戦士 シモンズ
この村に専属の警備兵はいない。
必要があれば人伝に荒事の得意な者を紹介してもらい対応する事が多い。
シモンズと言う男も流れの旅人で金が必要になり商人に頼まれ冬入りの前に村にいる様になった。
もっぱら村の教会の持つ村の外にある小屋で寝泊まりする。
教会は村の郊外に幾つかの大きな空き家を所有しておりその一つを借り上げている状態である。
そこでシモンズは仲間たちの帰りを待っていた。
シモンズはある戦場で敗北し全軍が敗走する中で1部隊を任され殿をした。
敗走前に火を放った拠点で逃げ隠れしては少しずつ敵兵を削り時間を稼いだが最後に離脱した時には全員バラバラに分かれてしまった。
その後生き残った6人と再会に軍には合流せずに西へ逃れ商人の護衛や略奪をしながら生き残って来た。
依頼人からの要望は斥候が王都から派遣されたモノが教会に不都合なモノを見つけない様に対処する事だった。
シモンズたちは教会が何故その様な依頼をするのは知る由もないが、金さえ払って貰えればなんでもよかった。
先に一人、斥候が戻り報告を受ける。
斥候は依頼人からの一つ目の依頼の対応をさせている。
一人は学者の様な立ち振る舞い、一人は長剣を持っており恐らく鎖帷子を下に着こんでいる様だとの事だった。おそらく気取られてはいないだろうとシモンズは思った。
斥候の眼は他の者よりも遥かに良い。自分でも遠くから見られて気が付くかと言われると怪しいところだ。
依頼人の報告ではおそらく2週間ほど逗留し調査をして引き上げるとの事だった。
この村には来て気が付いたのは領主を中心とするコミュニティと教会を中心とするコミュニティがある。この二つの派閥は小さな村に置いては完全に分かれている訳ではない。
両方の意見が存在し村人はその間を行き来している様な状況である。
シモンズの見立てとしてもう一つ気になる派閥と言うには小さなコミュニティがあった。薬師とハンターである。
この二人は積極的に村に関わる事はなかったが村人が必ず世話になる人間である。
この小屋を挟むように南にハンターの小屋と北に薬師の小屋があった。
冬のこの時期なので両方の家の煙突からは時折煙が上がっていた。
薬師は定期的に夜間に仕事をして居るのか遠目に明かりが見えており人の影により時折明滅するのを見かけた。
一方ハンターの方は定期的に狩りで家を空けている様だ。
一度、肉を探しにウサギ狩りに出た時に出会ったが愛想のいい男ではなかった。ただ弓と狩りの腕は立つようでウサギを一匹譲って貰っている。
東の方には村があり教会と領主の大きめの家も見える。
シモンズは二つ目の依頼の報告を小屋で待つ。
夜も深くなる頃、残りの5人が戻って来てた。依頼は上手くいかなかったらしい。行方不明者の捜索で山に入ったはいいが手ぶらで戻る事となったのはすぐに分かった。




