第3話 初めての武装、そして葛藤
ある程度の身体検査を受け、結果待ちの天音はゲンムに姫華達一行の紹介を受けていた
姫華「…初めまして。私は姫華、隣にいるのがシルヴァ、しずく、ソフィよ」
シルヴァ「こんにちはっ!新入りさん!シルヴァです!」
しずく「ガチ初めましてー!しずくって呼んで〜!」
ソフィ「ごきげんよう」
天音の目の前にいる4人は日本人だと思われる2人の少女と名前が外国人のような少女2人立っており、自分と同い年か数歳年上なのに何故こんな研究施設みたいなところにいるのかと驚いていた
天音「は、初めまして!天音です!呼び方は好きにしてもらって大丈夫です!」
アテナ「アテナのあまねにみんな優しくしてよね!!…ていうかあまねって天に音って書いて天音って読むんだね!」
天音「は、はい…たまにてんねって呼ばれたりしますね…」
姫華「クソガキに狙われた天音…可哀想…」
しずく「やっぱり適合するの女の子だけなんだねー!あ、てかネイルやばい!剥がれそう!」
ソフィ「天音さんは結局アテナさんの適合者と見なしてもよろしいのでしょうか…?管理長」
ゲンム「ああ、このアテナがこんなにもベタベタしてるんだ。素質はあると思うが…それにしてももう2時間ぐらい経ってるが…」
シルヴァ「…私そろそろ眠くなってきました……もう21時です…」
姫華「シルヴァは健康すぎる…夜はこれからよ」
シルヴァがふわぁと欠伸をしていると扉が開き、書類を持った研究員が慌てた顔でゲンムに駆け寄った
研究員A「管理長!!!大変です!!!天音さんのデータなのですが!!」
天音「……!?」
ゲンム「見せてくれ。………っ!?99%…これは本当なのか!?」
ゲンムが受け取った紙を端から端まで読んでいると驚いた顔をして研究員に問いかけた
紙には99.37564%という率が書かれており、研究員Aが興奮するかのように語り始めた
研究員A「本当です!過去で最高の適合率ですよ…地球人でこんな値を出せるなんて……歴代最強のヒストリアかもしれませんね!」
天音「……もしかして私やばい人間ですか?…」
ゲンム「………ああ、やばい人間だな。今すぐ君をヒストリアに入れたいところだ」
天音「わぁ……その…ヒストリアって何ですか?…」
しずく「ヒストリアは…簡単に言えば世界を守る部隊!あたし達4人はみんなヒストリアなんだよー!」
天音「…世界を守る……具体的にどうやってですか!」
アテナ「それがあの時アテナが言った武装でだよ」
天音「…武装………つまり…変身みたいな…?」
アテナ「うーん…まぁそうだね!仕組みを言っちゃえば天音がアテナの力を増幅してくれるの!天音はその才能がすんんんごくあるの!」
天音「へ、へぇ…なるほど…」
ソフィ「実際に見てもらう方が早いかもしれませんね。訓練室がありますので宜しければ私達の戦いを見ますか?」
水色の髪の毛をした金色の目の美しい少女は甘く優しい声でそう提案し、天音はつられるがままに「は、はい…」と言ってしまった
それと同時に本拠地全体に警報アラームが鳴り、全員の顔つきが変わった
天音「わっ!!!?…警報?…」
アテナ「滅龍が出たんだよ…」
ゲンム「…就寝前なのに申し訳ないが、4人とも新しい後輩にカッコイイ姿を見せつけてきてくれないか」
姫華「…ふふん、姫華先輩に任せて」
シルヴァ「うぅ…出動命令なら…起きます…」
しずく「バッチリ任せてー!ネイル直したかったけど…」
ソフィ「参りましょう」
4人はすぐに扉の外へ出て、天音はどうすればいいのか分からずアテナの傍にくっついていた
アテナ「天音かんわいいいい!あの4人なら大丈夫だよ、いつものことだからね」
天音「…いつものこと…」
天音が目の前の大きなスクリーンを見ると先程とは容姿が全く違う4人組が映し出されており、「えぇっ!?」と驚いてしまった
天音「だ、だ、だれ…というかまさかあの4人がさっきの…?全然容姿が違うじゃないですか!…あ、でも顔は同じ…」
ゲンム「あれがヒストリアとしての真の姿の4人だ…君には彼女達と共に滅龍を討伐して欲しいのだが……その決意は目の前の現状を見て考えてみて欲しい」
遥香「管理長、無事ヒストリアの出動完了致しました」
ゲンム「ご苦労、遥香。アテナの隣にいる少女がヒストリアの候補生だ。何かわからないことがあったらこのお姉さんに聞くといい」
遥香「…わぁ、貴方がアテナの認めた子ね。初めまして、ゲンム管理長は今から指揮で忙しくなるから私が質問に答えるわね」
天音「は、はい…」
一方で姫華達4人は、武装をした状態で滅龍の出現場所である森に向かっていた
相澤 姫華ことリディア、シルヴァ・アゼギエルことオリヴィア、本堂 しずくことエルリア、ソフィ・シャルロッテことシャルディアは自らの武器を持って魔次元に入り込んだ
入り込むと同時に滅龍が10体ほど暴れており、自然破壊を繰り返していた
オリヴィア「リディアさん!援護をお願いします!」
リディア「任せて」
オリヴィアの言葉によりリディアがヒストリア全体にバフ効果のある術を展開し、全員の身体能力と攻撃力が飛躍的に上昇した
リディアの主な役割は冷静な分析とヒストリアの支援であり、残りの3人が同時に滅龍へ向かった
リディア「今回はアタッカーは3人に任せるよ」
シャルディア「お任せ下さい!!」
エルリア「やっちゃうよー!!」
槍をメインに使うオリヴィア、弓をメインに使うエルリア、鎌をメインに使うシャルディアの3人が滅龍の攻撃を空へ飛ばしたり、攻撃で相殺したりなどして食い止めていた
ヒストリアが活動上最も気をつけなければならないことは人が住むところに滅龍を絶対に行かせないことである。
魔次元はほかの次元とリンクしており、もし魔次元で街が破壊され尽くしてしまったらその結果がオリジナルの方にも反映されてしまうのだ
遥香「最近滅龍の数がかなり増えていてね…いつもだったら日本には姫華ちゃんに担当してもらってるんだけど……今日はたまたま全員が日本に集う日だったからね」
天音「……あの龍を一人で…???それに地球にあんな生き物いるの知らなかったですよ!」
遥香「だって公言してないもの、こんなの実際にいるって知られたら自衛隊が動き出すわ。まぁ今の地球の兵器力じゃ完全に倒せないからヒストリアが影で戦ってるの」
天音「確か核爆弾とかでも…?」
遥香「核爆弾を放ったところで滅龍は生きてると思うわよ、ヒストリア全員には滅龍の構成成分を分解する力が備わってるからその力で倒さないといけないの」
天音「なるほど………」
アテナ「天音ぇ…アテナ達も出動しない?天音ならアテナの力使いこなせると思うの!」
ゲンム「ダメだ、いきなり本番を任せられるか」
天音「そ、そうですよアテナさん…」
アテナ「……むぅぅぅぅ……」
アテナは天音の右手と繋いで拗ねた顔してそっぽを向いていた
天音はアテナの手が温かく、人間では無いのに温もりはあるんだなと実感していた
シャルディア「エルリアさん!オリヴィアさん!連携攻撃をしましょう!ヒストリアの仲の良さを天音さんに見せる時です!」
エルリア「そうだね!」
オリヴィア「行きましょう!」
リディア「1段階目!!」
オリヴィアとエルリアとシャルディアそれぞれの専有する武器を使って全体攻撃を放ち、後ろからリディアが3人にバフを掛けながら青い光弾をいくつか背後に作り出し一気に滅龍の方へ放出した
そしてオリヴィアが槍で暴風を生み出し、滅龍が全て空へ舞うとリディアが
リディア「ナイスオリヴィア!!畳み掛けよ!!」
全員が空へ魔力を凝集させ、一定値まで貯まるとすぐに滅龍の方へ力を振り下ろし魔砲が一点集中し爆音が辺り周辺まで響いた
エルリア「ふぃーっ!こんな大胆に戦ったの久しぶり!滅龍反応無くなったしこれにて完了かな!」
天音「画面が眩しすぎて何も見えなかったです…」
ゲンム「…あいつら………見栄を貼りすぎだ!攻撃の衝動も反映されるんだからな!」
4人「ごめんなさーい!」
天音「あははは…」
アテナ「……天音!来て!」
アテナは天音の手首を掴み、引っ張るように管理司令室から飛び出して廊下を走り始めた
天音「ちょっ!アテナさん!?」
アテナ「私達も負けてられない!アテナと天音はあの4人に負けないぐらいの最強になるんだから!」
天音「もしかして私を武装させようとしてます!?」
アテナ「…大丈夫!イメージがちゃんとできてれば!」
天音「ええぇぇぇっ!?」
アテナ「私の力!お試し体験するみたいな感じでいてくれたらいいから!」
天音「強引すぎますってぇぇぇぁっ!?」
一瞬で2人は訓練室に着いてしまい、着いた途端アテナがエンゲージストーンの姿になり天音の首にかかるように動いた
天音「えぇっ!…私どうしたら…」
天音が何をすればいいのかわからずあたふたしているとエンゲージストーンがいきなり光出し、天音の衣服がみるみる桃色の発光物体へと変化して行った
天音「なっ何!?なんで服が!?」
天音が恥ずかしそうに驚いていると、気づけば服は別のものに切り替わっており、短かった髪の毛もロングにまで伸びていた。さらには体がとても軽く、普通並の視力も壁の細かな傷まで見えるほど良くなっていた
天音「…な、なにこれ…アテナさん!?これってなに!?」
アテナ『成功だよ天音!!!!やったぁぁぁぁ!
天音の体にアテナの力が浸透しやくてやりやすかった〜!』
天音「なんかフリフリしてて…可愛い…ですけど………それに髪の色まで変わってる…」
アテナ『とりあえずあのおじさんが怒りに来る前になにか1発ぶっぱなそうよ!』
天音「えぇっ!?どうやるんですか!」
アテナ『簡単なのは魔砲かな…指先から力を細く前に勢いよく突き出すように考えてみて!』
天音(指からレーザー出るみたいな感じでいいのかな…)
天音「えいっ!」
天音が人差し指と中指に力を入れて前に突き出すと2本の指の前に花模様の陣が現れそこから高出力の魔砲が放射された
訓練室の壁がその魔砲によって熱線のようにドロドロに半分に切り開かれていた
天音「え……え?…なんですか今の…壁が真っ二つに割れちゃった…」
アテナ『アテナは攻撃超特化型のエンゲージストーンだからね!初めて使う天音でも法外出力出るんだよー!』
天音(こ…こんなの兵器レベルじゃ………)
ゲンム「アテナア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!何をしてるんだ!!!!」
天音「ひぃぃぃぃぃっ!!!ごめんなさいごめんなさい私がやりました一生をかけて弁償しますー!」
ゲンム「その姿…まさか武装したのか!?」
天音「あ…あの…本当に…もうこの力使わないので!…えーと…これ武装ですよね…」
ゲンム「………壁を破壊したことは何も問わない。アテナの責任だからな。ただ君の力をもう少し見せて欲しい」
遥香「管理長!!壁の防御耐久率が5%まで下がってるみたいで……うわぁ…何この大惨事の壁…」
天音「私が壊しました…」
ゲンム「遥香、天音を測ってくれないか。壁はあと一面から壊しても構わない」
遥香「天音ちゃん!?…了解です。天音ちゃーん!別の壁に向かってもう1発打ってみてくれない!?壊しても気にしないで!」
天音「えぇっ、分かりました…」
天音(壊しても大丈夫なら…)
天音がもう一度先程の魔砲を放つと案の定真っ二つに分断され、裂かれたところは高熱の魔砲によりドロドロに溶けていた
遥香「……高火力すぎるわぁ………管理長…これはとんでもない新人ですよ」
天音「………」
天音(私の体…一体どうなっちゃったの?…)
そしてあれこれと試し撃ちなどしているとある程度の武装した天音の実力が判明し、それと同時に訓練室はほぼ全壊状態にとなっていた
天音「…これ修復可能なんですか…?」
遥香「うちの機関の技術なら修復可能だから安心して!バカアテナには手伝ってもらうからね」
アテナ「嘘ーーーっ!!?」
アテナが天音の体から無理やり離れると武装は解除され、天音は元の姿に戻っていた
先程着ていたフリフリの衣装はどうやって作られたのだろうかと天音が自分の服をぺたぺた触っているとゲンムが遥香の近くまで歩いてきた
天音(アテナさんが私の体にいることが必要条件なんだ…)
ゲンム「…遥香、アテナを連れていってくれないか」
遥香「…わかりました、行くわよアテナ」
アテナ「えっ!?なんで!?」
遥香「来ないと天音ちゃんに今までの愚行全部教えるわよ」
アテナ「それは嫌ー!」
アテナが渋々遥香に連れていかれ、壊れた訓練室にゲンムと天音の二人きりとなった
天音は「なんで??」と言わんばかりの緊張した顔でゲンムを見ていた
ゲンム「…先程の通りヒストリアはこういう人間にとっては異次元の力を使うんだ。その強大な力には当然危険が伴う。今までのヒストリアの中には力に負けてしまって死を迎えてしまった者たちもいる。現在地球管轄のヒストリアはあの4人だけで………正直と言って…人手が足りないんだ…」
天音「は、はい…」
ゲンム「君はアテナを懐じゅ…アテナと適合した今までに例がない特別だ」
天音(懐柔………まぁあの性格は難アリだよね…)
ゲンム「…もし君がヒストリアに入るとなったら、君のサポートは徹底的にさせていただく。金銭面も生活面も安全面も……。これは命令とかではなくお願いだから断っても構わない。無理してまでなってもらう必要は無いからな」
天音(………そう言われると断れないんですけど!?…えぇ…どうしよう……下手したら死ぬんだよね…………でもあの4人はみんなそれを覚悟で…………)
天音「…私がいることで…誰かの為になれますか?…」
ゲンム「…確実に」
天音「…………少し時間を頂いても宜しいですか?…考える時間が欲しくて…」
ゲンム「ああ、好きなだけここを見学するがいい……あ、1つ言っておかなければならないことがあってもし入らない場合は君の記憶からヒストリア関連の記憶を消さなければならない。我々は簡単に言えば秘密組織のようなものだからな」
天音「…わかりました…」
天音は悩んでいた
自分が使う力が誰かの為になるのなら勿論その為に使いたい。しかしその力がいつか自分を死に導くというのなら、自分の命を犠牲にしてでもやりたいと思えるのか…
本拠地の中をゆったりと歩いていると偶然先程の滅龍討伐から帰ってきたしずくと廊下で遭遇した
右手に風呂セットを持ち、完全に部屋着という
しずく「あっ!やっほー!話聞いたよ〜?訓練室ぶっ壊したんって??やるじゃーん!」
天音「えっ…えっと…しずくさん。ありがとう…ございます?…」
しずく「…天音っちはヒストリアになるん?」
天音「あ…えっと………悩んでて……私今までずっとひっそりと生きてきたもので…」
しずく「なるなる、そう思うよね〜!だけどマジ安心して!武装しちゃえば多少擦り傷出来るぐらいしかならないよ!暴走なんて全然なったことないしぃ〜」
天音「………うーん…そうだとしても…………。しずくさんはなんでヒストリアになろうと?」
しずく「…んーーまぁ、面白そうだから?アタシ面白いことチョー好きだからさ!」
天音「な、なるほど………ヒストリア…楽しいですか?」
しずく「そりゃあ楽しいに決まってんじゃん!みんな優しいし、給料だって弾むし〜」
天音(どうしよう………ますます悩む………)
しずく「……ていうか天音っち今日ここ泊まるよね!?風呂とか入った方がいいよ!アタシ今から行くとこだったし!行こいこ!着替えとかアタシのやつ使えばいいっしょ〜!」
天音「えぇっ!?」




