エピソード33 閑話休題 また会おう / 受付嬢マリナの独り言
発表会の余韻が残る大講堂で、外交官たちはそろそろ帰国の準備を始めていた。
フリードリヒは厳かな表情で、最後に私に言った。
「リヴィア、君の努力と才能には敬意を表する。これからもその歩みを止めるな」
リアナはにっこり笑いながら、手を振ってくれた。
「リヴィアさん、またいつか一緒に研究しましょうね!」
ヨハンは豪快に笑い、肩をぽんと叩いてくる。
「お前の剣術も見せてくれよな! いつでも待ってるぞ!」
セリーヌは静かに微笑み、深く一礼した。
「リヴィア、あなたの魔術は私たちに新たな視点を与えたわ」
アジズはゆったりと笑いながら言った。
「自由でいてくれ。それが何よりだ」
それぞれの言葉に、私は胸が熱くなる。
「ありがとう。みんなのおかげでここまでこれた」
彼らが帰国のために去っていく背中を見送りながら、私は心の中で誓った。
(どこにいても、私は私。強さも自由も、これからも貫いていく)
遠ざかる彼らの姿が、小さくなるほどに、私の未来への決意は大きくなるのだった。
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学園の冒険者ギルド受付カウンターは、今日も賑やかだ。
「はぁ…またリヴィア様の噂が広がっているみたいね」
私はカウンター越しに窓の外を見つめながらため息をついた。
リヴィア・ノースフェル――その名前を聞かない日はない。
特級ライセンスを持つ彼女は、誰もが一目置く存在。
「なんであんなに強いのに、いつもあんなに自然体なんだろう…」
冒険者たちはもちろん、学園の生徒も王族も、彼女のことを話題にする。
「彼女がダンジョンに行った日には、ギルドの依頼も途端に減るわ」
それほどまでに、リヴィアの討伐報告は信頼されているのだ。
「でも、本人は特に騒がれるのが好きなわけじゃないのよね」
先日も、認識阻害の魔法をかけてひっそりダンジョンへ挑んだらしい。
「本当に、謎が多いけど憎めない人…」
受付嬢として、彼女の動向をいつも気にかけてしまう。
(あの子が、これからどんな風に成長していくのか、ちょっと楽しみかもしれないわ)
そう思いながら、今日も私はカウンターで受付業務に励むのだった。




