12話 食事中
外は、地獄だった。
白い細身のマンイーターが、影のように動くたび、
アルティメットの隊員が一人、また一人と消えていく。
撃っても効かない。
斬っても止まらない。
ヒビだらけの白い身体が、ぬるりと躱し、
笑うように隊員を裂く。
「くそっ……!」
「下がれ!!」
ミネソタの怒号も、次第に数を失っていった。
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その頃。
バーガーキングコング、店内。
「……ねぇ」
ねる子が、震える声で言った。
「なんで……なんで戦わないの!?」
カウンターの向こう。
無礼は、トレーの上のチーズバーガーを見ていた。
「……もぐ」
「もぐもぐ」
「外、見てよ!!」
別のバイトが叫ぶ。
「人が死んでるんだよ!?」
無礼は、ポテトを一本つまむ。
「食事中」
「……は?」
「それと」
無礼は、ちらっと外を見る。
「俺には関係なくね?」
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こすりは、何も言えなかった。
確かに。
白いマンイーターは、こすりを一度も見ていない。
視線は、ずっとアルティメットだけ。
「……なんで」
ねる子の声が、掠れる。
「なんで、そんな……」
無礼は答えない。
ただ、コーラを一口飲んだ。
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外。
白いマンイーターが、急に動きを止めた。
ヒビだらけの顔が、ぐるりと回る。
そして――
カタコトで、喋った。
「……ツヨイ」
「……ダレ」
その視線は、一点。
店の中。
無礼。
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その瞬間。
「道を開けろォ!!」
爆音のような声。
別方向から、部隊が突入してきた。
先頭に立つのは、
両手に、巨大な斧。
ジャックハルト。
「遅れて悪いな!!」
斧が、振り下ろされる。
ガンッ!!
白い身体に直撃。
初めて、マンイーターが吹き飛んだ。
「効いてる……!?」
「流石だ、ジャックハルト!!」
だが。
次の瞬間。
白い影が、斧の内側に入り込む。
「……っ!」
ズブッ。
腹。
肩。
脚。
次々と、隊員が裂かれていく。
ジャックハルトの斧が、空を切る。
「チッ……!」
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ミネソタは、血にまみれたまま、店内を見る。
カウンター。
無礼。
まだ、座っている。
ミネソタは無礼の所まで歩いていく。
無礼の横で、短く言った。
「戦えバカ。」
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無礼は、ぴたりと動きを止めた。
立ち上がる。
「へい。」
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次の瞬間。
無礼の姿が――消えた。
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ドンッ!!!!!
衝撃波。
白いマンイーターの身体が、一撃で吹き飛ぶ。
建物を突き破り、地面を転がり、
数十メートル先の壁に叩きつけられた。
「……は?」
誰かの声。
白いマンイーターが、ゆっくり立ち上がろうとする。
だが。
その顔は――
変わらず
笑顔。
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無礼は、拳を下ろす。
「……やっぱ」
「食後は、運動だな」
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第十二話・完
次回も楽しみに!




