリーダーの」
「ヴァベルです」
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風が、吹いた。
コスチルの三人は、
一歩も動けなかった。
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第十七話・完
次回もお楽しみにぃ!




