コスモス・ピープルの呪い
──ン
──ン……
暗闇の中、突然襲ってきたそのか細い羽音に、眠りを妨げられ、俺は思わず「うわああっ!」と大袈裟な声をあげた。
「不快ッ!」
殺気を漲らせ、布団に寝たままの格好で、暗くて何も見えない中、そいつの羽音が再びやって来るのを手を広げて待った。
「人間さまを舐めるなよ、ヤブ蚊めが……! 次に襲ってきた時が貴様の最期だッ!」
……──ン
パシッ!
音が止まった。殺ったようだ。
真っ暗な静寂の中、快眠を邪魔する不快な羽音はなくなっ……
『智子!』
……なんか知らない男の声がする。
『智子おぉぉおっ!』
トモコって誰だよ……ってかこの声の主も誰だ。
『おのれえぇっ! 地球人めえっ! よくも智子を!』
なんかヤバい。
蚊だと思って叩き潰したのはどうやら蚊ほどに小さな宇宙人だったようだ。
俺……、どうなるの?
真っ暗な部屋の中に無数の殺気が俺を取り囲み、ジャキンと銃火器を構えるような音を立てた。