エピソード29 再試終わらせて、久しぶりに訓練場で魔術の応用例を見せたら、見学者が300人超えてた件
「やっと、終わった……!」
理不尽な魔導史と数学の再試を解放的な気持ちで終えた私は、教室からそのまま訓練場へ直行した。
(試験は、やっぱり……苦手だけど、今回も満点狙いでやったし)
小走りで訓練場に到着すると、何やらざわざわとした気配。
「……ん? 今日は見学者が多いの?」
訓練場の入口に着くと、すでに入り口から人が溢れかえっていた。
「うわっ、なんでこんなに……」
ざっと見た感じ、少なくとも三百人はいる。
「私の訓練見たいとか、そんなに……?」
突然の人だかりに、ちょっとだけ顔が赤くなる。
「まあ、せっかくだし、気楽にやろうかな」
訓練開始。
私は軽く魔力を練り、剣と組み合わせた応用魔術の演習を披露。
「これが、“氷結剣舞”」
剣先から凍てつく氷の刃を生み出し、風と共に斬撃が舞う。
「続いて、“雷迅撃”」
空気を裂くような電撃の一撃が、標的の的確なポイントを突いた。
「最後に、“空間裂断”」
空間を切り裂き、瞬時に距離を詰める技。
見学者たちは目を輝かせている。
「おぉっ!」「やっぱりリヴィア様は桁違いだな!」「俺もあんな魔術が使いたい!」
周囲の騒ぎをよそに、私はちょっとした天然発言。
「うーん、でもあんまり派手にすると、課題ができなくなっちゃうよね」
「えっ……?」
その瞬間、見学者の一部が絶句した。
終わった後、後輩の一人が駆け寄ってきた。
「リヴィア先輩、見学者数、300人超えてましたよ!」
「えっ、そんなにいたの?」
「はい! みんなめっちゃ盛り上がってました!」
「そっか……まあ、私は……普通にやっただけなんだけどな」




