16話 コスチル爆誕
瓦礫。
血。
焼け焦げた地面。
バーガーキングコング周辺一帯が、
完全に戦場と化していた。
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アルティメットの隊員の死体、また一人倒れる。
ジャックハルトの両手斧は刃こぼれし、
ギロチンの息は荒い。
「数が……減らねぇ……!」
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白いマンイーターは、止まらない。
倒しても、
砕いても、
引き裂いても――
土が盛り上がり、
次の個体が生まれる。
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無礼も、さすがにバテていた。
「あー....しんど...」
その瞬間。
カッ!!!
とんでもない衝撃波が無礼を吹き飛ばす。
ガァァァァンッッ!!!!
瓦礫の中に突っ込む。
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――スッ。
白い影が、無礼の目の前に立った。
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チャリオットだった。
「観測終了です」
静かな声。
「あなたは、十分に働いた」
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白いマンイーターたちが、
一斉に動きを止める。
まるで、処刑場。
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「人類側の“異物”は」
「あなたで最後」
チャリオットは、白手袋を外した。
「私が――」
「直接、処理します」
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無礼は、笑った。
血を吐きながら。
「……はは」
「なんかお前不味そうだな」
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チャリオットが、一歩踏み出す。
その瞬間――
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ゴォォォォォォ!!
白いマンイーターたちが、
一斉に――
炎に包まれた。
灼熱。
爆ぜる音。
白い肉体が、黒く焼け落ちていく。
「……?」
チャリオットが、初めて眉をひそめる。
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続いて。
バリバリバリバリ!!
群れの中に電撃が走る。
白い群れを正確に貫き、
地面に叩きつける。
「な……」
アルティメットの誰かが、声を失う。
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赤いロングヘア。
軍服とベレー帽。
亡日。
彼の失ったはずの右腕から――
太い、脈打つミミズのような器官が生えている。
先端は、
星型に裂けた“口”。
そこから――
ゴォォォォォッ!!
火炎放射器のような炎が、
白いマンイーターを薙ぎ払う。
そして。
にこにこ笑う、
軽薄そうな男。
不可思議。
彼の首元には、
鼻と口を覆うガスマスク状の器官。
太いミミズのようなホースが、
ぐるりと首に巻き付き、
マフラーのように垂れている。
「爽快♪爽快♪」
両手から――
バリッ!!
稲妻が走る。
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亡日が、低く言う。
「借りは返す主義でな」
不可思議が、肩をすくめる。
「それにさぁ」
「面白そうだったし?」
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チャリオットは、三人を観察する。
数秒。
そして、口角を上げた。
「……なるほど」
「これが、人類の“切り札”ですか」
無礼は、地面に手をつきながら立ち上がった。
「遅ぇよ、食パンとカレーパン...」
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白いマンイーターの群れは、
突然現れた二つの力によって次々と崩れ落ちていく。
焼かれ。
撃ち抜かれ。
炭と灰になる。
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チャリオットが、静かに呟く。
「……ミミズバーガー」
「やはり、適合者がいましたか」
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その瞬間。
不可思議が、消えた。
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バチン!!
稲妻の音。
次の瞬間には――
無礼の身体が、宙を舞っていた。
「……え?」
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いや。
奪われたのだ。
不可思議は稲妻の速度で無礼を掴み、
一瞬で戦線を離脱。
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ドサッ。
無礼は、地面に寝かされる。
そこにいたのは――
こすり。
「……無礼!」
すぐに駆け寄る。
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こすりの手が、無礼の胸に触れる。
「大丈夫」
「まだ、間に合う」
淡い光。
治癒が、始まる。
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無礼の呼吸が、戻る。
視界が、はっきりする。
「……ふぅ……」
「イきそう」
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こすりは静かに言う
「ごめんね」
「遅くなって」
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亡日と不可思議が、後ろに立つ。
炎と雷を背負って。
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こすりは、三人を見上げて言った。
「これで揃ったね」
「最強の3人」
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少し考えてから、にこっと笑う。
「こすりチルドレン」
「略して――」
「コスチル」
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沈黙。
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亡日「……は?」
不可思議「え、なんて?」
無礼「……ダサくね?」
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こすりは、むっとした。
「いいでしょ!」
「私が決めたんだから!」
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そのやり取りを、
少し離れた場所から見ていたチャリオットが――
初めて、明確に笑った。
「……なるほど」
「これは、想定外だ」
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土が、再び蠢く。
マンイーターが、生まれ続ける。
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無礼は、立ち上がった。
拳を鳴らす。
「……よし」
「あとは俺に任せろ」
不可思議が訂正する。
「俺らだろ?」
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こすりは、はっきり言った。
「とりあえず」
「喧嘩しないで仲良くね」
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三人が、前に出る。
炎。
雷。
そして――暴力。
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コスチル、爆誕。
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第十六話・完
次回もお楽しみに!




