表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※cold sleep〜コールドスリープ〜  作者: def


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

11話 チーズバーガーセット


バーガーキングコングの奥、簡易ミーティングスペース。


油の匂いと、冷めかけたポテト。

その中で、クラッカーの指だけが忙しく動いていた。


「カタカタ……カタ……」


ノートPCの画面には、英語、日本語、そして意味不明なコードが並んでいる。


「んー……」


クラッカーは眼鏡を押し上げた。


「亡日も、不可思議も……」

「やっぱり検索に引っかからないっすねぇ」


「指名手配」

「傭兵データベース」

「ネット社会の噂レベル」


どれも、ゼロ。


ミネソタは腕を組み直す。


「まぁ、そいつらは“表”に名前を残す生き方じゃない」


低い声だった。


「裏の世界で生きてる連中だ」


サーベイジは椅子にもたれ、天井を見上げる。


「……でも妙だな」


「亡日は“攫う”依頼」

「不可思議は“守る”依頼」


「同じ対象に、正反対の依頼だ」


視線を落とし、続ける。


「依頼主は……別だろ」


「少なくとも、同じ思想じゃない」



その時だった。


ドアが開く。


「失礼しまーす」


入ってきたのは、アルティメット隊員――グレン。


「隊長、頼まれてた鑑識結果、持ってきましたよ」


封筒を差し出す。


「おぉ、グレン!」

「早かったな! さんきゅー!」


サーベイジは笑って受け取った。


中を見る。


……数秒。


その表情が、わずかに歪む。


ミネソタは、それを見逃さなかった。


「どうした?」


「……いや」


サーベイジは、すぐに笑顔を作る。


「大した事じゃないです。」


だが、その笑顔は――薄かった。



サーベイジは、視線をこすりへ向ける。


「……こすり」


「一度、ちゃんと聞いておきたい」


こすりは、びくっと肩を揺らした。


「ミミズバーガー」

「あれには、どんな力がある?」


「それと……」


一拍。


「なぜ、マンイーターはお前を狙う?」


店内が、静まり返る。


こすりは、しばらく黙っていた。


やがて、観念したように小さく息を吐く。


「……実はね」



ドカンッ!!!


言葉を掻き消す、爆音。


床が揺れ、天井の照明がきしむ。


「っ!!」


アルティメットの隊員たちは、反射で動いた。


「外だ!!」


「警戒!!」


扉を蹴り開け、全員が通りへ飛び出す。




そこに――


立っていた。


白い。


人の形をしているが、

皮膚は紙のように薄く、

全身に血管のようなヒビ模様が走っている。


細身。

異様に細い。


まるで、割れかけの陶器。


そして――


右手に、首を持っていた。


グレンの首だった。


まだ、目が開いている。




思考が停止した。


空気が、凍る。


誰も、声を出せない。



マンイーターは、にぃ……と笑った。


人間の真似をするような、

歪んだ微笑み。


そして――


ぽい、と。


グレンの首を、隊員たちの足元へ投げ捨てた。



首が、地面に落ちる。


その瞬間。


「――全員、警戒態勢!!」


店長ミネソタの怒号が、空気を裂いた。


思考が、戻る。


「散開!!」


「囲むな、距離を取れ!!」


アルティメットとマンイーター。


同時に、踏み出した。



速い。


――理解する前に。


白い影が、消えた。


次の瞬間。


ズブッ


鈍い音。


リンネの腹部を、

白い腕が――貫いていた。


「……え?」


リンネの口から、息が漏れる。


遅れて、血。


「リンネ!!」


サーベイジの叫び。


だが、体が動かない。


あまりにも、一瞬すぎた。



再び。


全員の思考が、停止する。



その頃。


店内。


カウンター。


「……もぐ」


「もぐもぐ」


無礼は、チーズバーガーセットを食べていた。


口から


ケチャップが溢れた。




第十一話・完


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ