表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/56

05 カラス再び

また怪我したカラスだ。


「怪我ですか?近寄りますよ」と声をかけた。カラスはこちらを見たが静かだ。


「近寄りますね。つつかないで下さいね」と言いながらそばに行き治療を始めた。

元気になれ!治れ!と思いを込めて。


もう、なにも言わなくても治療が出来る。「飛んでけー」って子供っぽい言葉は使わない。


何度かやるとカラスは


「カァーーカァーカァ」と鳴いたが動かない。それで


「さわりますよ」と声をかけて体を撫でた。


翼を撫でながら治療をしたが、なんとなく違和感がある。これは長引きそうだと家に連れて帰ることにした。


持ち上げるとちょっと重たかったが、裏庭に連れて来た。


ほったらかしにされてはいるが、侍女は部屋に入ってくる。このカラスを部屋にいれるのはまずい。どこかにいい場所はないかと探していると生垣の裏側にクーロが止まり

「コォ」と鳴いた。サンデーもそこにいってあたりを見ると

「ニャ」と鳴いた。わたしはそこにカラスを置いた。

すると空を飛んでいたカラスが降りてきてまわりの木や塀に止まった。

それはこのカラスを守っているように見えた。


カラスだってこんなに優しいのにと思った。


翌日、なんとロバート様がお昼に教室にやって来た。


「来てくださって嬉しいですわ」と少し後ろを歩きながら言ったが、ロバート様の足は長いので、ついていくのが大変だった。


連れて行かれたのは、食堂でなくその手前の目立たない植え込みの後ろだった。


「この前の話だが、わたしは学院で交友関係を広げたいと思っている。だから婚約者と一緒に過ごすのはよくない。あなたとは月に二度会っているからそれで充分だと思う。あなたは余計なことを考えずに勉学に励んで欲しい」


そう言うと急ぎ足で食堂に向かった。


ここまで一緒に来たんだから今日くらいは一緒に、お昼を食べてくれてもいいのにと思いながら、わたしも食堂に行った。


いつも一緒に食べるお友達がわたしを見つけて手を振ってくれた。

わたしもちょっと手を振ると、今日は簡単なサンドイッチを買って席についた。


「ロバート様、なんの用事だったの?」

「たいしたことじゃなかった」と答えると、競技会のことが話題になった。


「リリーは今年はなんだっけ?」とパトラが言うと

「リリーは乗馬になったのよ」とナタリーがわたしの代わりに答えた。


「あれ?それってエリザ様じゃ?」とパトラが言うと


「リリーに代わってって頼んだのよ」とナタリーが答え


「頼むとは上手く言うわね」とパトラが言った。


頼まれたのじゃない。押し付けられたのだ。

お読み下さってありがとうございます。

イイネ、ブックマークなど嬉しい限りです、ありがとうございます!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ