学園一の美少女のクローンを大量繁殖させてレイプしまくった件
久しぶりに少しだけ書いてみました。
僕の通っている学園で一番美人の女子生徒のクローンを作った。
半年かかった。
えっ? 早すぎるって?
タネ明かしをすれば、元々僕の実家は大手の製薬会社の創業者一族で、かつ、僕の父親は倫理観のぶっ飛んだ科学者だったということだ。
半年前、父親に
「人間のクローンって、何年ぐらいで作れる?」
って聞いたら、こともなげに
「お前もか?」
と返ってきた。
そこでウチの会社が政府に黙って様々な生物実験を行っていることを知ることとなる。
準備作業をしながら父親は淡々と語った。
「いや~、ウチの会社の受付嬢、時々製造して遊んでたんだよな」
なんでも、体組織の一片から全身を復元できるらしい。
特殊な技術により人間一人を約半年で成人近くまで成長させられるとか。
ただし、薬品で無理やり成長させているため、数年で寿命が尽きるらしい。
早速、僕は学園一の美少女の自宅を特定した。
不用心にも電話帳に載っていた。
彼女の自宅はケーキ屋をしているらしい。
ゴミ袋を持ち帰り、髪の毛を採取する。
彼女の母親は茶髪に染めているため、色と長さから彼女の髪の毛は判別できる。
「抜け毛に付着している毛根の細胞を使うんだよ……。いいぞ! コイツは新鮮な細胞だ。今朝の採れたてだったな……」
顕微鏡をのぞきながら、サイコパス親父が何か言っている。
「培養カプセルは10個ある。細胞のセットは終わった。後は様子を見ながら半年間培養だな」
僕はそれから毎日、カプセルの様子を観察した。
最初の数週間は気持ちの悪い肉塊にしか見えなかった。
だが、一ヶ月もすると人間の形が分かるようになってきた。
僕は放課後、研究室に通い詰めた。
クローン培養の傍ら、父親の仕事も手伝い始めた。
完成するまで暇だったのもあるし、研究室に頻繁に出入りしている口実作りの為だ。
周囲の人間には、
「父親みたいな科学者になって世界中の人に新薬を届けたいと思っているんだ。将来会社を継いだ時に向けて修行している」
と話している。
そして三ヶ月ほど経った頃、カプセルの中の彼女は、八から九歳くらいの見た目になっていた。
「惣之助」
「何だ、親父?」
「そう言えば、この娘の名前は何ていうんだ? 個体の識別が面倒だ」
「紫苑。播磨紫苑っていう子だ」
「ハリマ・シオン。分かった」
そう言うと親父はカプセルの個体識別コードに、シオン01、シオン02、……と登録していった。
「なぁ、親父」
「何だ?」
「このクローン、今、取り出しても動くのか?」
「あぁ。まだ未完成だが、外に出せば活動自体は出来るだろう」
僕はカプセルの中の幼女シオンを見つめなながら考えた。
「親父。一体だけ取り出してみないか?」
親父はすぐに頷いた。
「本当か? ありがたい。そろそろ新しいクローンを試したかったんだ。培養カプセルが全部シオンの遺伝子で埋まってて困ってたんだ。カプセルが一基空くだけでも研究がはかどる」
そう言って親父は傍の試験管を手に取る。
緑色の液体中には何かの肉片が入っていた。
僕はとりあえず、シオン01が入っているカプセルの培養液を抜く。
カプセルの底に落ちた幼女はケホケホと咳き込んでいた。
無理もない。
こでまで培養液中で呼吸していたのだ。
今が人生初の空気中での肺呼吸だろう。
培養液自体は薄い黄色だが、粘度は低い。
まるで水の様だ。
よって、シオンが漬かっていた培養液はサラサラと排水溝に消えていった。
カプセルから取り出したシオンからは薄い石鹸の匂いがする。
これは狙ったものではなく、たまたま培養液の成分の都合で石鹸の匂いがするのだ。
僕はシオン01号の髪や身体の水気をバスタオルで拭き取る。
彼女は時々か細い声を出すのみで、抵抗も質問も全くなかった。
当然だ。
今のシオンは生まれたての赤ちゃん同然の記憶と判断力しか持ち合わせていないのだ。
研究室の隣には休憩室がある。
休憩室内にはダブルベッドが何と二台も置いてあった。
出入り口は生体認証で施錠できる。
普段は一体何に使っているのやら。
シオンの身体が乾くと、僕は彼女を休憩室に連れて行った。
彼女は生れて初めての歩行をヨタヨタとこなした。
シオンの身体をベッドに寝かせる。
「これがあの紫苑か」
あの子の身体をこんなに間近で見るのは初めてだ。
しかも今の身体の大きさだと、せいぜい八、九歳くらいにしか見えない。
「小学生の頃の紫苑はこんな感じだったのかなぁ……」
僕と紫苑が初めて会ったのは中学入学後だ。
小学生の頃の彼女のことは知らない。
だが、ベッドの上の身体は華奢で顔立ちもあどけないながらも、確かに播磨紫苑の身体であると判別できる造形をしていた。
僕は幼女の身体の上に覆いかぶさる。
普通の女子であれば、男子に身体を触られれば、ましてやベッドの上で馬乗りになって来れば、大きく反応するだろう。
おそらく本物の紫苑であれば、僕にこんなことをされたら嫌悪の表情を見せて抵抗してくるだろう。
だが、シオンは全く無反応だ。
僕は一度、シオンの唇に、僕の唇を重ねてみた。
初めてのキスだ。
僕は一度身体を上げて彼女を見る。
「キャキャ、キャッ!」
シオンは無邪気に笑っていた。
その時だった。
「お~い! 忘れ物だぞ~」
休憩室に父親の声で放送がかかる。
鍵を開けて顔を出せば、親父は筒状のモノを渡してきた。
潤滑剤だった。
「多分、入らないぞ?」
「確かに……」
「後はこれだ」
「手枷……?」
「小さいのは、だいたい暴れるからな」
「………………ありがと」
その後、シオン01号は泣き叫び、絶叫し、錯乱した。
僕は休憩を挟みつつ、何回も、何回も、何回も……、約五時間に渡って楽しんだ。
シャワーを浴びた後、痙攣したまま気絶したシオンを、僕はゲージに入れた。
「また明日な?」
翌日。
僕は研究室に向いたかった。
だが放課後、僕は担任の先生に呼び出される。
「山城。お前、薬の研究してるって本当か?」
職員室にまで呼び出され、何事かと身構えたが、どうやら僕がやらかした訳ではないらしい。
むしろ職員室内の先生方は僕を好意的な目で見ているようだ。
「実家の新薬の研究を手伝っているのは本当です……。
といっても、ほとんど親父の研究で、僕は勉強の為に作業をちょっとだけ体験させてもらっただけですよ?」
「ほぉ~、そうか!
いやっ、手伝っただけでも大したもんだ。
実はな、お前の実家の山城製薬が先週発表した新薬の開発に中学生が携わっているってネタで、テレビ局の取材が来てるんだよ。よかったら、テレビのインタビューを受けてくれないか?」
「テレビですか? 緊張しますね……」
「頼むよ……、ほら、ウチも私立の学校だから、生徒を集める為にも宣伝が必要なんだ。
テレビで学校が紹介されればアピールになるだろう?」
そう言うことなら仕方がない。
「分かりました。上手く話せるか分かりませんが、やってみます」
インタビューは数時間に及んだ。
とは言え難しい薬学の話はインタビュアーのアナウンサーも理解できないらしく、ほとんど学生生活について話した。
「どう? 天才中学生にも、好きな女の子とかいるの?」
「どうでしょうかね? ご想像にお任せします」
「おっ! その反応はいるね、好きな子?」
「学校で一番可愛い子とか知ってる?」
「さぁ……?」
「えぇ~、誰? 誰なの?」
その時、僕がインタビューを受ける教室の前を、一人の女子生徒が通り過ぎる。
播磨紫苑だった。
不覚だった。
僕は、つい、彼女を目で追いかけていた。
「もしかして、今、通った子?」
「……いや、違いますって! ……、あんまりしつこいならインタビュー終わりますよ⁉」
「ごめんごめん、からかい過ぎたね」
「じゃあ最後に……、今度で良いから、ご実家の研究室の風景とか、取材させてもらえたりする?」
「いや~……、親父、もうすでに次の研究始めてるから、機密保持の為にも見せてくれないと思いますよ? 実験素材とか、文章とか、隠すの大変ですし……」
こうして少しばかりインタビューを受けた後、帰宅すれば時刻はもう、23時を回っていた。
「こんな日もあるか」
僕は研究室に向かわずに就寝した。
翌朝。
僕は研究室に向かった。
親父は僕よりも早く研究を始めていた。
僕は取り合えず一昨日のゲージを除く。
だが、そこにシオン01号の姿は無かった。
「……⁉ 親父、シオンは何処に行った?」
親父は作業の手を止めることなく答えた。
「シオン01号なら死んだよ」
「……経過を聞いていい?」
「はぁ……」
親父は近くの椅子に座った。
「まずもって、不完全な状態で取り出したんだ。
ただでさえ短い寿命が、余計縮む。
それに、あの個体には予防接種をしていない。
カプセル中で無菌状態のまま培養してたんだ。
お前が息を吹きかけただけでも大量のウイルスや細菌に感染する。
一昨日の夜に発熱して、昨日の夕方には絶命した。
遺骸は既に溶剤で溶かしてある。
もう、分子レベルでしか残っていない。
原料は次の実験個体に再利用する」
培養開始から半年が過ぎた。
カプセルの中のシオン達は、学校で見かける紫苑と同じような大きさになっていた。
あの播磨紫苑も、セーラー服の下にはこんな色でこんな形の乳房を実らせているのだろう。
「十四歳なら、そろそろ培養完了だろう。予防接種でもするかな……」
そう言って親父は培養液に使ったままの身体に、遠隔操作で注射を行った。
翌日。
「シオン05号が死亡した」
「えっ?」
「大丈夫だ。02、03、04号は収穫できる」
「なんで05号だけ?」
「カプセル内にも外乱が全くない訳ではない。
遺伝子は同じでも、わずかな環境な違いによって、実験結果には誤差が生じる。
実際の医療現場でも予防接種による死亡事例は皆無ではない」
こうして実験開始から六ヶ月。
シオン達クローンのカプセルから培養液が抜かれた。
カプセルの底に座り込むシオン02号から04号達は皆、無表情で周囲を見回している。
僕は三ヶ月前と同じように、しかし、以前より少し大きなシオン達の身体を拭いて行った。
休憩室のベッドに三人並んで腰かけるシオン達を見て、親父がつぶやく。
「三着も買ったのか……」
少女たちは皆、揃って紺のセーラー服を着ていた。
僕の中学校指定の制服だ。
「これがやりたかったんだよ。本当は五体並べたかったんだけどな?」
「三体で丁度じゃないか?」
「保存用、観賞用、実用?」
「また忘れてるぞ?」
そう言って親父はまた潤滑剤を渡してくる。
「性的に興奮しなければ滑りは良くならない。
記憶の無い身体が性的興奮を覚える可能性は低い。
言ってしまえば、こいつらは生ける屍だよ」
シオン達には日本語すら教育していない。
彼女たちに親父の言葉の意味は分からないだろう。
見れば少女たちは、いつの間にかベッドに寝転んだり、伸びをしたり、立ち上がってうろついたりしていた。
だが少女たちは、揃って純真無垢な目をしていた。
僕は一日でシオンの処女を三回奪った。
三ヶ月前より挿入しやすかったが、三人とも揃って涙を流した。
休憩室を出ると、カプセルの中には既に培養液が充填されている。
「もう次の実験か、親父?」
「あぁ、やっとカプセルが空いたからな……」
よく見ると、以前シオン01号が入っていたカプセルには新しい入居者が見え始めている。
「これは……、女の子?」
「シオンの母親だ。シオンの細胞を回収した時、ついでに父親と母親の細胞の手に入っただろ? 親子父母揃って培養できるのは貴重なサンプルだ。こんなのお前のクローンを作った時以来だぞ?」
「なるほど。母親も紫苑に似てるな」
ある日の下校中のことだった。
背後から女子の声が聞こえてきた。
「惣之助くん?」
播磨紫苑だった。
僕と紫苑とは、互いに面識はあるが、親しく話すような間柄でもない。
突然話しかけてくるとは、どういった風の吹き回しだろうか。
漠然と空を見上げつつ、紫苑と並んで歩く。
研究室のシオン達と違い、その足取りはしっかりとしている。
培養器で作ったシオンの方が綺麗なはずなのに、何故か隣を歩く播磨紫苑の方が色っぽい。
一瞬、脚の付け根がゾクゾクとする。
おかしいな……。
今朝もシオンで性処理を済ませてきたのに……。
あれから九時間も経てば、新しく精液が作られるか……。
「こないだのテレビの特集、見たよ? 惣之助くん映ってたね? 本当にお薬作ってるの?」
「まぁ……、作るって言っても、親父に言われて作業を手伝っただけだけどね。あのテレビ特集は特に偏向報道はされていなかったから、概ねあの映像で言ってたことは、そのまんまだよ」
「へぇ~……」
言われてそこで僕は思い出す。
以前のテレビのインタビューは夕方の地方ニュースの枠で七分ほどのVTRになって流れた。
だがその映像中では、取材を受ける教室の前をたまたま通りかかった播磨紫苑を、僕が目で追った一瞬の様子を流していたのだ。
オマケにそれをからかうアナウンサーの声も一緒に流された。
そういった現役中学生の色恋沙汰は視聴者のウケが良いのだろう。
だがその話を当人の前でされると僕も気まずい。
あの特集を見て紫苑自身がどう思ったのか、僕から聞くことは出来ない。
コンビニの前まで来た時だった。
「あれっ、親父?」
駐車場に父親の姿を見つけた。
「おぉ、惣之助か」
「えっ? 惣之助くんのお父さん?」
親父は僕の隣に立つ少女を見ながら問うた。
「惣之助。もしかして、その子が紫苑ちゃんか?」
「……そうだけど?」
紫苑が驚いた表情を見せる。
「惣之助くんのお父さんがどうして私の事知ってるんですか?」
「時々、惣之助が話してくれるからな」
「そんなっ⁉ ちなみに……、惣之助くん、私の事どんな風に言ってました?」
途端に親父は優しく笑った。
「学校にとっても可愛い女の子がいるって、話してるよ」
気持ちの悪い笑みだ。
こんな笑い方、家で見せたことない。
おおかた気を利かせた良い父親を気取っているのだろう。
全く、サイコパスは皆そろって演技が上手い。
その後、
「せっかくだから二人とも車で送っていくよ」
と言われて紫苑も親父の車に乗り込んだ。
「え~っと? 紫苑ちゃんのお家はどこらへんかな?」
「あの、風車のケーキ屋さん分かりますか?」
「あぁ、二丁目の……」
「そうです」
白々しい。
紫苑の住所などとうに割れている。
ゴミ捨て場すら漁ったことがあるのだから。
だが、親父はそのようなそぶりは一切感じさせない。
確かに、息子の同級生の女子の自宅の住所を知っているなど不自然だ。
このあたりも芸が細かい。
「紫苑ちゃん、どうしたの? キョロキョロして」
「いや~、惣之助くんちの自動車、高そうだなぁって思って」
「はっはっは。これでも社長だからね」
「そうでしたね。変なこと言ってすみません。私の家の車は、荷物とかたくさん載せる安いヤツなので……」
紫苑さんや……。
僕から一つ言わせてもらいましょう。
あなたは女子だから車に興味がないのかもしれない。
確かに僕の親父のセダンは高級車だ。
だが、君のお父さんがケーキ屋で使っている貨物バンは地味に値の張る車だ。
しかも男子から見れば奥の深い車種だ。
多分、君の親父さんは、良いセンスをしている。
だが、そんなことを思いつつも、紫苑に言うことは出来ない。
「なんでウチの車を知ってるの?」
とでも言われてはかなわない。
知らないフリをしていこう。
そろそろ紫苑の家に近づいた頃だった。
僕たちの乗る車は、交差点で信号待ちをしていた。
「あっ! お母さんだ!」
紫苑が指さす方向を見れば、女性が一人、自転車に乗って信号を渡っている。
「お母さん、私たちに気付いてない」
「そりゃあ、そうでしょ。まさか播磨さんがこの車に乗ってるなんて思わないでしょ?」
その時だった。
一台の大型バイクが猛スピードで交差点に突っ込んできた。
一瞬だった。
バイクは転倒し、火花と共に路面へ擦過痕を残す。
そして、自転車はバイクと接触したのか数メートル吹き飛ばされ、乗っていた女性は近くに倒れていた。
紫苑は悲鳴も上げていない。
親父がハザードを焚いた。
「惣之助。行くぞ」
信号が変わった。
動き出す車は一台も居ない。
遠くからサイレンが聞こえる。
「パトカーか……、救急車じゃないな」
親父はさっきから電話を掛けている。
近くの車のドライバーや、野次馬が集まってきたが、バイクの運転手は姿が見えなかった。
逃げたか。
「惣之助。この人を俺の車に載せるぞ」
僕は親父と協力して、紫苑の母親をの後部座席に載せる。
「お母さん! お母さんっ‼ ……」
紫苑が泣き出す。
「紫苑ちゃん、お母さんはすぐに病院に連れて行く。
すぐそこの県立病院に俺の知り合いの先生がいる。
今、電話した。受け入れ大丈夫だと言ってくれた。
消防署からだと五分はかかる。
救急車を呼ぶ前に、この車で送って行った方がまだ早い」
数分で車は県立病院に着いた。
ロータリーの前にスタッフが数名立っている。
親父がクラクションを鳴らした。
「今、救急搬入口を開ける。こっちに回ってくれ!」
オペはすぐ始まった。
こんな時、本来ならば紫苑の傍に居てやるべきだろう。
だが僕は、
「親父。血が付いたままの服で病院内をうろつくのもアレだし、僕は一旦家に帰るよ」
「……分かった」
手術室の前のソファを立ち上がると、紫苑が不安そうな目で僕を見つめる。
「すぐ戻るから」
通路を曲がると、僕は走り出した。
自宅に戻ると僕は手早く着替える。
そして、研究室に向かった。
ロックを解除して扉を開ける。
僕の携帯電話が鳴ったのは、その時だった。
紫苑の母は、翌日には目を覚ました。
「骨折です。四、五ヶ月はかかるでしょう」
放課後。
僕は紫苑と共に見舞いに上がった。
「お母さん!」
「まぁ、紫苑。来てくれたのね? それに、惣之助くんも、こんにちは」
「はい、こんにちは。お加減、いかがですか?」
「お気遣いありがとう。まだちょっと痛いけどね?」
紫苑の母親は僕に優しく微笑みかけた。
あのバイクはスピード違反のネズミ捕りに引っかかり、調子に乗って逃げたらしい。
だが、信号を無視して交差点に進入したが、バイクが自転車に引っかかり、自転車を倒してしまった。
人身事故となって怖くなったライダーは、逃げたらしい。
だが、防犯カメラ映像にバッチリ映っていた上、本気になった警察相手に逃げられる訳も無く、あえなく御用となった。
問題が起こったのは、手術中だった。
紫苑の母親は、奇跡的に頭部を損傷しなかった。
しかし、複数個所で骨折していた。
だが一番問題になったのは、自転車の破片が刺さり、そこから大量に出血していたことだった。
「血が足りません」
紫苑の母は、特殊な血液型だった。
あまりにも珍しい血液型だった為、ストックが無かった。
医師は紫苑から輸血することも考えたが、母娘でも、微妙に合わなかった。
執刀医は顔なじみである僕の親父に事情を伝えた。
親父は言った。
「たまたまですね、その血液型を培養実験していたんです。
試作品ですから問題が有るかもしれませんが……」
「山城さん。このままではこの女性が助かる可能性は限りなくゼロに近いです。試作品でも良い。可能性があるのなら賭けてみましょう」
電話を受けた僕は、クーラーボックスを自転車の前カゴに入れ、県立病院へ向かって漕ぎ出した。
中には紫苑の母親のクローンから絞り出した血液が入っていた。
こうなることは車の中から事故を目撃した瞬間に予想していた。
紫苑の母は特殊な血液型をしている。
僕は知っていたのだ。
クローンの身体検査をした時点で……。
「明日。この研究室に取材が入る」
「…………わかってるよ。クローンに隠し場所なんて無いって……」
「今日中に、試料はすべて溶かす」
休憩室のベッドで僕はシオンを抱き、隣のベッドでは親父がその母親のクローンを抱いていた。
母親の方はご丁寧に髪を茶髪に染めている。
だが、母親の方も成長は二十代くらいで止められていた。
シオン02号は既に溶かした。
妊娠したからだ。
経過観察は行ったが、ついさっき、先に溶剤に漬けた。
僕は最後に03号と04号によるサンドイッチを楽しんだ。
「あ~ぁ、03号の肛門は最近、結構広がって来てたのに」
手術で使った血液は、血液だけ培養したことになった。
親父はインタビューで、「山城製薬は今後、再生医療事業を拡大する」と表明した。
「惣之助くん、またテレビ出てたね?」
「まぁね、テレビ的には天才中学生とか言って放送した方がインパクトあるからね」
「そうだね……、フフフ……」
……っ⁉
紫苑が不意に僕の手を握って来る。
「ねぇ、惣之助くん」
「なに?」
「今日、ウチ、来ない?」
「……?」
「ほら……、おかげで、お母さんもそろそろ退院できそうだし、あの時のお礼で、ケーキご馳走してあげる」
店の前まで来て気付いた。
「あれ? 今日、ケーキ屋さんお休みじゃない?」
「うん……」
紫苑の寝室は、ケーキ屋の二階にあった。
やけに静かな家の中に不審感を抱いていると、紫苑が言った。
「お父さん、今日ね、福岡のスイーツイベントで出張してるの。帰ってくるのは明日の午後」
えぇ……っと、お母さんは入院中。
紫苑は一人っ子……。
「今日、お父さんもお母さんも、家にいないの」
全く……、あれだけ女を抱いて来たのに、コンドームの付け方すら知らなかった。
「ねぇ、惣之助くん……」
「……?」
「もしかして、惣之助くんは、初めてじゃない?」
僕はもう一度、紫苑に口づけすると答えた。
「いいや……。僕は君が初めてだよ」
「親父……、それは……?」
僕はカプセルに増えた小さな肉塊を指さした。
「あぁ、受付に新しい子が入ってな……」
「ウチの受付、顔採用だもんな……。早速か……」
「胸と脚も見とる……。まぁ、カプセル一基ぐらいいいじゃないか。惣之助は最近、肝臓やら心臓ばかりで、カプセル丸ごと使うものは培養しなくなったしな……」
「まぁ、臓器の方が学会で受けがいい……ってか、表沙汰にできないしな」
親父はコーヒーを啜りながら問うた。
「いいのか、惣之助?」
「何が?」
「シオンの体細胞はまだあるから、複製できるぞ?」
僕は作業する手を止めずに答えた。
「当分は結構だ。本物の方がエロい」
「なるほど……」
「だが、気を付けろよ? 感づかれれば、オリジナルも溶かすからな?」
「あぁ……、分かってる」
「なら良い。……まったく、産業スパイなどやりよって……、余計な詮索せねば長生きできたものを……」
つづいてのニュースです。
山城製薬で受付を務めていた二十代の女性社員が、今月十日から行方不明になっています。
警察の調べによると、この女性社員は過去に社内の情報へ不正にアクセスし、研究情報を盗み出していた可能性があります。
自宅のパソコンを調べたところ、この女性からC国へ複数回に渡り、データが送信されており、解析が進められています。
さる警察筋によると、この女性は産業スパイであり、すでに出国している疑いがあるとのことです。
山城製薬の社長は、本日開いた会見にて「彼女のことは今でも信じている。是非、姿を見せて何があったのか説明してもらいたい」とコメントしています。
ご感想お待ちしています。ドシドシお寄せください。