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なろうラジオ大賞6参加作品たち

ビニールプールに釣り竿を投げたらドラゴンが釣れた

「暇だなぁ……」


 庭のビニールプールを眺めながら、俺はため息をついた。親に言われて小1の妹のために準備したものの、妹は友達の家に行ってしまい放置されている。


「せっかく水張ったし、なんか使えないかなぁ……」


 ふと目に留まったのは、ビニールプールを出すときに邪魔だから外に出した、親父の釣り竿。一時期釣りにハマったが、もう5年は埃をかぶっている。


「そうだ、これで釣りでもしてみるか!」


俺は軽い気持ちで、小魚の形のルアーをつけて、ビニールプールに垂らした。

なんの意味もない。ただの暇つぶしだ。


「はぁ、アホなことしてんな俺……」


そう思って竿を引き上げようとした瞬間――


「なんかかかった!?」


 さっきまで見えていたビニールプールの底は見えず、深い井戸をのぞき込んだときのような暗闇だ。ルアーが何かに食いつかれ、とんでもない力で竿が引っ張られる!



 俺は必死にリールを巻く。竿が折れそうなくらいしなる。


「待て待て待て! これヤバいって!」


 そして、遂に現れたのは――


「……ドラゴン!?」


 ゲームで見るような龍。でも、サイズはサンマくらいだ。まだ角は生えていない。


「ピィ~!」


 龍の子どもは元気よく一声鳴いて俺を見上げた。


「いやいや、なんでこんなのがビニールプールから釣れるんだよ!」


 龍はとても大人しく、俺の手に擦り寄ってくる。鱗の手触りがして、幻じゃないことがわかる。


「ピィ!」


 俺は龍に「チビ」と名付けて、育てることにした。

 両親と妹に見せたら、そりゃびっくりしていた。意外にも家族にも受け入れられ、我が家の公認ペットになった。

 不思議なことに、チビはスマホやカメラで撮っても写らない。


 そしてチビの食べ物は物質ではない。

 肉を想像すると、それをチビが食べる。

 想像を食べるなんて、獏みたいだ。妹が想像力豊かな子どもなおかげで、チビは肉を食べ放題。

 1ヶ月もすると大型犬サイズになった。


 俺が高校に行っている間は庭で寝ている。近所の猫やらスズメやらが庭に集まってくるようになった。友達らしい。


 チビは更に成長し、俺の背丈を超えた。さらに空を飛べるようになった。友達の小鳥たちと悠々空を飛んでいる。


 大学を卒業し結婚することになり、妻にチビを紹介した。妻は「かわいい」と言ってくれた。

 チビは大きくなってもずっと家族。俺に娘が生まれても、子龍のときと変わらず可愛い声で鳴く。

 娘もチビがお気に入りだ。


 ビニールプールで釣った龍は今では欠かせない家族である。

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― 新着の感想 ―
うーむ。 ポータル開いたんですかねぇ。 とにかくこういう家族系のお話好きですわー( ´∀` ) それはそうとドラゴンがいた世界関連の事件が起きそうですね(ォィ
サンマ程の大きさで角の生えていない幼体から一か月で大型犬サイズになるとは、凄い成長ペースですね。 この辺り、龍の伝説生物としての面目躍如といった感じがします。 寿命もかなり長そうなので、視点人物の一族…
夢のある、ほのぼの・心温まるお話でした。いつまでも龍が家族でこの世界に留まっていてくれることを願うとともに、現在のサイズはどうなっているのか(体長は庭に収まっているのかしら?)ちょっと心配してしまいま…
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