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神学者 エルマ

雪の街道をソリが進む。

神学者のエルマは国の依頼で護衛役のフーゴと共に農村を目指していた。

荷物と共に馬によりグングンと力強く運ばれる。

ここにたどり着くまでに一週間近く馬車と馬ソリを乗り継ぎ片田舎の農村まで来た理由は国から怪物による行方不明の調査を行う為である。

森を抜けて景色が開けると少し遠くに中央に一段と大きい豪華な家が見えるアレが領主の家であろう事は二人には容易に理解できた。

「フー、やっと見えて来ましたよ。」

行商はこちらの予定に合わせて1週間は逗留する予定となっているので入口で待たせて二人は領主の館を目指して歩き出した。


視界の先にある納屋から3人の村人であろう人たちが此方に駆け寄って来た。

若者を連れ立った年配の男が帽子を取りながら頭を下げる。連れの二人も習って頭を下げた。

「はじめまして。此度は大都市の教会の先生に起こし頂き大変恐縮であります。話は領主様から伺っております。ご案内いたします。」

と少しとがった禿げ頭を上げて笑顔を作った。

では、とフーゴとエルマは禿げた男の後に続いた。

男の名はトミーと名乗った。

エルマは、ここまでの道中で土地を仕切る様に大きな針葉樹が並んでいる事と柵の中に見える羊たちの話題を出すとトミーは村の事を多く答えてくれた。


この村の主な産業は牧畜と農業であると答えた。春から秋にかけて小麦と大麦とホップを育てエールも醸造しているそうだ。

羊毛から糸を作り染料と合わせて衣類や防寒用品も多く扱っているらしい。

他に小さくではあるが猟師が居るらしく革と製鉄の職人もいる。

小さな村にしては十分な技術者と産業が整っている様である。


村の事を聞くうちに村の中心地に差し掛かると村にある空き家を案内された。

村の猟師の持ち家だそうだが仕事柄ほとんど戻らないそうで今回の調査の拠点として貸出てもらう事となったらしい。

猟師の家から程なく領主の館へと到着した。

トミーは扉を叩くと中から使用人であろう女が現れ中に通される。


女は「外はお寒いでしょう。こちらに暖かい飲み物を用意してございます。」と言い玄関わきの部屋にある暖炉の前に三人を促した。

三人は足元の雪を払い案内に従った。

暖炉の前のテーブルには三人分のグラスが置かれ湯気が上がりへ部屋に少しアルコールの匂いがする。

「ワインを温めたのですね。」とエルマが聞くと女は頷いた。

エルマは断ったがフーゴは少しだけ口に含んだ。

そこまで熱くなかったのか二口目には大きくあおった。

トミーもフーゴに促され口をつけ少し暖を取っていた。


談笑をしていると「お待たせした。」と身なりの整った男が現れる。

男はロディアス・マティアスと名乗った。

この村の領主である。

領主はこの村で起きた事件解決の為に二人を呼んだ本人である。


トミーは挨拶の後に女中から荷物を受け取り出て行った。

長旅でお疲れでしょう。今日はゆっくりとお休みくださいと領主は言った。

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